9月例会の報告

平成21年9月19日 草津まちづくりセンター    
   午前9時40分~午後16時30分まで  

内容
午前「難経読み合わせ」            佐野佑介先生 
   「夏期研報告会」              参加された先生方
    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   

午前 挨拶風景
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。聴講生の方が9人と多かったので幅広いメッセージを込められたお話し内容でした。今の学校鍼灸は教育方針で授業・実技からも鍼灸が西洋医学的部分でしかできなよいような傾向を強く感じ取られる。一穴打てば~と理想のおとぎ話までいかずとも経絡を利用した東洋医学の臨床実績が多々あるなかでそれに触れずに今の学校鍼灸の方針で育つのは問題であるとのことでした。経絡を重視して極めて言った本会は当初脈を整えることにウエイトを置いていたが、それだけでなく自己満足という危険を踏まないように病理生理を突き詰めており、さらに皆参加型の研修会を毎月開く事で繰り返し学び腕を錆びさせない、磨き続ける大切さを語られました。

午前最初の講義は、連続講義五回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は佐野祐介先生による講義で6難・7難の読解進行をしていただきました。6難は3難の脈の陰午前講義風景陽関係よりさらに具体的に脈の虚実について浮沈部位で説明されています。参加された先生方からの意見ではこのアンバランスをシーソー関係でわかりやすく解かれていたり、5難から繋がってもっとダイナミックに見ていく必要があること、多層構造の表しと解かれているもの等多種にわたって伺うことができました。7難では一年間の中で見る季節の脈・陰陽配当の脈象が書かれています。この難は幅広くとらえられるものがあり、個々それぞれに興味深い意見が飛び交いました。季節・時間などをいかに臨床に取り入れられているのか、またどういう位置づけを置かれているかなどベテランの先生の臨床の場をお聞きすることもでき見解がまた広がった時間でありました。

次に、夏期研の報告・反省会を行いました。夏期研の前日にされていた天野先生と斉藤先生の治療院見学会についても報告していただきました。夏期研後にこの時間を取る事で参加された先生方に反省を含め得たものを発表していただき滋賀の研修会でも発展の生かしとなる貴重な時間となりました。惜しくも参加できなかった先生方、聴講の方、初めて参加された先生方に

夏期研報告風景

はこの報告・反省会を通してなるべく多くの内容、印象深かった密な時間を感じ取っていただきたい時間でした。

そして、その後は二木清文先生による「各臓の病症と治療について」のお話に続けられました。残された講義時間が差し迫っていたので今回は基礎テキストの7章の触り部分として肺についてお話しされました。中医学と漢方鍼医のお話も織り交ぜながら、深いところは次回の講義で続けて学べる事を楽しみにして午前の講義が終わりました。

午後
午後は、まず肺経・胃経の取穴から始まりました。肺経では、経絡を伸ばして取穴する事がポイントです。魚際穴では指の対立運動により穴を確認しやすいというアドバイスも頂きながら皆で確認する事ができました。臨床的な話しでは尺沢穴の取穴が研修会で追試して確取穴実技風景認された教科書で学ぶ取穴法とは異なるより臨床的なモデル点を教わってゆきました。胃経では、足三里を取るに加え、下合穴もともに取ることができました。本会では下合穴を使う機会も多く取穴法からは基準となる重要な豊隆穴をとるのに骨度法も含め簡便な取り方を学びました。

次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。切診により衛気営気の手法をみきわめて手法を施す事により、手法前・後の確認をすることで手法の自己修練だけでなく切診の鍛錬もできるので午前の二木先生の講義で訴えられたように繰り返し学ぶ事、腕を日々磨き続ける事の必要性をこの腹部刺鍼を通して身を持って感じられました。

続いては、聴講班が2台、基礎班・研修班は1台づつのベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は二木先生、後の二班は小林先生と岸田先生が指導されました。今回、基礎班研修班では夏期研の実技内容もおさらいしながらまんべんなくさらに深い学びとできました。本会の研修会は班を分けることによりレベル別というだけでなくしっかりと基礎段階を踏まえて学びの向上を図っており聴講班から基礎班、基礎班から研修班へ移り変わる時もそれぞれの段階で各々感じ取ることの大切さが詰まっていると思います。今回参加された聴講の方感想からも基礎を見直す・繰り返すことの必要性を感じていただけたようでした。鍛錬を怠らず常に腕を磨き続ける事によって培われたベテランの先生方の姿を実技でも惜しみなくみることができることもミソですが、「研修会」ということは見るだけでなく参加者皆で供に学べる場なので今よりも次回を、次回よりもその次をより実の詰まったものになるよう向上心をもって楽しんで学んでいきたいと感じました。                                                            
                                    報告ページ担当  若森千明  投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23
投稿者 漢方鍼医会 時刻: .

