7月の例会報告

平成23年7月17日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」 土井麻琴先生 

「各臓の病症と治療について」 二木清文先生 

    
午後 取穴(実践的な取穴練習) 

小里方式

午前は二木清文先生による挨拶から始まりました。

二木先生の笑顔で挨拶

今回は研修会が実施している託児の話から自宅出産の話にはじまり、先日二木先生の弟夫妻の出産に立ち会った助手の若森先生が当日の様子を発表してくださいました。

当日は出産直前までお灸を据え、出産後も胎盤の痛みに対してのお灸を据えられたそうで、奥様によるとお灸をすると全然違うとのことでした。お灸は自然治癒力を高めるので、出産後の経過がお灸をしない場合と比べて良好とのことです。

また、出産前後の状況の中で、母親と父親の顔へと変化していくご夫妻の様子を目の前にして、 女性として感じることが沢山あったという、胸がいっぱいになる若森先生の感想を聞くことが出来ました。

次に先月の日本伝統鍼灸学会に参加した二木先生と水戸先生から感想を聞くことができました。

二木先生水戸先生

二木先生より今回の学会テーマが「日本鍼灸とは」ということについて、なぜ今頃になってこのテーマなのかということから説明をいただきました。

東アジアでは日本の鍼灸は知られているが世界の中では無名という現実より、海外は勿論日本のメディアに対してのアプローチを含めたものだったようです。

また、中国や韓国では薬学を含めた医学に対して日本は鍼灸のみであるが、日本の鍼灸は微妙な刺激で十分な効果がある上、強い刺激以上に体に変化を与えることが出来るということから、日本の中でも「てい鍼」が認められてきたこと。当会を含めた伝統鍼灸学会では、日本鍼灸の欠けている「共通用語のなさ」「患者さんに説明が出来る理論がない」これらをいち早く取り入れている団体が漢方鍼医会であるとのお話がありました。新しく入会した会員は勿論のこと全員で会の重要さを感じることとなりました。

そして水戸先生は、ストレスと鍼灸についての科学的な証明を裏付ける発表を聞き、早速患者さんに説明をされたそうなのですが、今後の鍼灸発展のためにも今以上に論文が世に出て、多くの人に鍼灸の良さを知ってもらいたいとお話がありました。

午前最初の講義は、土井麻琴先生による「難経読み合わせ」でした。

土井先生の講義の様子
今月は17難の読解進行をしていただきました。
17難は、病症と脈象の予後と転帰が書かれています。
病症と脈が一致するかしないかで予後と転帰をみるということから、臨床でも考えながら治療出来ればという話がありましが、つまづく点も多いため深く考えすぎないようにとアドバイスがありました。

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。

二木先生の講義の様子
今回は脾虚陰虚証でした。

陰虚の特徴である虚熱は盛んな熱ではないがずっと続く熱ということで、リウマチの話につながりました。西洋医学は患部にアプローチしてそのつど症状を抑えるのが得意ですが、東洋医学では患部を触らず全体をアプローチすることより症状が出ないようにします。このお話からリウマチの治療でも患部に鍼をほどこすことがないというお話を聞き、改めて鍼灸治療の意味を考えることが出来ました。

午後の実技は取穴からはじまりました。

今回は胃経を見ていきました。
いつもの倍近く取穴をしたのですが、グループ分けをして二木先生はじめベテランの先生方の指導のお陰で充実したものとなりました。

二木先生の取穴風景

二木先生と先生方の取穴、脈を取る様子

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班2台、基礎班と研修班合同で3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

基礎班・研修班の様子

小林先生治療の様子

聴講班指導風景

今月も聴講生が多かったのですが、二木先生の指導ということもあり、全員が先生の治療を受けることが出来たそうです。

また、今月の例会後は滋賀漢方独自で合宿を行いました。

バスで移動の様子

バーベキューの様子

来年の夏の漢方鍼医会20周年大会へ向けて、一致団結の気持ちを込めた企画となり、夜遅くまで臨床のお話や先輩方のアドバイスを受けることが出来、充実したものとなりました。

