9月例会の報告

平成21年9月19日 草津まちづくりセンター    
   午前9時40分~午後16時30分まで  

内容
午前「難経読み合わせ」            佐野佑介先生 
   「夏期研報告会」              参加された先生方
    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   

午前 挨拶風景
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。聴講生の方が9人と多かったので幅広いメッセージを込められたお話し内容でした。今の学校鍼灸は教育方針で授業・実技からも鍼灸が西洋医学的部分でしかできなよいような傾向を強く感じ取られる。一穴打てば~と理想のおとぎ話までいかずとも経絡を利用した東洋医学の臨床実績が多々あるなかでそれに触れずに今の学校鍼灸の方針で育つのは問題であるとのことでした。経絡を重視して極めて言った本会は当初脈を整えることにウエイトを置いていたが、それだけでなく自己満足という危険を踏まないように病理生理を突き詰めており、さらに皆参加型の研修会を毎月開く事で繰り返し学び腕を錆びさせない、磨き続ける大切さを語られました。

午前最初の講義は、連続講義五回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は佐野祐介先生による講義で6難・7難の読解進行をしていただきました。6難は3難の脈の陰午前講義風景陽関係よりさらに具体的に脈の虚実について浮沈部位で説明されています。参加された先生方からの意見ではこのアンバランスをシーソー関係でわかりやすく解かれていたり、5難から繋がってもっとダイナミックに見ていく必要があること、多層構造の表しと解かれているもの等多種にわたって伺うことができました。7難では一年間の中で見る季節の脈・陰陽配当の脈象が書かれています。この難は幅広くとらえられるものがあり、個々それぞれに興味深い意見が飛び交いました。季節・時間などをいかに臨床に取り入れられているのか、またどういう位置づけを置かれているかなどベテランの先生の臨床の場をお聞きすることもでき見解がまた広がった時間でありました。

次に、夏期研の報告・反省会を行いました。夏期研の前日にされていた天野先生と斉藤先生の治療院見学会についても報告していただきました。夏期研後にこの時間を取る事で参加された先生方に反省を含め得たものを発表していただき滋賀の研修会でも発展の生かしとなる貴重な時間となりました。惜しくも参加できなかった先生方、聴講の方、初めて参加された先生方に

夏期研報告風景

はこの報告・反省会を通してなるべく多くの内容、印象深かった密な時間を感じ取っていただきたい時間でした。

そして、その後は二木清文先生による「各臓の病症と治療について」のお話に続けられました。残された講義時間が差し迫っていたので今回は基礎テキストの7章の触り部分として肺についてお話しされました。中医学と漢方鍼医のお話も織り交ぜながら、深いところは次回の講義で続けて学べる事を楽しみにして午前の講義が終わりました。

午後
午後は、まず肺経・胃経の取穴から始まりました。肺経では、経絡を伸ばして取穴する事がポイントです。魚際穴では指の対立運動により穴を確認しやすいというアドバイスも頂きながら皆で確認する事ができました。臨床的な話しでは尺沢穴の取穴が研修会で追試して確取穴実技風景認された教科書で学ぶ取穴法とは異なるより臨床的なモデル点を教わってゆきました。胃経では、足三里を取るに加え、下合穴もともに取ることができました。本会では下合穴を使う機会も多く取穴法からは基準となる重要な豊隆穴をとるのに骨度法も含め簡便な取り方を学びました。

次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。切診により衛気営気の手法をみきわめて手法を施す事により、手法前・後の確認をすることで手法の自己修練だけでなく切診の鍛錬もできるので午前の二木先生の講義で訴えられたように繰り返し学ぶ事、腕を日々磨き続ける事の必要性をこの腹部刺鍼を通して身を持って感じられました。

続いては、聴講班が2台、基礎班・研修班は1台づつのベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は二木先生、後の二班は小林先生と岸田先生が指導されました。今回、基礎班研修班では夏期研の実技内容もおさらいしながらまんべんなくさらに深い学びとできました。本会の研修会は班を分けることによりレベル別というだけでなくしっかりと基礎段階を踏まえて学びの向上を図っており聴講班から基礎班、基礎班から研修班へ移り変わる時もそれぞれの段階で各々感じ取ることの大切さが詰まっていると思います。今回参加された聴講の方感想からも基礎を見直す・繰り返すことの必要性を感じていただけたようでした。鍛錬を怠らず常に腕を磨き続ける事によって培われたベテランの先生方の姿を実技でも惜しみなくみることができることもミソですが、「研修会」ということは見るだけでなく参加者皆で供に学べる場なので今よりも次回を、次回よりもその次をより実の詰まったものになるよう向上心をもって楽しんで学んでいきたいと感じました。                                                            
                                    報告ページ担当  若森千明  投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23
投稿者 漢方鍼医会 時刻: .

8月例会の報告

平成21年8月22日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容
午前「難経読み合わせ」       水戸尚子先生     
    「補助療法について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」              
   「奇経治療」         
   「小里方式」   
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まず「一つのものを成熟させるには3代かかる」という言葉がありますがそれは年代にしておよそ90年から100年あたりで、例えば先日行われ日本中が熱く燃えた高校野球もおよその年代・歴史がつづられてきて今では夏の風物詩にもなっている。野球にしろ鍼灸にしろ日本独自のものを残し時を刻んで根付いてゆき今がある。鍼灸界でも今現在からさらに先を見据えると今の若い世代が刻む時に、ホームドクターのような「信頼」で成り立つ関係を鍼灸の位置づけとして築いてゆけるのではないかと願いと期待を膨らませお話をまとめられました。

