9月の例会報告

平成23年9月18日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」 大野沙織先生 

  「症例報告」    小林久志先生

  「気功指導」    中尾俊哉先生

    
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式

午前は二木清文先生による代表挨拶から始まりました。

二木先生笑顔で挨拶

先日、自身が車にはねられそうになったことを題にされお話をされました。
事故では右足首を車の後輪が乗り越えていったとのことで、幸いにし骨折はなく外傷のみで済んだこと。子供が側に居なかったことをあげられました。先月の講義でありました脾虚肝実証で治療をされたそうです。交通事故の後遺症についてはこちらがプロという先生の自信に満ち溢れる言葉に、鍼灸師である会員は身が引き締まる思いとなりました。
また、会員向けのメーリングリストに会員の大野先生が開業後の営業報告をしたことより、二木先生が開業時で行った宣伝方法やその考え方について聞くことが出来ました。
現代はメディア時代ですが、先生の方法は今でも十分使えますので、今後開業予定の先生方、既に開業された先生方にとって大きなヒントになりました。

午前最初の講義は、大野沙織先生による「難経読み合わせ」でした。

今月は19難の読解進行をしていただきました。
19難は、脈象の陰陽の逆か順かで病医の内外が診別出来ることを、男脈・女脈に例えて説明しています。
男性と女性ではこの難で書かれているようにどの程度参考にして診ればいいのかという質問から、頭の切れる人の脈など、ちょっとしたところから二木先生から脈診の引き出しをいただきました。また、女性の尺脈につながる話から、不妊治療についての質問・意見交換が飛び交いました。その中でも、二木先生の妊娠した人の数十倍は不妊の方がいる、実は頻繁に妊娠がおこっているというお話から、ではなぜ懐妊につながらないのかということを臨床話を交えお話くださいました。不妊治療は鍼灸治療でも盛んに行われるようになってきたこともあり、それぞれの先生方からの質問が絶えず、二木先生が失笑してしまうほど充実したものとなりました。

次に、今月は小林久志先生による症例報告がありました。

小林先生報告風景

ケースは味覚障害と頭痛・立ちくらみの2症例でした。
味覚障害は治療期間が半年程で完治したとのことで、先生の手技について質問が飛びました。頭痛のケースは脳脊髄液減少症のケースも少なくないとのことで、病院でも診断できる医師も少ないとのことで案外よくならないタイプのものは当てはまるのではということでした。
なかなかよくならない患者さんに対してどうすればいいのかという質問に対する先生の答えが大変興味深く、一同爆笑となりました。施術者として必要なことを再認識させてもらいました。そして施術側にしか分からない反応、治療効果を伝えることも患者さんにとって希望につながるのだと感じました。

午前の最後の講義は、今月より始まりました「気功指導」を中尾先生のもと、全員で行いました。

みんなで動いている様子

15分と短い時間ですが、関節をひとつひとつ緩めていくことで、手がぽかぽかしました。
なかには汗をかかれた先生もいました。

二木先生と小林先生に中尾先生が直接指導

二木先生と小林先生には中尾先生がマンツーマンで指導くださいました。
来月は今月出来なかった背骨を緩める動作を教えていただけるようです。
何事も継続あっての習得ですので、日々の生活で5分でもいいから今日したことをしてみてくださいと、中尾先生から指導を受けました。
月に一度になりますが、実技以外で全員で体を動かす機会が出来、ますます楽しみが増えたと会員の声がありました。

午後の実技は取穴からはじまりました。

取穴の全体様子

今回は小腸経と膀胱経をみていきました。
小腸経の養老の取り方は、文章を読んでも分からず曖昧だったのですが、
二木先生が「こうして、これをこうするんです」と誘導するならば、
「こうするのか~、へぇ~!」と、歓声が上がりました。

そして、新人会員はベテランの先輩会員の指導のもと、きちんと経絡に触れているか、経穴をとらえることが出来ているかをチェックしていただきました。
とても繊細な作業なだけに、新人会員はベテランの先生方の感覚の鋭さに圧倒されるのでありました。

取穴の次は聴講班、基礎班と研修班合同とに分かれて基本刺鍼をしました。

全体風景

今月も二木先生が腕を出してくださり、指導を受けることができました。
それぞれ不足しているところを指摘くださり、課題を与えてくださいました。

隣のベッドでは岸田先生を中心に先輩会員が新人会員に指導をしてくださいました。
「メリハリがない」という声が聞こえてきましたが、これは誰もが通る問題なのか、今言われていない会員も、少し前は何度も指摘されていました。

合間にお茶の時間を挟み、実技の後半は聴講班1台、基礎班と研修班合同で3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

二木先生指導中

二木先生がベッドを行き来し、それぞれ確認をしてくださりスムーズに進めることが出来ました。この時間に一連の実技をすることで、治療をする側も、患者役になる側も毎回新しい気付きを得ることが出来ます。新しく入会された先生方も、少しでも疑問が出たことは遠慮することなく些細なことでも構いませんので何でも質問をぶつけてみてください。実はそこからプラスαの臨床話が広がり、とても充実した時間になります。

聴講班の様子

今月は連休ということもあってか、聴講生が3人と少なかったため、聴講班は担当の小林先生からマンツーマンで指導を受けることができました。

今月の例会後の指導者研修会では、岸田先生による七十五難の講義と実技が行われました。
今回、岸田先生の新しい発見から、小林先生の臨床結果後の検討、二木先生の3点セットの意義より、七十五難もバリエーションがあってもおかしくないという話でまとまりました。
今後どう発展していくのか楽しみです。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織 .