10月の例会報告

平成24年10月21日 草津まちづくりセンター

午前9時40分~午後16時30分まで(17時より指導者研修会・自由参加)

内容

午前「難経読み合わせ」  二木優子先生 

  「臨床報告」  井上利和先生、岸田美由紀先生

  「気功指導」  中尾俊哉先生

    
午後 取穴、基本刺鍼、小里方式

午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。

連日紙面やニュースで取り上げられましたiPS細胞を研究されている山中教授のお話からはじまりました。最新医療というものはどうしてもお金がかかり、保険も利かず、皆全員が平等に受けられるものではないといった課題が山積みでもあります。

話の流れでご友人が病気をされた際の話をしてくださったのですが、当時の移植手術は億を超える莫大なもので、親に言えばなんとしてでも工面するだろうからと、迷惑をかけられないという考えで、ご友人の方は残りの人生を精一杯生きたそうです。

また、ご自身の定期診断での検査はなるべく体の負担にならないよう受けたくないと感じていたそうですが、前回より不要だと感じた定期検査を担当医と相談をし今後拒否をする形をとられたようです。確かに流れ作業のように、明らかに不要なのではと過剰に感じる検査、投薬も多く、医師の指示するがまま受けると医療費がいくらあっても足りない、これを改善できれば本当に必要な人への医療に回せるのではと思いました。

最近は西洋医学でも未病というテーマを揚げる講演も目にするようになりました、CMでも東洋医学の言葉を頻繁に耳にするようになりました。漢方鍼医会はまさに未病という点では再発予防、病気になりにくい体をつくる治療ができるわけで、これからの医療には必要なものです。だからこそ世間にもっと広く広めていかなければいけないという、西洋、東洋お互いのいい部分を出しながら進歩をしていければということでした。

 

午前最初の講義は、二木優子先生による「難経読み合わせ」でした。

今月は33難の読解進行をしていただきました。33難は脈位、臓腑の位置関係を五行との矛盾点に絡めて述べられています。質疑から、治療に関係する剛柔関係について臨床での治療例を聞くことができました。

次に井上利和先生、岸田美由紀先生による「臨床報告」でした。

井上先生は長野で治療院をされています。得意分野は五十肩で、誰でもできる治療のコツを丁寧に教えてくださいました。既に井上先生と交流のあった先生は指導後いい結果が出せています。そして「てい鍼」だけで治療効果が出せていることに改めて喜びの報告がありました。

岸田先生は三重で鍼灸院を営んでいます。二木先生の第一助手で感覚に優れたベテラン先生です。顔面神経麻痺の治療例を詳細にお話くださいました。興味深かったのは下から上へ上がっていって治っていったということ、深いところの気は流れても浅いところの気が流れないと表面的には治っているようにわからないが、実際患者さんが病院の先生より治癒へ向かっていると診断をいただいたというお話でした。

 

 午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。今月も基本となる重心移動、太極拳の動きを復習しました。

午後の実技は取穴からはじまりました。
当会でしている取穴は臨床で生きて働くツボを取る訓練をしています。
今月も単に線と線でつないだツボを取るのではなく、体のラインに沿ったツボを取る練習をしました。ちょっとしたことで全反応が変わることに、新しく入会された先生も驚かれておりました。
 

取穴の次は基礎班と研修班と合同で基本刺鍼をしました。腕やお腹を使ってお互い指導を受けます。

 今回二木班では唯一女性が一人おり、二木先生から「邪念の女王」と呼ばれながらも、終盤はちゃちゃにも負けず(笑)、結果を出し安堵するというシーンがありました。
 
間にお茶の休憩時間を挟、小里方式を行いました。
気血津液論でいくか、邪正論でいくかの見極め方が理解できました。
そして漂治法のはりの転換法の謎も、ようやく理解する余裕ができました。
 
聴講班では若森先生が担当くださいました。

指導者研修会では岸田先生より脈状についての講義がありました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織