午前講義風景1

午前最初の講義は、連続講義四回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は水戸尚子先生による講義で5難の読解進行をしていただきました。5難は寸口部の脉を縦方向に分解し、その各部分が五臓と対応するということ、人体の浅深関係を述べている。この難では東洋医学での解剖学的意味や、文中での言葉の捉え方などひっかかりをもつところそれぞれに疑問点があげられたり、そのような中特殊な脈の診方があげられたりと納得のいくまで話し合うことができました。

午前講義風景2

次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義4回目で今回は奇経治療の話でした。奇経は、取穴が少し異なることで注意点はあるが、即効性のある効果・遠距離(電話越しに急な症状で困っている患者さんに伝えながら治療するなど)治療も可能で開業間なしの人にはかなり心強いものであります。各奇経での着眼点や主な病症の話では一つ一つに二木先生の助手時代から今までの特に印象深い症例を伺うことができました。二木先生は助手時代に奇経に関してもかなりの経験をつまれて便利さをしかと感じられておられるのですが、今の臨床室ではほぼ使うことがないとのことでした。それというのも、「奇経を越える本治をしたい」という気持ちをもたれている故のことだとのお話で、常に高みを目指し続ける治療家としての高い意識をひしひしと感じ、治療家としての在り方を学ばせて頂きました。
午後
午後は、まず肝経・三焦経の取穴から始まりました。肝経では、臨床的により反応が出る取穴モデル点を学び、太衝穴では奇経での利用時とは取り方を同一に考えるのではないと注意があがっていました。取穴法としてよりとりやすいように中封では足関節の背屈、曲泉では膝関節の深い屈曲をしてのとり方がありますが、臨床室で毎度毎度できるとも限らないもので様々な状態を予想して取り方のパターンをみてゆくことができました。手の三焦経でも天井穴では体位の変化で穴が極端に移動するためこの点重視するとともにどのツボをとるにしてもいかなる患者の体位にも対応できるよう取穴は基礎から常に固めておかねばならないと強く感じる時間でありました。奇経治療実技風景
 次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきましたモデル患者の病態に適した手法は衛気なのか営気なのか予測しその後実際に刺鍼を行い確認します。予測と合わなかった時もベテランの先生のご指導の下一人一人が両方の手法を確認して変化を確認してゆきますので、その感覚をしっかりと手に覚え込み次に繋げることができるのでどのような場合も必ず得るものがある画期的なものだとまた再確認できました。腹部で自己修練を積みあげることはできますが、月に一度の研修会で他者からの意見、助言を頂く事で手法の基礎にずれがあるのならば訂正できる貴重な機会と感じました。

そして、奇経治療の実技に移りました。午前の部に二木先生の奇経講義があったことも含め今回は聴講生のかたも基礎指導の途中ですが奇経実技を学びたいという積極的な意見が出たので皆で行ってゆきました。ここでは奇経独自の取穴法や腹診を確認するだけでなく体験された方皆が即効性と効果の大きさを確認する事ができました。
小里式実技風景

続いては、聴講班が1台基礎班・研修班は混合で2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は水戸先生、後の二班は小林先生と二木先生が指導されました。今回も問診から初め望診切診とすすめてゆき脈をみてゆきました。脈以外をまず診る事によって得た情報の中から脈状を予測してゆくのですが、漢方鍼の生理病理をしっかりとらえた上で証に繋げていくこととともに、予測と確認を繰り返して感覚を理解し吸収することからイメージすることは幾面にもおいて重要な位置にあることを感じました。                                   
                           
                                    報告ページ担当  若森千明  投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23

7月例会の報告

平成21年7月18日 草津まちづくりセンター  
   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容
午前「難経読み合わせ」       生内優里先生    
    「補助療法について」      二木清文先生                        

午後「取穴」  
   「菽法脉診」             
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」    

午前
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。まず時事ネタを話され鍼灸の話に入られる所で、今回は佐野先生に前に出ていただき、先月お亡くなりになられたお爺様の闘病を、家族としてそして鍼灸師としてもお爺様の傍で支え続けられたお話をしていただきました。闘病中ホスピスに入られたときも食が細くなる事はなく家族の方々に元気な姿を見せておられたとのことです。それというのも、ご家族の方の温かな心を感じ、さらに佐野先生がお爺様のために続けられた鍼治療の効果があってのものだったのでしょう。この貴重な体験をお爺様が与えてくださったことで「患者さんは師匠である」という言葉を強く胸にきざまれたとのことでした。佐野先生がこの話に込められた想いを受け最後に二木先生が参加者に死は皆におとずれることであるが尊厳死があること、また鍼灸師はその期に役立てる存在である事をどうか覚えてかえってほしいとメッセージを訴えかけられました。生と死が私達それぞれ身近に存在する中で何を感じてゆくか、鍼灸師としては何ができるのか深い課題を再認識させていただきました。

午前 午前講義風景1
午前最初の講義は、連続講義三回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は生内優里先生による講義で4難の読解進行をしていただきました。4難は寸口部をみる上での脈象と脉位について、陰陽の二分類を行っている。ここでは素問、陰陽離合論篇第六・陰陽別論篇第七等に述べられている内容を踏まえた上での難経独特の考え方を基礎にして述べられている4難であるが、特に正常脉と病が入り込んで変わる脉を理解していくことが重要で、ベテランの先生からは正常脉を見いだすものとして臨床へ繋げているとの意見をあげて頂きました。後半の三陰三陽の脉で質疑が飛び交うことが多くそれぞれに捉え方として難しい箇所のようでありました。この4難では陰陽論、そして五行論も含め基本となる部分を強く感じた面がありましたので基礎を固める意味でしっかり理解をしたうえで次の難に進みたいと思いました。
午前講義風景2
次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義三回目で今回は子午治療・ナノムソ・お灸のお話しとなりました。聴講の方が多かったので主題に入る前には古人によって行われた手当てから変化を繰りなして今現在の治療にいたるまでのお話しと漢方鍼医会の特徴を大まかに説明して頂きました。主題として子午治療では二木先生ご自身の学生の頃の体験談をお話頂き、印象的であった治療やその他ある期間に集中して同じような症状を抱えた患者さんを診る機会が重なり治療経験の中で自信を築かれていったシンクロネスティの話しなど興味深いお話を沢山伺えました。

