7月の例会報告

30周年記念特別セミナー

開講の辞 小林先生
東洋はり医学会滋賀支部から滋賀漢方鍼医会へと移り変わった30年間の学術の変遷について大まかに振り返りました。

記念講演  二木先生
「鍼は元々刺すことが目的ではなかった? 霊枢『九鍼十二原篇』から- 経絡治療の歴史を解説 -」と題して二木先生に講演していただきました。
まず、鍼は経絡・経穴を効率よく運用するための道具であり、そのためには先人が書き残した古典を読むことが必須であることを述べました。
次に、『霊枢』九鍼十二原篇の概要を解説することで古代には刺さない鍼がよく用いられていたが、長い歴史の中で刺す鍼が主流になっていったこと、昭和の初めに古典への回帰運動が起きて経絡治療が生まれたことなどを述べました。
次に、自らがてい鍼へと切り替えるきっかけとなった男子高校生の肉離れの治療エピソードを語りました。
更に、てい鍼で治療効果を上げるにはいかに正しく証を立てるかであり、そのためには陰陽説や五行説など、漢方医学の基礎を会得しなければならないこと、刺さない鍼こそが古典に忠実な方法であること、を力説し講演を締めくくりました。

基調講義 岸田先生
はじめに、古典の条文をあげながら従来のてい鍼の特徴を述べ、森本式・二木式てい鍼の原型が類経図翼にあることを述べました。
次に、なぜてい鍼で効果を上げられるのかについて、体表から臓腑に至るまで経絡がくまなく巡っており、そこに営気・衛気が流れている。この衛気・営気を調整することで身体の異常を整えることができることを述べました。
更に、治療効果を上げるための三つのポイントとして、支正、正確な取穴、刺鍼手技を上げ、それぞれ基本的自然体、臨床的自然体、鍼を持つときの薄皮一枚の感覚、衛気・営気の手法などについて解説し講義を終えました。

実 技
7班に分かれ、実技1時限目として、基本姿勢の確認、基本刺鍼、腹を使った刺鍼練習を、実技2時限目として脈診修練、腹診、取穴を、実技3時限目としてモデル治療をそれぞれ行いました。
モデル治療では、刺さない鍼の効果を体験した受講者からその効果に驚いた旨の感想が聞かれました。
実技終了後は受講感想、二木先生による閉講の辞を経てセミナーは無事終了しました。
セミナー修了後、会員は大津市にあるアヤハレークサイドホテルへと移動し、懇親会で大いに盛り上がりました。

1日目が終わって記念撮影
1日目が終わって記念撮影
琵琶湖の水面に朝日が反射している
2日目朝の琵琶湖畔

2日目
9:00~11:30を実技とし、二木先生の指導の下、円鍼、ローラー鍼、邪専用てい鍼の使い方を習練しました。

報告者 山森伸樹