12月例会の報告

平成21年12月20日 草津まちづくりセンター

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容  
午前「心・心包について」      水戸尚子先生      
   「脉診・脉論について」    二木清文先生                
        
午後「取穴」        
   「基本刺鍼」        
   「臨床的自然体」
   「小里方式」
    
午前
今月の例会は、二木清文先生による挨拶であった。今回の挨拶風景挨拶は、今年最後の例会ということで、先日発表となった毎年恒例の一年表す感じとして「新」をまずとりあげられた。これには今年大きく変化をあらわした政治下をみても一目瞭然、変化にプラスし今後の希望を含み「チェンジ」の年という意味も込められているのだというお話であった。それに繋がりリアルタイムの時事ネタへと移られた。鍼灸界の時事ネタとしても、消費税率の問題点等を例として分かりやすく鍼灸治療の世の中への大きな関わりを噛み砕いてくださり今問題となっている国家予算を救う面からも鍼灸・経絡治療の必要性を語られた。莫大な医療費も、念のための検査に慣れた私たち国民の意識を変えて行かねばならない。東洋医学特有の未病治がとても大きな力を発揮できる時なのである。そして、そのためにも我々は臨床家として効果を確実に出していかなければならない。そのためにも、今できることは先を見据えての投資であり、研修会への参加や、書物を読むことにより腕がさびないよう日々努めるようにとお話を締められた。
午前、最初の講義は水戸尚子先生による五臓の生理・病理で「心午前講義風景1・心包について」を漢方鍼医の基礎講座をもとに話された。心は最も重要な臓で、その働きは心包が代わっておこなっている。心の他の臓への関わり、また他の臓から受けている助けについても一つ一つの生理的働きをあげつつ、とても分かりやすく説明して頂いた。この講義の下準備を経て水戸先生は君火と相火の関係が少々曖昧に理解しがちだったことに気づかれ、今回詳細に取り上げてくださった。君火と相火についてはとても大切な概念であるのに我々も曖昧な理解になりやすい。そこで、このように定義から、生じる過程・互いの関係などを学べる機会を作って頂くことができ改めて理解することができた。終末には心・心包の臨床的質疑が交わされ、ベテランの先生の考えを多々伺うことができ貴重な時間であり、大変勉強になった。

次は、二木清文先生による「脉診・脉論について」の講義である。難経の脉・臨床について本部の講演をもとに、復習し皆の見解も伺いディスカッションを行っていったのであった。今回は名古屋の先生方による「胃の気脉診」についてである。胃の気とは、生命力の活動の根元であり、自然治癒力を働かせる根元とも言えるのだ。まず、胃の気脉診=五臓脉診や、比較脉診(脉差診)について詳しく述べられ、その後に胃の気とは、どのように見るものか。また二木先生はどのようにとらえられているのかを伺うことができた。また、滋賀漢方のベテランの先生方が、胃の気をどのように捉えてみているのかもお一人づつ意見を伺うことができ、諸先輩方の捉え方・考え方がとても臨床的で興味深いものであった。最後には、二木先生の臨床室で最近こられたぎっくり腰の患者さんを例に、先生の胃の気の脉の捉え方をお話し頂いた。
 
午後
午後は、まず肝経からの取穴で始まった。井穴では取穴風景井穴刺絡の際には爪甲根部が主であるが、本治法を行う時など臨床的に反応が出やすいものとして漢方鍼医会のテキストにも書かれている特別な取穴を実際に互いに取り合い学ぶことができた。次に、小腸経の取穴を行った。合土穴である支正は、経絡をなぞっていくうちに触れる感覚が骨から肉のベッドに変わる境を見つけるのだが、必死になり手を重くしてしまいがちでは反対に見つけがたいものとなるのであった。
その後基本刺鍼を三班に分かれて行った後に、今回は刺鍼時の臨床的自然体を学ぶことができた。一月にあるオープン例会の内容を少し先取りしてベテランの先生に教えて頂くことができた。ベッド周りでの取穴をして施術を行う時、自然体が難しい穴を皆がリクエストしあっていくつかの取穴姿勢をみていった。身体に無理自然体練習風景な力が決して入っていない自然体を作るのは難しくベテランの先生のご指導で少しの立ち位置の違いでかなりの無駄な力が肩に入ってしまっていることが各々に理解することができた。自然体での治療効果の変化はもちろん、治療家が不格好で無駄な力一杯に治療を行っては幾人もの患者さんを診ていく上で体がもつはずはない。一日に診れる患者の数が限られてしまうのだ。今回は、ベッドの高さが調節できなかったが、一月に控えたにき鍼灸院をお借りしてのオープン例会では、電動ベッドで高さを調節することができまた違った発見や学びをこうことができるであろうどのようなことが学べるのか、そこで何を感じ取り日々の臨床へと繋げることができるのか、来月のオープン例会が今からとても楽しみである。
 
 午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に分かれて行った。小里式実技風景今回は生内先生、里内先生、佐野先生がそれぞれのベッドでモデル患者としてあがられた。まず診察として望診や不問診を経て切診に移る。治療者間で意見を述べ合い、証が決まったところで指導者のベテランの先生からの見解も伺うことができた。その後には、軽擦をして三点セットの確認も済み使用する経絡・穴の最終確認ができた。実技として診察から治療を行っていくうえで指導者の先生、臨床家の先生とご一緒させて頂くことで今回も沢山の気づきがあり、大変勉強になった。そして、今年も研修会に参加することで刺激を頂き、来年に向けてのさらなる新鮮な意気込みをもって終えることができた。

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