午後 
午後は、まず大腸経・脾経の取穴から始まりました。大腸経では、「蛇頭」という異名を持つ温溜穴では前腕を回内させ筋肉の動きの変化をとらえた上でモデル点をしっかりと確認してゆくことができました。脾経では赤白肉間に注意したりまた陽稜泉穴では慣れないうちは取りにくい穴でもあるので頚骨内縁を押し上げた湾曲開始点のよりわかりやすい取り方を学びました。ここは感覚的には膝から相当に離れているように感じるのでその感覚と位置を丁寧に教わる事ができました。
菽法脉診実技風景

次に、聴講の方が基本の指導を受けておられるので聴講の方を除いた参加者で菽法脉診をみていきました。午前の講義で陰陽脈に触れたばかりでしたのでそれぞれ考え持って、さらに来月の例会でも難行読み合わせの講義にて5難に入り菽法脈診がでてくるのでその予習をかねて慎重に診てゆけたと思います。 

次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を見直してゆきました。姿勢・目線などほんの些細な事でかなり手法・治療効果にに影響を受ける事を実感し、さらに自分の修正点に指摘を受ける事で普段の自己修練だけでは見えてこない部分を再確認できる点が多々あったのでそこから自分の身できるようさらに手法と向き合い意識する事でより充実した時間とかえられたことと思います。 

小里式実技風景
続いては、聴講班が2台、基礎班・研修班がそれぞれ1台づつベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は小林先生、基礎班は
二木先生、研修班には岸田先生が指導されました。今回聴講の参加者の方が多くその中でも始めて参加された学生の方は学校では学ばない臨床的取穴法に興味深く感じられたり、ベテランの先生に基礎から実技、手法の一つ一つまで丁寧に指導を受けられたことで得るものが実に多かったとのことでした。聴講班を担当された小林先生は、面白いと感じてくださってよかった、今後自己修練に加え研修会に参加するなど継続して手技を極めていく事でさらに気づく点があり、試行錯誤して自分のものにしていける経験を経ることでさらなる面白さを感じることができるのでぜひ今後につなげて頂きたいとのお話しでした。          
                                             

                            報告ページ担当  若森千明  
投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23:30

6月例会の報告

平成21年6月20日 草津まちづくりセンター  
   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容
午前「難経読み合わせ」       木村知恵先生    
    「補助療法について」      二木清文先生                
        
午後「取穴」  
   「軽察自己修練法・取穴法」             
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
    
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。近日首相交代が行われた後のさっそくの例会ということで現在そしてこれから山積みとなっている政界・国民の問題課題について私達にもわかりやすいように以前読まれた書籍の中から各国の風評を引用してお話してくださいました。一転、今回の治療室のお話しでは臨床話術と、患者さんにしっかり納得してもらえるような治療をしてゆく必要性を話されました。
午前講義風景1
午前午前最初の講義は、連続講義二回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は木村知恵先生による講義で2難と3難を読解していただきました。2難は寸口部に尺や寸という名のつけられている意を問うており、3難は脈象の中の太過・不及・陰陽相乗・覆・溢・関・格の具体的なものを求めて問うている。問いと答えまで一通り読解していただいた後は皆で疑問となるところ、深く掘り下げたい所など質疑を交わしていきました。ベテランの先生による解釈や臨床へと繋がる話、そして最近の臨床室にて脈の視点から証の正誤を瞬時にみているお話など興味深く午後の実技からも早速深く注意して学びたく感じる内容であった。
午前講義風景2
次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義二回目で刺絡を主題としたお話しとなりました。主題に入る前には我々が行う「経絡を動かす鍼灸術」について話されました。基礎テキストに沿って学んでいく中、扱う上での詳しい注意点のみならず刺絡での印象深い臨床経験や、 刺絡部位を探るコツなどを教えていただく事ができました。現在の臨床室からも細絡をどのようにとるのか、いかなるときどのような方法が使えるのかなど明日からの臨床室でも早速使えるものたっぷりにお話しいただきました。
 
取穴風景
午後 
午後は、まず心包経・胆経の取穴から始まりました。心包経では、前腕部で特に腱を胆経では骨筋にさらに注意し、しっかりととらえたうえでみていく事ができました。今年は1月に開催されたオープン例会でしっかりと見直した臨床的自然体を思い出しながら臨床上胆経を利用する時の立ち位置や身体の使い方など頭での構想も意識しながらとらえていく事で単なる取穴を一つ一つ単独にみるよりかなり感覚も異なったものが得られることにも気づけた時間でありました。その後は二木先生による手軽にできる軽察の自己修練法をご教授いただき、身近にあるもので確かな変化を自らとらえる事ができるこの方法は参加者にとって驚きと新たな発見の感覚であり、とても好評な声があちこちであげられていました。最後には、より確かな経穴反応をとらえる方法をも御提示されモデル患者にベットに上がっていただいた上で皆で確認させて頂くことができました。この自己修練法・取穴法ともより良いものを求めさらなる追試もしてゆきたいとのお話しでした。
  小里方式実技風景
次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を見直してゆきました。この基本を毎回見直した上で次の小里方式に移れる事は、手法を決して甘んじる事無く確認してゆけるのでとても心強い時間に感じます。 続いては、今回も聴講班・基礎班・研修班のベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は岸田先生、基礎班は小林先生、研修班には二木先生のもとご指導いただきました。今回も刺激を受ける事多く一人一人が納得のいくまで意見を交わしあい施術しあい、予定時間いっぱいまで実技を行うことができて密度の濃い研修時間となりました。
                                        
