6月例会の報告

平成20年6月15日 草津まちづくりセンター

   午前9時40分~午後5時まで   
内容    
午前「基礎講義」         小坂尚徳先生  
   「継続講義」        二木清文先生     

午後 「取穴」
    「打撲の治療」
    「営衛の手法」      
    「小里方式」
 

午前 
会長の挨拶では最近読まれた本の中のスタチンという物質について話して下さった。スタチンはコレステロールを下げる薬として日本人によって発見されたのだが、アルツハイマーや骨粗鬆症、リウマチにも効果があると言われ、まだ未知の部分も多い物質である。我々が行っている漢方鍼治療は、まだ科学的には証明されていない気を操作して行っているが、これもいずれ何百年後かには証明される日も来るであろう。自分たちが行っている治療に自信を持って日々臨床を行っていこうというお話であった。
午前の初めの講義は、基礎講義であったが、今回から、基礎講義を各先生が順に受け持ち、進められていく形式となった。今月は小坂先講義風景生の担当で、一つの症例をあげて、皆でディスカッションをしながら行っていくというものであり、あげられた主訴に対して皆が順に問診を行った。あらかじめ記された望診や、順に行った問診内容より、寒熱、虚実、四大病型を考え、病理考察をして証を立てていった。全員参加型の講義のため、全員が常に考えながら進められ、色々な先生の意見を聞くことで、自分の知識を増やしていくことが出来る大変充実した講義であった。

次の時間は、二木清文先生による継続講義であった。二木先生は地域清掃のため、遅れての参加であったが、その道中ホームから転落され、負傷されての講義となった。ご自身の転落体験と、身体の変化を病理を説明しながら講義されが、このような大変な体験をも、病態を見る機会に変えられる二木先生には臨床家としての姿勢を感じた。 今回の二木先生の講義は、漢方はり治療で調整の対象となる衛気と営気についてであった。普段臨床で重要な衛気と営気であるが、今回定義を再確認することで、衛気の手法、営気の手法が何を目的にしているか、どのように作用するかをもう一度理解し治すことが出来た。今回の講義を聴き、営衛の手法をしっかり区別することの大切さを改めて感じた。腹部を使っての営衛の手法の鍛錬をしっかり続けていきたい。

午後 
午後の初めの実技は腎経の取穴であった。太谿穴は、足底を屈曲して取穴すると内踝の後方になるが、屈曲せずに取穴するとやや足底よりに位置している。このようなことは、臨床経験から得られた取穴法であり、臨床経験の浅い先生は、その取穴法によって得られた穴の反応をしっかり覚えることが大切である。 

転落後の病態確認風景

次に転落後の二木先生の病態を望診、切診を通して把握するとともに、打撲の状態もしっかり確認した。転落(落馬)では、脾虚肝実になることが多いと古典にもあるが、脉診、腹診から、しっかり肝実の脉と腹部の状態が確認できた。脾虚肝実証で、火穴を使って本治法をすると同時に、打撲された腰部には瀉法鍼を加え治療を行った。転落後の状態から、治療前後の病態も確認でき、大変勉強になった。 

基本刺鍼では先月に続いて腹診による基本刺鍼の練習を行った。小里式実技風景この練習法では切診により、衛気か営気どちらの手法が必要かを見極める鍛錬と同時に、自分が行いたい手法がしっかり出来ているか確認することが出来る。初心の先生は、特に自分の手法をベテランの先生に確認してもらえる大変良い機会である。 続いて小里式では、聴講生のベッドと、他2つのベッドに分かれて治療を行った。回を重ねるごとに、病理考察も深まり、先生方の意見も活発に飛び交うようになっている。

back links . Misandmulkouban