10月例会の報告

平成21年10月17日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  
 
内容

午前「難経読み合わせ」             土井麻琴先生 

    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       
 

午後「取穴」    

   「基本刺鍼」                      

   「小里方式」   

 
午前
会長挨拶風景今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。時事ネタに続き、鍼灸の話ではティッピングポイントについて話されました。ティッピングポイントとは、小さなことも重なることで大きなことに変わるその瞬間を指すそうです。その瞬間は、毎日の臨床そして毎月のこの研修会で繰り返しをしているように、続けることで体験できる。つまり学び始めたばかりで未熟だとしても、わからないことがあってもティッピングポイントはベテランか否か関係なくおとづれる瞬間は平等なのです。学び続けることに大いなる意味がある点を理解し、プラス成長スピードを加速させる大きな一手として目的意識をはっきりさせることあげられました。ティッピングポイントも然り、壁を抜ける瞬間の喜びをそれぞれに感じ学び・修練を楽しみながらともに学んでゆこう!と会長挨拶をしめられました。
午前講義風景1
 

午前最初の講義は、連続講義六回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は土井麻琴先生による講義で8難の読解進行をしていただきました。8難は、文頭で死脈の一つの診方をあげて生命の根本である生気の原の大切さが説かれています。この難では意見交換を通して死脈といっても幾通りもあることを学んだ事が印象的でした。ここでは、生命の根源・陰の部が途絶えてしまう事で平脈も死に繋がることがあると書かれていますが、死脈はもちろん平とのイコール(=)ではなく挙げられた幾つかの意見の中には虚実のあいまいさや脈状の変化などがありました。土井先生のご経験のなかから「生きようと残る炎が燃え盛るような脈」の話などをお聞きし生死が言葉どおり二文字で単純明快に表せないことのように奥深さを考えなおす機会を頂いたように思います。その他文中の生気の原やせいき(生気・正気・精気etc,,)腎間の動気などを学ぶと供に聴講の方にもわかりやすくベテランの先生の気の概念、捉え方まで話しの幅が広がってゆき密度の濃い内容でありました。(次回の予定は9・10難へ~to be continued・・・)   

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。本題に入る前には前半の講義最後に出た質問である【腎間の動気】にいついてわかりやすい説明を受ける事ができました。講義本題では、前回時間が足りず触りだけであった「一・肺の病症と治療」 に深くはいってゆき肺の「気を主り呼吸を主る」「宣発と粛降を主る」「通調水道を主る」「百脈を朝め心脈を助ける」などの生理機能を踏まえうえで、今回は外感病の初期に対する治療にもあたる【肺虚陽実証】について学びました。 肺の精気が虚すれば陽気は徐々に停滞し充満した状態となってゆくものです。そこからの病の伝変の流れを学び、精気の虚や寒邪の程度によって現れる緊脈についての話なども補足して頂きつつ治療例までみてゆくことができました。次回は続きとしての陽経処置のお話へと続きます 。             

 

午後

取穴風景
午後は、まず心経・胆経の取穴から始まりました。心経では、尺側手根屈筋腱の尺側縁をしっかりと捉えながらみて行く事ができました。心経でも奇経で使われる通里穴があるので同じ穴でも取り方が異なるため、あやふやにならないためにも意識しながら取穴をしました。胆経ではモデル点の中でも後ろに移動しやすいものなど研修会を通して構築・確認されたより臨床的なものを学ぶことができました。この時間はただの取穴だけで終わらない、研修会に参加された方のみが持ってかえれるベテラン先生方の臨床話がふんだんに潜んでいるのでぜひお土産として臨床こぼれ話や感覚をつかみとり明日からの臨床室に繋げてゆきたい。
 次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。今回も衛気営気どちらがその病態に合うものなのか幾例かみてゆき手法の確認を致しました。その他では、脾のみどころである臍周囲の診方や、午前講義の話題から腎間の動気についても実際の実技として再確認することができました。
基本刺鍼実技風景
続いては、聴講班・基礎班・研修班は1台づつベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班では一番重要な基礎の基礎部分をじっくり時間をかけて行い、最後にはお昼時茶の間で吉本を見て育たれた二木先生の軽快かつ爽快圧倒される関西トーク・・・臨床話術とともに漢方鍼治療をみて体験して満喫して頂きました。基礎班研修班の一例では腰下肢の病例で69難を使って治療してゆきました。研修会が終わり指導者研修会では会員数も次々と増えている中後継者として指導できるものの育成を図る場として今回は49難特集で仮定治療を行ない変化を確認しあうことができました。ここでは49難が適合する症例を見ることができ治療を受けた方の変化は実に興味深いもので後にメーリングリストでの意見交換まで及びました。
                                    報告ページ担当  若森千明  

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