                                              報告ページ担当  若森千明 
 

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5月例会の報告

平成21年5月16日 草津まちづくりセンター  

  午前9時40分~午後16時30分まで                                   

内容 
午前 「難経読み合わせ」       岸田 美由紀先生
    「補助療法について」      二木 清文先生

午後 「取穴」
    「基本刺鍼」
    「小里方式」
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶で、先日他会の勉強会に参加された際のお話しをされました。そこでは目的とするものは同じだが、独特の診察・治療法をされ実に興味深い内容であったとのことでした。様々な勉強会に参加することは見解を広げ、なにより自分のたりない点に気づく良い機会でもあります。自分の中で軸足をしっかりおいたうえで見解を広げ、技術を極め「患者さんにとっての良い治療」をめざしていきたいとのお話しでした。さらに滋賀の近況としては新HPやベビーシッター制度設置など新体制も整いより学びやすい環境となりましたので随時聴講生も募集の件もお話しされました。
今月から難経の読みあわせが始まりました。今回は岸田美由紀先生により1難の内容いついてお話しして頂きました。1難は「どうして経絡治療家が脈をみるのか」という内容であります。

午前講義風景1最初という事もあり、ベテランの先生方に読みあわせを皆でしていくに当たっての御意見そして難経への思い入れなどを伺うことができました。進行を勤めてくださった岸田先生は、先人の解説は先人の想い。これを機に自分の解釈を感じてゆきたいというお話しでした。会長である小林先生は、一通り読みあわせを学び終え、その後臨床へどう繋がるかという目的意識を持ち向き合いたいとのことで私達も一難一難の解釈を様々な角度からみてゆくことで大切に読み合わせていきたいと感じました。

午前中後半は、二木清文先生による「補助療法について」の講義でした。補助療法の本題に入る前には、漢方鍼治療の基礎についてそして経絡治療との違いについて話されました。補助療法なかには、刺絡・子午・円皮・皮内・灸・ナソ・ムノ・奇経などがあり、午前講義風景2中の一例として症状が強く証決定が困難な状況に陥っている時などかなり使えるものもあるが、安易に使うとドーゼ過多になるので注意が必要とのことでした。その他補助療法を使っての印象深い臨床室でのお話しや、適応例、施術箇所の臨床的見極め方など明日から早速臨床室で使える知識内容豊富に詰まった講義でありました。

午後 
午後は、まず腎経・小腸経の取穴から始まりました。腎経の取穴では経金穴である復溜の取穴は使用頻度も多くより丁寧にみていくことができました。この経穴は生きて働く穴として高さはあまり変動しないが前後の変動がよくあるので注意して取穴をしました。取穴風景小腸経では、養谷穴の臨床的取穴をご指導いただくことができました。滋賀のテキスト記載の臨床的取穴とは別に、二木先生が臨床室で追試され反応がさらに強く現れるところとして教えていただき、皆で取穴を致しました。正確に取穴をすることは治療効果を大きく向上出来ることであり、また、生きて働いている穴をとることは大変重要なことであると再確認できました。

 続いて、腹部を使っての基本刺鍼の修練を行いました。前回から続き手法時間にも注意してお互いに指摘しあったり向上点をアドバイスしていただいたり自己習練も大切ながらこのように研修の場で皆さんに刺激を頂く事で明日への成長へと繋がる事が多々あり、大変勉強になりました。

午後の後半は、聴講生班、他二班に分かれて三台のベットで小里方式を行いました。聴講生には二木清文先生が御指導され、二班にはそれぞれ小里式実技風景小林久志先生と岸田美由紀先生の御指導のもと行われました。声の変調という事で生内先生がモデル患者となり治療を行ったことでは、声を録音して施術前と後を確認してゆきました。今例会もベテラン先生方達から臨床的なお話しから治療家としての姿勢など教わることが多く、各々が感じたことをお土産にして、明日からの臨床の場一日一日もさらに大切にしてゆきたいと感じました。

報告ページ担当 若森千明

4月例会の報告

平成21年4月18日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで

   内容
    午前 「定期総会」
        「鍼灸師の夢を語れ」   
                      佐野佑介先生
                      生内優里先生
                      水戸尚子先生              

   午後 「取穴」        
      「基本刺鍼」
      「小里方式」

午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。昨年度の活動を振り返り、今年度からは漢方鍼医会本部も新会長が就任され心機一転地方組織の滋賀としてもテキストやHPなど新たな課題をもって今後の活動のお話をされました。今年度もよりよい鍼灸治療を後世へ伝えてゆきたいと願いを込めて新年度の素晴らしい皮切りの挨拶とされました。続いて年に一度の定期総会が開かれました。

