平成21年12月19日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「難経読み合わせ」 岸田美由紀先生
「基礎講義」 二木清文先生
午後「取穴」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。今年は福島弘道先生の生誕100年ということで、感謝を込めて福島先生のお話をされました。人々を惹きつける福島先生の魅力として、惜しまぬ技術の公開、それを手から手へ伝え、自らの経験を詰まれ治療に自信をもたれたうえで良いものを伝え続けられた事等々、数え切れないものがあります。その多大なる魅力の影響を受けたことで今の私達、そして漢方鍼医会があることを、毎月の例会内容からも読み取れます。良き学びの方を紡いでゆき、一つの正解にとらわれず患者さんにとってのよりよい治療を求めてさらに学び技術を極めてゆこうとのお話しでした。
午前最初の講義は、連続講義八回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は岸田美由紀先生による講義で11難12難の読解進行をしていただきました。11難では、病脈の一つである止脈(代脈)をとりあげ、五臓の気を受ける順序によって位置関係をも述べています。止脈は心悸・意識障害・腫物etc・・だけでなく妊娠のある時期にもみられることから正常時にも起こりうるとのお話で、端的に死脈と繋げる事は間違いだとわかりました。臨床室からは、不整脈での印象深い話を気・血の巡りと身体を絡めながら治療例をあげてお話していただきました。
12難では、一見誤治を戒める難のように捉えられがちですが、ここでは五臓の陰陽・内外の総纏めとしての概念が説かれています。岸田先生も当初は誤治の戒めと捉えられていたそうですが、難経鉄鑑を読まれたことで全体のイメージが変わり、そこから脈に関する事で言えば、菽法だけでなく脈状をみる必要性も感じとられたそうです。その後、質疑応答が繰り出され、臨床話では小林先生が陰陽、穴性、そしてガンで陰が極限までいったのならばどこからアプローチするかなど話をして下さいました。(次回の予定は13難へ~to be continued・・・)
講義では、前回から続き肺経の陽経処置の話から入りました。経験談より、「肺虚陽実証」の話から小児の按腹、「肺虚陽虚証」の話からパーキンソンの話に広げられたりと臨床室からの興味深いお話を伺うことができました。後半では、うつ病治療に関して質問があがり、二木先生の普段から気をつけられている事や、注意点などを教えていただきました。他にもベテランの先生方から臨床室からの気づきや精神疾患を扱う時の着目点を挙げていただいたりとすぐにでも臨床室で使える濃い時間でした。
午後
午後はまず取穴から行いました。新取穴書発行にあたり、今回はその中でも井穴をみてゆくことができました。一人一人に井穴の取り方を指導して頂き、古典や教科書には様々な記載があることから、「実際はどこに取るものなんだろう」という疑問を解決して頂く事ができました。そして、二木先生と小林先生から井穴に関するお話、臨床での使い方なども伺えました。午前中には、陽経処置のお話があったばかりなので、より意識して確認してゆきました。その後には五臓配当を確認しながら腹診の詳細も教えて頂きました。
次に、基本刺鍼では腹部を使っての衛気・営気の手法を行いました。班内でローテーションしてゆき、一人一人に適応する手法を見出してゆきました。意見が分かれたり、その一つ一つの意見の中から発見される事も多く、毎月の例会で必ず取られるこの手法確認の時間は、よくベテランの先生がおっしゃるように繰り返し、継続し続けることがいかに大切か毎回参加者の方々から頂く刺激が多々ある気づきの中で、参加するごとに深く再確認できます。
次に、小里方式では聴講班1台・基礎班1台・研修班2台のベッドに分かれて行ってゆきました。
聴講班は小林先生、基礎班は二木先生、研修班は岸田先生ご指導の下進められました。班によって、様々な意見が飛び交い病理病症をきりわけてゆき証に繋げていきました。研修班の1班では、不問診大会をされるなど楽しみながらいろんな診察法・学び方があることに気づけた有意義な時間となりました。小里方式が終わって、最後には一月後に控える会員限定のオープン例会の話が出ました。オープン例会では、午前から午後までみっちりと実技の時間と当てられており、今回はより充実したものを目指し皆に実技リクエストを取られました。リクエストを反映してくださることで、今回は大好評であった昨年とはまたいかに違ったものが得られるかと思うととても楽しみです。