平成23年12月18日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「難経読み合わせ」 二木優子先生
「開業前後のお話」 生内優里先生
「気功指導」 中尾俊哉先生
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式
午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。
今年を振り返ると、東日本大震災、福島原発事故が大きく占めたという点から、国の対応が民間の思いと大きくずれているというお話がありました。先生の知人が現地を何度も往復しているようで、日本の国民が国に不信感を抱くのも無理がないというお話には、何が真実なのかわからない状況において、報道の中身に流されないようにしなければならないと感じました。
また、先月自身の胆石の状態が急変し、その時の体の変化をお話くださいました。抗生物質投与後の体の違和感などは、実際に受けたことがない者にとっては患者さんの気持ちを理解する上で興味深いお話でした。
午前最初の講義は、二木優子先生による「難経読み合わせ」でした。
今月は23、24難の読解進行をしていただきました。
23難は経脈流注の説明をしており、24難は循環する脈気が途絶えたときの症状と予後が書かれています。質疑で神志を失った後の問いが出た際は、先天の気と後天の気の関係のお話があり、また、心虚というのは中医では確立され、経絡治療ではないものと考えられていますが、臨床においての観察より、慢性疾患では心の虚も認められるという方向になってきたとのことでした。
次に生内優里先生の臨床報告改め、開業前後についてのお話がありました。
生内先生は今年の6月に自宅の2階で鍼灸院を開業されました。
自分の理想とする「のびのびとした空間を造りたい」とのことから、病院と感じさせないような素材や色に気を配り、スリッパも季節に合わせて揃えるという女性ならではの心配りをされているようです。
開業前はちょっとしたドタバタ劇となったお話から、開業後の不安を患者さんが救ってくれたこと、また、女性一人でするにあたって防犯面でも気をつけることなど、現在開業している先生方との意見交換もあり興味深いものでした。
そして、毎月の研修会参加の意識が以前の勉強する場から、一人で治療する立場となってからは、軌道修正の場としての割合が大きくなったとお話がありました。
これから開業する先生方は勿論のこと、開業されている先生方にとっても普段聞けないお話であったために充実な時間となりました。
午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。
今月は逆腹式呼吸をしました。難しいので出来なくてもイメージするだけでもいいとアドバイスをいただきました。気の操作など興味深い教えがありました。
午後の実技は取穴からはじまりました。
今回は肝経をみていきました。
入会して間もない頃は、ベテランの先生方が脈を診てツボがずれていると言われることがどうしてわかるのかと不思議で仕方ありませんでしたが、気が付けば基礎班も研修班の先生方と共感できるようになってきました。研修班の先生と一緒に脈を診させてもらうことで自信へと繋がるようです。
しかしながら、二木先生の細かな指摘については「どうして見ていないのにばれるのか・・・」という声が毎度あがります。
取穴の次は聴講班、基礎班と研修班合同とに分かれて基本刺鍼をしました。
聴講班は土井先生が指導してくださいました。
研修班の先生が中心となり基礎班の基本刺鍼をチェックしてくださいました。
今までぎこちなかった姿勢や刺鍼も徐々に形となってきました。二木先生からは気の入り方の指摘から「患者さんによくなってもらいたいという気持ちがなにより大切である」とお話をいただきました。そして目の前で一瞬で鍼を仕上げることにとまどう会員には「経験で出来るものだから」と、今は仕上がるまで丁寧にするということを指導くださいました。
てい鍼を使うにあたっては適当にやっても意味がないということより、てい鍼だからこそ効かさなければいけないという言葉は心に響くものとなりました。
合間にお茶の時間を挟み、実技の後半は聴講班1台、基礎班と研修班合同で3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。
モデルになると患者さんが受けていることを自分の肌で感じることが出来、「こういうことをされると気持ちがいいですね」と客観的にわかってよかったという声がありました。
また、治療中の質疑で鍼後の気の流れる状態から体の状態が把握できるということを学ぶことが出来ました。
今月の例会後の指導者研修会では、「基礎実技特訓講座・問診」が行われました。
通常は入会して半年の会員対象の研修会ですが、基礎の特訓ということで入会してまもない先生も参加ができました。
今月は問診を重点し病理を考え証決定を導きました。ベテランの先生になると問診だけで十分な証決定が出来る一方で、基礎班組は腹診をしても考えと一致しないので大きな壁を感じることとなりました。いつまでも固まっているようではいけないので、臓腑の働きや病理を身に付け、有意義な意見交換が出来るように努めなければならないと感じました。
興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。
一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。