午前
今回は、若手の3名の先生方に「鍼灸師の夢を語れ!」というお題について熱くお話ししていただきました。まず、今年鍼灸師として羽ばたかれたばかりの佐野佑介先生は、学生時代のご家族の治療経験から感じ取ったものからの出発、学術を得ようと自ら行動を起こしたことで出会えたご縁、そこから向かう自らの将来像についてお話ししていただきました。
続いて、生内優里先生のお話では学生時代から、今助手経験を経て「鍼灸師」としての大きな意識変化を述べられ、その中でも「総入れ歯になっても治療家でありたい」との名言は生内先生の人柄に和まされつつも皆の心に深く印象付いたのではないでしょうか。
最後に、昨年に開業された水戸尚子先生によるお話でした。水戸先生は夢とは、実現したい理想。目標とは、行き着こうと設けたもの。としっかりと意味するものを捉えた上で最近の臨床室での近況のお話の中から小児鍼での関東地域での位置づけを変えるなど意欲・意志ともに強い芯をもって訴えられました。恩師である二木先生の治療室で「あそこに行ったら大丈夫」という患者さんを目にしたことで自らも周辺地域でそのように信頼合って皆集まれる場でありたいと目標を掲げられました。

3名の先生に熱く語っていただき、この厳しい世の中で若い先生に夢を持っていって頂きたいという願いが込められたお題は、卵からベテランの先生まで参加者一人一人に熱ものが胸に宿ったのではないでしょうか。

午後
 午後は、まず肺経・胃経の取穴から始まりました。始めに、目的とする経絡を伸ばすことで正確な取穴と効果の向上がはかれるためこれを常に意識するようにアドバイスいただき取穴を行っていきました。胃経では骨度法も頭に置きつつ臨床的な取り方を学ぶことができました。使用しているテキスト「経絡治療と臨床研究~やさしい解説と実践取穴法~」ではモデル点の取穴法だけならず臨床的な取穴法が記載されており、今月も指導者の先生と実際に取穴してゆき、それぞれの経穴での臨床室のお話を伺うことができ一つ一つが興味深く印象的な学び時間となりました。

次に、腹部を使っての基本刺鍼を三班に分かれて行いました。前回に引き続き衛気・営気の手法、特に手法時間をみてゆきこの点に関しては二木先生がそれぞれのベッドを回り個人個人へご指導いただくことができました。術者以外の者は、手法中に皮膚状態・脉・腹状・肩上部などみることで術者の手法の完成度、改善点などを指摘し合うことができました。そして、指摘して頂く中で手法時の手の軽さなど一点にばかり気を向けてしまうと反対に肩上部などががちがちになっていたり注意点から改善点まで様々な気づきがありました。基本は何一つ欠いても手法の完成へとたどり着けないことを改めて感じ、参加者の先生方からの意見で改善され手法の形が成り立った時の喜びを覚えこみ今後に繋げたいと思いました。

 続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。今回は小林先生と二木先生ご指導のもと始められました。いつものように、問診・切診を経て経過や現状を踏まえて病理を見極めてゆき治療へ移りました。この病態は49難でいけるのかまたは69難か、はたまた・・・と身体をじっくりとみてそれぞれ意見を交わしてゆきました。今回も沢山の意見をぶつけあることで非常によい刺激を受けつつ、最後には指導者の先生にも導きを頂きながらしっかりと肩上部・脉・腹の三点セットが緩むことを確認し、症状も取り去ることができました。施術を行う者にもモデル患者としてベッドに上がり術を受けるものとしても得るもの多く、大変勉強になる実技時間でした。

 今月の指導者研修会はお休みで、新年度の始まりを祝し懇親会が開催されました。
祝いの時間を満喫しながらも、今後の滋賀漢方鍼医会のさらなる盛栄にむけて自然と意見が飛び交い楽しくも意義のある時を皆で過ごすことができました。

                                         

報告ページ担当  若森千明

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3月例会の報告

平成21年3月21日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで   

内容  
午前 「陰陽五行論について」    小林久志先生       
    「脉診・脉論について」     二木清文先生                
                  
午後 「取穴」               
    「基本刺鍼」      
    「小里方式」
    

午前挨拶風景
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。日本中を熱くしたオ
リンピックの話題からはじまり、年度末ということで滋賀漢方鍼医会の昨年度・今年度そして来年度についてまとめてお話し頂きました。これまで本部・地方共に難経講演をしていただいた事で、難経の意味するところ、今後私たちがみていくべき視点について定めを付けることができました。次は、滋賀ではテキストの通読も取り入れそこから意見交換をすることで、さらなる学びとしようと今後の動きについて述べられました。

午前最初の講義は、小林久志先生による「陰陽五行論について」午前講義風景でした。西洋医学では病名が必要ですが、漢方医学では病名なくとも病態生理をつかみ人体の陰気と陽気の変化を捉えて、人体中の気の調和を取ることで治療してゆけます。そして、今回のテーマである陰陽五行論を学ぶにあたりポイントとなるのが「この論をいかに臨床応用するか」。その着目点を押さえるように述べられた上で陰陽・五行続いて四大病型、治療とお話を進められました。そして、アドバイスとして陰陽五行は生理とあわせて学ぶと理解しやすいとのことでした。これらを皆で臨床応用していこうというのがこの研修会の意義でもあるのだと参加者、そして聴講の方へのメッセージとして締められました。

次に、二木清文先生による「難経脉論について」のお話でした。今回は本部の「命門・三焦」の講義をもとに話されました。本部のベテランの先生方の古典へのリンクのさせ方などとても勉強になるので、もう一度録音を確認することをまず勧められ講義内容に入っていきました。まず、命門については二木先生の臨床からのお話を交え腎間の動悸がいかなる状態かを見逃さずにいたことで予後を察知できた時の印象的なケースを伺うことができました。本部でも質問が上がっていた三焦の臨床応用についても話された後、締めは手技のお話でした。手技時の着目点と、気の流れからのタイムラグをさらに考慮する必要性をあげられました。そして適切な押し手の重さが自分はできているか、腹部での確認をしさらなる手技の修練を行うべきだと述べられ、午後の実技への課題として繋げられました。