18日朝は二木先生から、強制的に血を動かすための道具である「寫法鍼」の説明・実技がありました。

二木先生指導の様子
寫法鍼といえども刺絡ほど過激でない特殊な道具なのですが、体験するまでは刺激の強いものだったらどうしようと心配しました。
しかし、言葉から感じ取るイメージとは裏腹に少し刺激がある程度のものです。
それでも血が動いていく具合が感じられ、みるみるうちに血行も良くなり驚きました。
初めて体験する先生方にとっては、新たな課題が出来ました。

つづいて中尾先生の気功教室が開かれ、皆で指導を受けました。

動き出してすぐに全身がぽかぽかして気の流れを感じることが出来たことで、鍼灸師としてはこういった気の訓練は必要なものだと感じました。

中尾先生と助手で活躍された井上先生には大変お世話になりました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

報告ページ担当 大野沙織

6月の例会報告

平成22年6月19日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」             若森 千明先生 

    「症例報告」                 岸田 美由紀先生     

午後 取穴(実践的な取穴練習) 

基本刺鍼

小里方式

午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。

今回はエステ勤めの患者さんより、本当の美は健康であるというテーマで東洋医学の立場でお願いしたいとお話の依頼があったそうです。
そこで小林先生は、日頃「鍼は怖い、痛そう」という声を聞いていたため、当日は実際に鍼を持参して説明をされたようです。豪鍼とてい鍼の形を見てもらうと理解していただいたそうで、皆さん興味津々で先生へ質問が飛び交ったそうです。

興味深かったのは、最近は気の話をしても「わかります」や、「なんとなくわかります」と、わかる人が増えてきているということでした。
気と呼吸、目に見えないものがポイントとのことで、私達にとっても、患者さんに説明する際のヒントをいただきました。

また、当日話を聞いた方々から予約をいただいたようです。
鍼灸を広めていくきっかけ作りとしての役割も兼ね、このような機会をどんどん作っていきたいということでした。
「興味はあるけどどこへ行けばいいかわからない」という声も聞くとのことで、先生だけでなく、続いて私達も自ら発信していくべきだと感じました。

次に6月1日に開業された生内優里先生、6月24日に開業を控えた大野沙織先生に滋賀漢方鍼医会よりお祝いの時計が贈呈されました。

生内先生笑顔で受取嬉しいポーズ
大野受取後のコメント場面

それぞれ色んな思いがあっての開業に拍手が送られました。

午前最初の講義は、若森千明先生による「難経読み合わせ」でした。

若森先生教卓の場面

16難の読解進行をしていただきました。
16難は、五臓について各症状がまとまって書かれています。
臨床ではあてはまらないものでもそこから勉強することが出来るというお話から、臨機応変に対応していくことが求められるのだという心構えを学びました。

次に本年度から新しい試みで取り入れました、症例報告の講義です。
今回は岸田美由紀先生にしていただきました。 

岸田先生教卓場面
岸田先生講義中の教室全体図

3例の報告がありましたが、薬が体に及ぼす影響の話に加えて治療で苦戦されたことを聞かせていただきました。事細かく経過を聞くことが出来、先生の治療スタイルが目の前に浮かぶほどでした。

午後の実技は取穴からはじまりました。
生きて働いているツボを正確に取れるように訓練します。
今回は二木先生の代役で佐野先生、若森先生が導いてくださいました。

佐野先生指導の場面
若森先生指導の場面

今回の取穴は大腸経をみていきました。
三間の取り方に特徴があり、何度もわかるまで互いに取り合いました。

手のアップ若森先生のマジック印

合谷は3つの取り方を確認しました。

取穴の次は聴講班、基礎班、研修班と分かれて基本刺鍼をしました。

全体の様子
小林先生が聴講生の基本刺鍼の指導場面

今回は押し手圧と押し手の作り方など基礎となるところを確認しました。
皆で確認し合いながらの作業ですので、自分では気付かないところを指摘してもらえます。

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班2台、今回は基礎班と研修班合同で2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

全体の様子

今月も聴講生が多く、とてもにぎやかに行われました。
また、入会者もぞくぞくと増え、今年も滋賀漢方鍼医会はエネルギーに溢れる会へと進化し続けます。興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                    報告ページ担当 大野沙織