8月例会の報告

平成21年8月22日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容
午前「難経読み合わせ」       水戸尚子先生     
    「補助療法について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」              
   「奇経治療」         
   「小里方式」   
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まず「一つのものを成熟させるには3代かかる」という言葉がありますがそれは年代にしておよそ90年から100年あたりで、例えば先日行われ日本中が熱く燃えた高校野球もおよその年代・歴史がつづられてきて今では夏の風物詩にもなっている。野球にしろ鍼灸にしろ日本独自のものを残し時を刻んで根付いてゆき今がある。鍼灸界でも今現在からさらに先を見据えると今の若い世代が刻む時に、ホームドクターのような「信頼」で成り立つ関係を鍼灸の位置づけとして築いてゆけるのではないかと願いと期待を膨らませお話をまとめられました。

午前講義風景1

午前最初の講義は、連続講義四回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は水戸尚子先生による講義で5難の読解進行をしていただきました。5難は寸口部の脉を縦方向に分解し、その各部分が五臓と対応するということ、人体の浅深関係を述べている。この難では東洋医学での解剖学的意味や、文中での言葉の捉え方などひっかかりをもつところそれぞれに疑問点があげられたり、そのような中特殊な脈の診方があげられたりと納得のいくまで話し合うことができました。

午前講義風景2

次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義4回目で今回は奇経治療の話でした。奇経は、取穴が少し異なることで注意点はあるが、即効性のある効果・遠距離(電話越しに急な症状で困っている患者さんに伝えながら治療するなど)治療も可能で開業間なしの人にはかなり心強いものであります。各奇経での着眼点や主な病症の話では一つ一つに二木先生の助手時代から今までの特に印象深い症例を伺うことができました。二木先生は助手時代に奇経に関してもかなりの経験をつまれて便利さをしかと感じられておられるのですが、今の臨床室ではほぼ使うことがないとのことでした。それというのも、「奇経を越える本治をしたい」という気持ちをもたれている故のことだとのお話で、常に高みを目指し続ける治療家としての高い意識をひしひしと感じ、治療家としての在り方を学ばせて頂きました。
午後
午後は、まず肝経・三焦経の取穴から始まりました。肝経では、臨床的により反応が出る取穴モデル点を学び、太衝穴では奇経での利用時とは取り方を同一に考えるのではないと注意があがっていました。取穴法としてよりとりやすいように中封では足関節の背屈、曲泉では膝関節の深い屈曲をしてのとり方がありますが、臨床室で毎度毎度できるとも限らないもので様々な状態を予想して取り方のパターンをみてゆくことができました。手の三焦経でも天井穴では体位の変化で穴が極端に移動するためこの点重視するとともにどのツボをとるにしてもいかなる患者の体位にも対応できるよう取穴は基礎から常に固めておかねばならないと強く感じる時間でありました。奇経治療実技風景
 次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきましたモデル患者の病態に適した手法は衛気なのか営気なのか予測しその後実際に刺鍼を行い確認します。予測と合わなかった時もベテランの先生のご指導の下一人一人が両方の手法を確認して変化を確認してゆきますので、その感覚をしっかりと手に覚え込み次に繋げることができるのでどのような場合も必ず得るものがある画期的なものだとまた再確認できました。腹部で自己修練を積みあげることはできますが、月に一度の研修会で他者からの意見、助言を頂く事で手法の基礎にずれがあるのならば訂正できる貴重な機会と感じました。

そして、奇経治療の実技に移りました。午前の部に二木先生の奇経講義があったことも含め今回は聴講生のかたも基礎指導の途中ですが奇経実技を学びたいという積極的な意見が出たので皆で行ってゆきました。ここでは奇経独自の取穴法や腹診を確認するだけでなく体験された方皆が即効性と効果の大きさを確認する事ができました。
小里式実技風景

続いては、聴講班が1台基礎班・研修班は混合で2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は水戸先生、後の二班は小林先生と二木先生が指導されました。今回も問診から初め望診切診とすすめてゆき脈をみてゆきました。脈以外をまず診る事によって得た情報の中から脈状を予測してゆくのですが、漢方鍼の生理病理をしっかりとらえた上で証に繋げていくこととともに、予測と確認を繰り返して感覚を理解し吸収することからイメージすることは幾面にもおいて重要な位置にあることを感じました。                                   
                           
                                    報告ページ担当  若森千明  投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23