午後取穴風景
午後は、まず脾経・三焦経の取穴から始まりました。商丘穴を取穴するときには、取りやすいように足関節をほぼ直角に背屈させ筋腱や骨をしっかりと捉えながらモデル点をとることができました。テキストによる取穴法だけでなくベテランの先生方からは臨床的な取穴を学ぶことができ、今回は特にツボとツボでない箇所の感覚の違いを丁寧指導していただきました。慣れずにスムーズにツボへ手が止まらない人でも、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上はかれるのもこの研修会ならではの良い点であり参加者にとって大変意義深い時間となりました。

その後基本刺鍼を三班に分かれて行いました。衛気・営気の手法、特に手法時間を注意して見直してゆきました。いつものように腹部を使っての修練を行っていくのですが、小里式実技風景今回は衛気・営気それぞれの押し手の重さの確認からはじめ、次に鍼を用いての手法訓練を行いました。その後には、一人一人が手法時間の長から短の場合まで身体の変化をみていくことができました。ベテランの先生方とは気を動かせるスピードももちろん異なるところではありましたが、それでも衛気の手法の短さにはとても驚くところでありました。しかし、慣れないうちのこの驚きにより中途半端な手技になることが要注意だとのお話でした。この時に、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上を図れるのもこの研修会ならではの良い点でありその中で多くの刺激をうけながら丁寧に手技をみていくことができました。
 
 続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は小林先生のご指導のもと進められました。後のベッド二台には、それぞれ二木先生と岸田先生がついてご指導いただきました。まず、腰痛と、婦人科症状のモデル患者を治療してゆきました。もう一斑でも、二人の治療を行うことができました。この時間にも、基本刺鍼の時間に手法時間の見直しを行ったことを活かしそれぞれのベッドで手法を念入りに確認し、皆で体表観察しながら意見をまじえました。その他にも、鍼を一本打った後身体に気が巡る時間を考ながら診察・治療を進めたりとこれまでの延長線にありながら新鮮に感じた研修内容でありました。
                                         

                                            

報告ページ担当  若森千明 
 

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2月例会の報告

平成22年2月21日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで

内容
午前 「気血津液について」      岸田美由紀先生
    「脉診・脉論について」     二木清文先生                

午後 「取穴」        
    「基本刺鍼」
    「小里方式」

午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まずは、最近の政治のよどみについて話して頂きました。今の政治は先のビジョンを見据えているのだろうかそれだけではなく国の政治をになう代表の大人達の行動をテレビを通してみて育つ子供の影響へ不安を述べられました。鍼灸界の話題としては、大阪であった無免許鍼治療による気胸事件について触れられ、自らの学生時代の気胸体験も踏まえお話し頂きました。これを機に世間が鍼のイメージを良くは感じ取らないことを胸に留めつつ、我々の行動・言動にさらなる芯をもって「鍼灸」を伝えて行きたいと感じました。
午前講義1
午前最初の講義は、岸田美由紀先生による基礎講義で「気血津液について」でした。この講義をされるにあって、「どうして気血津液を学ぶのか」という原点に立ち返りまとめ上げられました。それぞれの各論・病理状態に時折臨床室のお話も交えて分かりやすく説明して頂きました。この変動を捉えてこそ治療に結びつく。そのことを理解して、基本をしっかりと押さえてこそ臨床での様々な病態と向き合えるのだということが改めて強く思った点でありました。

次は二木先生による「脉診・脉論について」の講義でした。本部例会で午前講義2の森本先生による「難経49難の攻略法」の復習となる内容でした。要点を確認した後には、森本先生のお話を聞いて感じ取ったことを臨床家の先生方から伺うことができました。「49難への忠実さ」「体系化の巧みさ」「細かなところまでみていく姿勢」などをはじめいくつも感銘を受けた点があげられました。滋賀で特に着目していた75難や、テキストに記載されていることにも講義内で触れてくださっていたことで、森本先生の解釈からとても新鮮に感じながらも、改めて学ばせて頂き、今まで以上のさらなる理解を深めることができました。

午後
午後は、まず腎経・胆経の取穴から始まりました。腎経の取穴取穴風景では然谷の取穴の際には、軽擦の段階で経絡の流注を垂直に一度きることで、生きて働くツボをより取りやすくなる方法を実際の実技として学ぶことができました。胆経の取穴では、一つ一つツボをみていく間に最近の臨床室からパーキンソンの患者さんで今まで使用していた胆経でも一つツボを変えたこと出かなり症状の安定が維持できるようになった例を伺うことができました。モデル点をベテランの先生と丁寧にみてゆき、毎月ご指導頂く機会で生きて働くツボの感覚をさらに覚え込んでいきたいと感じました。

続いて腹部を使っての基本刺鍼の修練をおこないました。ここでは、衛気営気どちらが手しているかを意見を交わしながら予想し、その後に実際鍼をうち確認に入ります。今回は衛気営気の手技をハッキリと区別させることを注意点としてあげられました。衛気の手法が長すぎる傾向がよく見られることから、ベテランの先生に実際に手技の長短での身体の変化を示して頂くことができました。治療は術者の自己満足では行うものではないと強く訴えられたのでありました。しっかりと感覚を押さえてから抜鍼するのでは遅すぎるのだとアドバイスを頂くこともできました。しかし、慣れないうちは抜くことばかりに気がいってしまうので、さらなる修練を重ねて行きたいと意気込みいっぱいに終えた時間となりました。
小里式実技風景
続いて、ベッド2台に分かれて小里方式を行いました。二木先生と小林先生のご指導のもとそれぞれのベッドに上がられた風邪と花粉症のモデル患者の治療を行ってゆきました。いつものように体表観察からはじめて、選経・選穴の段階では本部例会での森本先生の講義内容も踏まえた質疑も交わしながら証へたどっていきました。午前では岸田先生の気血津液のご講義を頂いたことでモデル患者の病理考察もさらに深く確認しあうことができました。
                                                                                                                                                                                                             報告ページ担当  若森千明 

