10月の例会報告

二木先生が朝の挨拶を担当されるときには最近の治験例を話すことになっています。
今回は腰椎圧迫骨折の婦人。初診時は殆ど自力で動くことができませんでしたが、肺虚肝実の本治法と瀉法鍼で数回治療し、歩いてこられるまでに回復したものの、肺梗塞によって急逝したというショッキングな治験でした。数日後、件の患者さんの遺族が挨拶に見え、「元気な状態で最後を迎えられたのはよかったと思います」との言葉に恐縮し感謝したとの話でした。

難経読み合わせ
今月は中川先生が五十九難と六十難を担当されました。読みづらい字句を解説しながらのわかりやすい読解進行でした。
特に五十九難では、狂病や癲病などの精神に変調を来す疾患を陽明経の熱の消長として診察・治療するという考え方には、久しく忘れていた視点を思い出させてもらいました。

基礎講義
今月は鶴留先生が「肝の病症と治療」について講義されました。肝の働きと病症をざっと復習し、肝に関する証について一つ一つ講義されました。各証と病症との関係がよくわかりました。

脈診修練
滋賀漢方では、六部定位脈診に難経五難の菽法脈診と、浮沈・遅数・虚実の八祖脈などを併せた脈診を修練しています。

取穴
滋賀漢方の取穴実技は、正しい穴所に指を持って行くだけでなく、刺鍼に最適な姿勢をも身につけられるように工夫されています。正しい取穴と最適な姿勢によって身体全体が驚くほど変化します。
今月は小腸経から後谿と支正を取穴しました。ランドマークがしっかりしている後谿の取穴はあまり問題はなかったのですが、支正の取穴になると殆どの人が苦戦しています。おかしいな。あらら、これは前腕部の流注を勘違いしています。前腕部の流注は尺骨縁でもほんの少し心経寄を通っているのに、皆三焦経寄に取っています。流注を心経寄に取り直してもらうと、流注に乗った瞬間に脈が充実し、頸や肩上部がふわっと弛みます。取穴のおもしろさと難しさを再確認した時間でした。

基本刺鍼
刺さない鍼であるてい鍼の刺鍼技術を習練します。てい鍼の技術に熟達すると毫鍼以上の効果を出すことができます。

小里方式
何か症状のある人をモデル患者にして診察・証決定・治療にいたるまでを実地臨床に近い形で研修します。今月は聴講班を岸田・安江の両先生が、基礎班を二木先生が、研修班を小林先生と山森がそれぞれ担当しました。
正しく証を立てることで、たった1穴への刺鍼でも身体の状態をガラリと変化させられるのを目の当たりにすると、「ああ、やっぱり鍼はおもしろいな」と改めて思いました。 

例会終了後は有志で指導者研修会を行いました。

報告者 山森伸樹

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