平成21年3月21日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前 「陰陽五行論について」 小林久志先生
「脉診・脉論について」 二木清文先生
午後 「取穴」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。日本中を熱くしたオ
リンピックの話題からはじまり、年度末ということで滋賀漢方鍼医会の昨年度・今年度そして来年度についてまとめてお話し頂きました。これまで本部・地方共に難経講演をしていただいた事で、難経の意味するところ、今後私たちがみていくべき視点について定めを付けることができました。次は、滋賀ではテキストの通読も取り入れそこから意見交換をすることで、さらなる学びとしようと今後の動きについて述べられました。
午前最初の講義は、小林久志先生による「陰陽五行論について」でした。西洋医学では病名が必要ですが、漢方医学では病名なくとも病態生理をつかみ人体の陰気と陽気の変化を捉えて、人体中の気の調和を取ることで治療してゆけます。そして、今回のテーマである陰陽五行論を学ぶにあたりポイントとなるのが「この論をいかに臨床応用するか」。その着目点を押さえるように述べられた上で陰陽・五行続いて四大病型、治療とお話を進められました。そして、アドバイスとして陰陽五行は生理とあわせて学ぶと理解しやすいとのことでした。これらを皆で臨床応用していこうというのがこの研修会の意義でもあるのだと参加者、そして聴講の方へのメッセージとして締められました。
次に、二木清文先生による「難経脉論について」のお話でした。今回は本部の「命門・三焦」の講義をもとに話されました。本部のベテランの先生方の古典へのリンクのさせ方などとても勉強になるので、もう一度録音を確認することをまず勧められ講義内容に入っていきました。まず、命門については二木先生の臨床からのお話を交え腎間の動悸がいかなる状態かを見逃さずにいたことで予後を察知できた時の印象的なケースを伺うことができました。本部でも質問が上がっていた三焦の臨床応用についても話された後、締めは手技のお話でした。手技時の着目点と、気の流れからのタイムラグをさらに考慮する必要性をあげられました。そして適切な押し手の重さが自分はできているか、腹部での確認をしさらなる手技の修練を行うべきだと述べられ、午後の実技への課題として繋げられました。
午後
午後は、まず脾経・三焦経の取穴から始まりました。商丘穴を取穴するときには、取りやすいように足関節をほぼ直角に背屈させ筋腱や骨をしっかりと捉えながらモデル点をとることができました。テキストによる取穴法だけでなくベテランの先生方からは臨床的な取穴を学ぶことができ、今回は特にツボとツボでない箇所の感覚の違いを丁寧指導していただきました。慣れずにスムーズにツボへ手が止まらない人でも、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上はかれるのもこの研修会ならではの良い点であり参加者にとって大変意義深い時間となりました。
その後基本刺鍼を三班に分かれて行いました。衛気・営気の手法、特に手法時間を注意して見直してゆきました。いつものように腹部を使っての修練を行っていくのですが、今回は衛気・営気それぞれの押し手の重さの確認からはじめ、次に鍼を用いての手法訓練を行いました。その後には、一人一人が手法時間の長から短の場合まで身体の変化をみていくことができました。ベテランの先生方とは気を動かせるスピードももちろん異なるところではありましたが、それでも衛気の手法の短さにはとても驚くところでありました。しかし、慣れないうちのこの驚きにより中途半端な手技になることが要注意だとのお話でした。この時に、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上を図れるのもこの研修会ならではの良い点でありその中で多くの刺激をうけながら丁寧に手技をみていくことができました。
続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は小林先生のご指導のもと進められました。後のベッド二台には、それぞれ二木先生と岸田先生がついてご指導いただきました。まず、腰痛と、婦人科症状のモデル患者を治療してゆきました。もう一斑でも、二人の治療を行うことができました。この時間にも、基本刺鍼の時間に手法時間の見直しを行ったことを活かしそれぞれのベッドで手法を念入りに確認し、皆で体表観察しながら意見をまじえました。その他にも、鍼を一本打った後身体に気が巡る時間を考ながら診察・治療を進めたりとこれまでの延長線にありながら新鮮に感じた研修内容でありました。