 

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1月例会の報告

平成21年1月17日にき鍼灸院
午前10時40分~午後16時00分まで

内容
午前「腹部を用いての基本刺鍼」         
   「刺絡」    
   「円皮鍼」   
   「知熱灸」  
               

午後「取穴・臨床的自然体」 
   「子里方式」
   「ベッド2台を用いてのモデル治療」    二木清文先生
                            岸田美由紀先生
        

午前
今月は、にき鍼灸院でのオープン例会でした。まず小林先生、二木先生から挨拶を頂き参加者の簡単な自己紹介をしたところで早速実技時間をたっぷりと設けた濃厚な例会が始められました。

腹部を用いての手技修練風景

最初の実技は、ベッド4台にそれぞれ4班として分かれ、腹部を用いての衛気・営気の手法の修練を行いました。この修練方法は、患者の病態に対してどちらの手法が適しているのかが確認できます。行った手法がよいのか、悪いのか、肩上部・腹部・脈等の変化をみた上で客観的評価として捉えられました。手技の向上にむけてさらなる修練を重ねて行きたいとこの実技を通して改めて強く感じました。この時間では、指導者の先生から衛気の手法時の押し手の重さや、抜鍼時のタイミングが注意点としてそれぞれのベッドで多々上がっていました。それぞれの地方の先生方と共に実技を学ばせていただけることで、参加者同士の意見の交換も活発に行われてゆきました。

次に補助療法として、井穴刺絡・円皮鍼・知熱灸を行いました。刺絡実技風景
井穴刺絡では、この概念として営気の瀉法ですが、作用としては滞りを取り除き補をもたらすもの。つまり、痛む局所から沢山抜けば、良いと言うことではない所に注意が必要だとのことでした。使用する経絡の見極め方では、視覚によって血(おけつ)を判断する法・視覚を使わず手の感覚で血(おけつ)を判断する法、刺鍼方法、臨床室で井穴刺絡をいかに利用しているのかを伺うことができました。そして、実技ならでの刺絡後の脉の変化などリアルタイムで感じ学ぶことができ大変勉強になりました。。
円皮鍼では、円皮の得意所として擬似的に経絡を流す作用がありま

す。それを上手に作用させるには狙い目として重要なものとして「境目」をみつけるとのこと。そこで参加者同士で教わった境目を手の感覚の覚え込ませていきました。
知熱灸では、作り方、施術点の取り方など学び、普段の会場では火が使えない分リクエストが多かった実技であるので、体験も積極的にされ、沢山の質問が飛び交いました。
この知熱灸には、湿熱も加わっており、体験者の方からは、とても熱の伝わりが気持ちよいとの感想がありました。

知熱灸実技風景

円皮鍼実技風景

午後
 午後は、まず取穴・ベッド周りでの臨床的自然体を行いました。今回はにき鍼灸院での電動ベッドをお借りできたことで、自分にあった高さで、いかに臨床的自然体を作るのかを学ぶことができました。取穴をするといっても、患者の手、足など角度・位置、さまざまなのです。私たちが取穴をした後、指導者の先生が肩に手を当て、アドバイスに従い少し立ち位置を変えてみる。そこで自然体だと思っていた姿勢に肩の力が抜け切れていないことにハッキリと気づくのでありました。その後参加者で再度班に分かれお互いの苦手な取穴・自然体を見直すことができました。
次に小里方式を同班で行い、今回は滋賀以外の漢方鍼医会からの先生のアドバイスも受けることができ、とても刺激となる時間となりました。

最後に、二木清文先生と、岸田美由紀先生に二台の電

実技講演風景

動ベッドを用いて、モデル患者の実技公開をして頂きました。岸田先生は、主訴が腰痛のモデル患者を。二木先生は風邪のモデル患者を担当されました。実際の治療室と同じかたちで治療を進められ、無駄のない動きで、流れるような治療でした。その中で、患者の病態、生理、治療について細かな解説をはさんで下さることで、患者の状態が参加者にも詳細に伝わり皆参加型ともなる実技公開となりました。要望が多かった標治法についてもじっくりと伺いみることにより一層理解が深まりました。
丸一日を実技時間としてたっぷりに設けた贅沢なオープン例会。にき

先生の臨床室で使われている補助療法もしっかりと学ぶことができ、ベテランの先生方の治療室での姿を窺い知ることで、深く刺激を受けることができました。参加者の先生方からも、今日学んだことを明日から早速発揮していきたいとの声が多々ありました。このような普段ご一緒できない滋賀以外の地方漢方鍼医会のベテラン先生方と学びの場として交流できる貴重な機会は、一人一人の知識・意欲を刺激することでもあり、大変学びの多い時間を過ごすことができました。

にき鍼灸院でののオープン例会のあとは、かんぽの宿での温

新年会集合写真

泉、懇親会でした。向かうバスの中では、例会の反省を一人一人行っていきました。濃密な時間を例会で過ごし、かんぽの宿で心も体も癒し琵琶湖を眺めながらの温泉で疲れをとる。最後に皆で頂く食事はまた格別に感じるのでありました。懇親会では、滋賀以外からもベテランの先生方も集まられているこの機会に、臨床室でのお話を聞いたり最後まで贅沢な一日を過ごすことができました。今後への意気込みがます中、最後にはとても素敵なご報告があったりと今後の皆さまのご清栄を祈りつつ今月の例会は閉じられました。
       

