平成24年5月20日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「難経読み合わせ」 中尾俊哉先生
「基礎講座」 岸田美由紀先生
「気功指導」 中尾俊哉先生
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式
午前は二木清文先生による代表挨拶から始まりました。
はじめに先日の自身の歯の神経の痛みから鍼灸で対応できないものについてお話がありました。抜歯の後、虫歯や歯槽膿漏の痛みを一時的に止めるというものは鍼灸の対応分野で、脈をうつような痛みは治せるが、痛みがじーっと襲ってくるものは神経の炎症として歯科の分野になるとのことでした。鍼灸は万能といわれるのですが、緊急手術や出血多量などには対応せず西洋医学の技術に任せることが治癒の近道であります。同じように歯の神経の炎症によるもの、抜歯が必要となった場合は鍼灸ではなく歯科医に任せるということで、全てが鍼灸で解決できないというところでもどかしい、苦い思いをされたということでした。
また、原発問題から日本産業の情報の氾濫について、鍼灸でも同じことがいえることのことです。鍼灸の多くの情報のなかでも、どれがいいか、どの手段が患者さんにとってベストな選択なのかということを考えていくことが大切とお話をしてくださいました。
午前最初の講義は、中尾俊哉先生による「難経読み合わせ」でした。
今月は28難の読解進行をしていただきました。28難は奇経八脈の経路について述べられています。質疑では督脈を臨床でどう使っているか、流れの疑問に対して各先生方から応答がされました。興味深いものでは妊娠中は任脈が通るお腹に毛が生えたというお話がありました。
次に岸田美由紀先生による基礎講座「各臓の病症と治療について」のお話でした。今月は「陰陽論」「五行論」「三才」「剛柔論」「虚実と補寫」「邪正論と精気神論」の読解をしていただきました。
午後の実技は取穴からはじまりました。
今月は肝経、胃経をみていきました。
漢方鍼医会が独自にまとめあげた取穴書に基づくものであり、一般的なツボの取り方と異なる部分も多くあります。ひとつひとつ丁寧にみていきました。
当会では臨床に役立つ経穴の取り方を学んでいます。
取穴の次は基礎班と研修班合同で基本刺鍼をしました。
自分の治療室では堂々とできるのに対して、研修ではベテランの先生に囲まれるということで萎縮してしまうところがあります。研修は、開業を一人でされている先生の場合は独りよがりにならないための修正の場であります。勤務をされている先生は現場で違う手技をされていても、月に一度の研修はていしんを扱う手の感覚を取り戻す場となります。基本ができないと応用ばかりか治療効果も反映されないということで、実技の中でも一番集中する時間であります。
つづいて基礎班と研修班で3台のベッドに分かれて小里方式を前半・後半の2部に分けて行いました。
背中の鍼をした後にまだ気血が停滞し、粘りがあるような時にする手技を学びました。今まで何度か質問をしたことがありましたが、今回初めて頭に入って理解出来たのは引き出しに入れる余裕が出来たということでしょうか。
滋賀のアットホームな雰囲気のいいところは、一度聞いたけどなんやったっけ?となっても恐る恐る聞くと、根気よく教えてくださる先生がいるというところです。また、研修は毎月同じことの繰り返しなのですが、その月々に得るものは違います。あの時学んだことが今使えるようになる、そんな思いがけないプレゼントが毎月やってくるのです。滋賀まで何時間もかけて泊りがけで来られる先生もいれば、院を定休日にして来られる先生もいます。先生方全員がそれぞれの思いで毎月楽しみに研修を受けられています。
聴講班は小林先生が担当くださいました。
例会後は指導者研修会が行われました。
興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。
一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。
報告ページ担当 大野沙織