平成23年1月16日 にき鍼灸院
午前11時00分~午後16時30分まで
内容
午前
「腹部を用いての臨床的手法訓練」
「アンケート結果よりリクエストの多かった実技の実習1」
(背部へのローラー鍼円鍼)
(擦火法)
午後
「アンケート結果よりリクエストの多かった実技の実習2」
(陽経腹診)
(臨床的自然体での取穴)
(整復法)
(小里方式)
(自己治療のポイントについて、および実習)
(小児鍼)
午前
今回のオープン例会は、寒波日にあたり交通機関や道中の影響を考え、30分繰り下げて開始されました。それでも皆が揃うまで少し時間がかかったおりもその時間を有効に使い、先に腹部を使っての手技確認や、菽法脈診について互いに見直しあうことができました。
腹部を使っての手法訓練では、まずベテランの先生がよりよい手法時間はいかなるものかを行い、その状態を参加者皆で実際に触れて変化を感じてもらう時間が設けられました。
この後に4台のベッドに分かれ、互いの腹部を使い手法の確認しあいました。
①ローラー鍼
②円鍼
③擦火法
を行いました。ローラー鍼円鍼では二木先生の臨床室での使用方法を実技を行いながら解説していただきました。標治法の仕上げ段階でさらに気を流してやることで気の真価が発揮され体表観察の段階では皮膚状態の変化がかなりはっきりと現れていました。各ベッドに分かれてそれぞれのベッドに着いていてくださる先生方に指導を受けて施術と受け手供に体験していただきました。治療目的、ポイントがどこにあるのか、刺激量の話、などそれぞれのベッドで質疑応答が飛び交い参加者の方々は積極的に臨床的ポイントを押さえていかれました。
擦火法でも同様に施術・受け手体験をされて右手と左手の使い分けから、終える目安としての皮膚状態の変化を自分の手で覚える事ができました。風邪の治療に使われることが多い擦火法は、体験すると身体がホカホカ温かくなり、風邪治療時に体験されると後に汗が大量に出て解熱ししんどさが抜ける瞬間はとても気持ちが良いものです。
午後
午後は「アンケート結果よりリクエストの多かった実技~後半~」として、
④陽経腹診
⑤臨床的自然体での取穴
⑥整復法
⑦小里方式
⑧自己治療のポイントおよび実習
⑨小児鍼
まずは、陽経腹診をみてゆきました。普段の例会から腹診をしていますが、改めて陽経腹診を見直すという時間はあまりなかったので、この機に復習するだけでなく新たに見逃しがちであった点に気づくことができたりと明日からの臨床室での課題ができたり学び深い時間となりました。六腑の基本としての見方から手法の充実度(不足)を知る術など腹から得られる情報の多さに学ぶ都度驚きを感じます。
整復法では今回、「骨盤」と「足関節」の整復を学ぶ事ができました。ここでは「骨盤」の歪みをみる方法は実に簡便で明日からの臨床室で早速使えるものを見せていただきました。ただのズレか、ねじれも加わっての歪みか上部でのズレか下部でのズレか等こまかな指導を受ける事ができ、「足関節」も同様座学だけではわからないことが実技を通して頂く事で更なる詳細の理解へと繋がりました。
小里方式では午後一番に学んだ陽経腹診もしっかりと活用してモデル患者の証決定へ導く事ができました。時間のある限り一つの症例を深く掘り下げて学ぶ班や一人でも多くと時間一杯まで症例を見てゆく班様々でしたが、ベテランの先生がそれぞれのベッドを回って一例だけ証を判断される時には、臨床家の先生ならではのスピードを目の前にし圧巻でした。
自己治療のポイントおよび実習では、片手しか使えないためちょっとした工夫が必要で、上肢への施術など自分では行いにくい部分に対してどのような対処をされているのか押手はいかにするのかツボに鍼をもってゆくコツ等も含め学ぶ事ができました。自己治療により自らの身体に教えて貰うことはたくさんあり、「病気」を知る事で患者さんの気持ちを理解できるということでもあるのでそのような時はチャンスと思いコツをつかんで技術向上に繋げていきたいと感じました。
最後に小児鍼では、実際に体験していただきながら最近多い皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎など興味深い小児鍼の臨床話を含め全体の概要説明を受けてゆきました。
この日はなんと、メインイベントに一日控えてもらっていたスペシャルゲストモデル5歳・3歳・1歳の美男美女に登場していただきました!皆、年齢・体格・性別・性格の全く異なるモデルさんの身体をお借りし小児鍼をさせて頂くことで治療面だけでなく子どもさんと向き合うということの意味を改めて感じ取る機会となりました。
彦根では約8年ぶりの積雪量で足場が悪く新年会が無くなるなど残念なこともありましたが、足場の悪さもなんのその、学ぶ意欲たっぷりに皆さん積極的に参加されてそれぞれに大きなお土産を見つけて吸収して帰られました。
参加者の方の感想として、座学を通し頭で理解したつもりでも実際に実技を通して感じる感覚の相違は実際に体験しないとわからないもので、今回強く感じた点であったと話してくださいました。自ら起こしたアクションがあってこそ出会う発見が、技術がそこにあります。これからも周囲の先生方に刺激を頂きつつ課題をつくったり乗越えたりと切磋琢磨して学び続けていきたいです。
報告ページ担当 若森千明