 

12月例会の報告

平成21年12月20日 草津まちづくりセンター

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容  
午前「心・心包について」      水戸尚子先生      
   「脉診・脉論について」    二木清文先生                
        
午後「取穴」        
   「基本刺鍼」        
   「臨床的自然体」
   「小里方式」
    
午前
今月の例会は、二木清文先生による挨拶であった。今回の挨拶風景挨拶は、今年最後の例会ということで、先日発表となった毎年恒例の一年表す感じとして「新」をまずとりあげられた。これには今年大きく変化をあらわした政治下をみても一目瞭然、変化にプラスし今後の希望を含み「チェンジ」の年という意味も込められているのだというお話であった。それに繋がりリアルタイムの時事ネタへと移られた。鍼灸界の時事ネタとしても、消費税率の問題点等を例として分かりやすく鍼灸治療の世の中への大きな関わりを噛み砕いてくださり今問題となっている国家予算を救う面からも鍼灸・経絡治療の必要性を語られた。莫大な医療費も、念のための検査に慣れた私たち国民の意識を変えて行かねばならない。東洋医学特有の未病治がとても大きな力を発揮できる時なのである。そして、そのためにも我々は臨床家として効果を確実に出していかなければならない。そのためにも、今できることは先を見据えての投資であり、研修会への参加や、書物を読むことにより腕がさびないよう日々努めるようにとお話を締められた。
午前、最初の講義は水戸尚子先生による五臓の生理・病理で「心午前講義風景1・心包について」を漢方鍼医の基礎講座をもとに話された。心は最も重要な臓で、その働きは心包が代わっておこなっている。心の他の臓への関わり、また他の臓から受けている助けについても一つ一つの生理的働きをあげつつ、とても分かりやすく説明して頂いた。この講義の下準備を経て水戸先生は君火と相火の関係が少々曖昧に理解しがちだったことに気づかれ、今回詳細に取り上げてくださった。君火と相火についてはとても大切な概念であるのに我々も曖昧な理解になりやすい。そこで、このように定義から、生じる過程・互いの関係などを学べる機会を作って頂くことができ改めて理解することができた。終末には心・心包の臨床的質疑が交わされ、ベテランの先生の考えを多々伺うことができ貴重な時間であり、大変勉強になった。

次は、二木清文先生による「脉診・脉論について」の講義である。難経の脉・臨床について本部の講演をもとに、復習し皆の見解も伺いディスカッションを行っていったのであった。今回は名古屋の先生方による「胃の気脉診」についてである。胃の気とは、生命力の活動の根元であり、自然治癒力を働かせる根元とも言えるのだ。まず、胃の気脉診=五臓脉診や、比較脉診(脉差診)について詳しく述べられ、その後に胃の気とは、どのように見るものか。また二木先生はどのようにとらえられているのかを伺うことができた。また、滋賀漢方のベテランの先生方が、胃の気をどのように捉えてみているのかもお一人づつ意見を伺うことができ、諸先輩方の捉え方・考え方がとても臨床的で興味深いものであった。最後には、二木先生の臨床室で最近こられたぎっくり腰の患者さんを例に、先生の胃の気の脉の捉え方をお話し頂いた。
 
午後
午後は、まず肝経からの取穴で始まった。井穴では取穴風景井穴刺絡の際には爪甲根部が主であるが、本治法を行う時など臨床的に反応が出やすいものとして漢方鍼医会のテキストにも書かれている特別な取穴を実際に互いに取り合い学ぶことができた。次に、小腸経の取穴を行った。合土穴である支正は、経絡をなぞっていくうちに触れる感覚が骨から肉のベッドに変わる境を見つけるのだが、必死になり手を重くしてしまいがちでは反対に見つけがたいものとなるのであった。
その後基本刺鍼を三班に分かれて行った後に、今回は刺鍼時の臨床的自然体を学ぶことができた。一月にあるオープン例会の内容を少し先取りしてベテランの先生に教えて頂くことができた。ベッド周りでの取穴をして施術を行う時、自然体が難しい穴を皆がリクエストしあっていくつかの取穴姿勢をみていった。身体に無理自然体練習風景な力が決して入っていない自然体を作るのは難しくベテランの先生のご指導で少しの立ち位置の違いでかなりの無駄な力が肩に入ってしまっていることが各々に理解することができた。自然体での治療効果の変化はもちろん、治療家が不格好で無駄な力一杯に治療を行っては幾人もの患者さんを診ていく上で体がもつはずはない。一日に診れる患者の数が限られてしまうのだ。今回は、ベッドの高さが調節できなかったが、一月に控えたにき鍼灸院をお借りしてのオープン例会では、電動ベッドで高さを調節することができまた違った発見や学びをこうことができるであろうどのようなことが学べるのか、そこで何を感じ取り日々の臨床へと繋げることができるのか、来月のオープン例会が今からとても楽しみである。
 
 午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に分かれて行った。小里式実技風景今回は生内先生、里内先生、佐野先生がそれぞれのベッドでモデル患者としてあがられた。まず診察として望診や不問診を経て切診に移る。治療者間で意見を述べ合い、証が決まったところで指導者のベテランの先生からの見解も伺うことができた。その後には、軽擦をして三点セットの確認も済み使用する経絡・穴の最終確認ができた。実技として診察から治療を行っていくうえで指導者の先生、臨床家の先生とご一緒させて頂くことで今回も沢山の気づきがあり、大変勉強になった。そして、今年も研修会に参加することで刺激を頂き、来年に向けてのさらなる新鮮な意気込みをもって終えることができた。

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