平成25年5月19日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「難経読み合わせ」 土井麻琴先生
「基礎講座」 小林久志先生
「気功指導」 中尾俊哉先生
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式
午前は二木清文先生による代表挨拶から始まりました。
夏期研修会についての案内からはじまり、治験発表がありました。にき鍼灸院では電子カルテを導入されているのですが、面白いメリットとしては十何年も前に来院された患者さんが来られた際にパッと情報が出てくるという点です。紙のカルテではこうはいきません。
治験発表では、50代女性:肩こりと頭痛を主訴とし、子供の頃からの冷え性と頻尿については鍼灸には全く期待せずにご来院された患者さんについて話を聞くことができました。一日に行く回数が20回ほどで夜は寝れても2時間という状況でしたが、治療を重ねていくうちに3時間となり、週に1度の治療で10回目を超えた時点でお手洗いに行く回数も20回が10回程度になり、一晩寝れるようになったとのことです。
今までは3~5回ほど邪正論での治療をし、その後は気血津液へ移るケースが一つのパターンでしたが、慢性のケースだと20~30回と継続しての邪正論のケースもあるということがわかったということでした。
午前最初の講義は、土井麻琴先生による「難経読み合わせ」でした。
今月は39難の読解進行をしていただきました。39難は38難に引き続いて臓と腑の数について解説したものになります。難経を読むだけでも勉強になるが、読んで臨床とつなげて考えるというのも勉強になるということから、今回は講義の間に質疑を入れるという形で行われました。
今月は蔵の関係性、経絡についてでした。今回一度も教科書を見ることがなく、1時間講義で話をされている先生の姿に圧倒されました。
午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。
午後の実技は取穴からはじまりました。臨床で使う生きたツボを取る練習をしています。1ミリでもずれると効果も半減してしまうため、最も神経を集中させる時間でもあります。
今月は人数が多かったということもあり、全員がすべての取穴をすることができませんでした。取穴をして一発OKが出ればスムーズにいくのですが、なかなかそんなシーンがなく、何度も指導を受けてのOKに、思わず胸を撫で下ろします。
つづいて次は基礎班と研修班に分かれて基本刺鍼をしました。
滋賀漢方では、刺さないはりという「ていしん」を主に勉強しています。基本刺鍼は土台となる部分でこれを疎かにしては何も出来ません。練習の仕方は腕でやり合い意見を言うものと、お腹を使い反応を見るものがあります。腕でする場合はそれぞれの先生の感覚や許容範囲というものが目安になるのですが、お腹でするとなると、お腹、肩、脈の変化をみる3点セットを確認できるため、客観的にもいい手技が出来ているか出来ていないかがハッキリします。
お腹は、触る前に遠目で見ただけでも肌がふんわりと緩んだ、ざらつきが消えた、くすみが取れたなど、変化が出ます。聴講の方はささないはり「ていしん」でここまで変化が出るものなのかと驚かれます。
つづいて基礎班と研修班、3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。
それぞれの考えで証を決定するのですが、 これで間違いないだろうと納得する場合でも、いざ確認作業をすると「あれれ?」となることがあります。そうなった場合は後で病理を考えるのですが、単純なものでない限りは腑に落ちないケースも出てきますので、帰宅の電車の中で話題になったりします。
聴講班は土井先生が担当くださいました。
今月は小林先生より陽経腹診についての説明があり、その後二木先生がモデル患者に対して順に陽経腹診を行い、解説をしてくださいました。陽経腹診は過去に滋賀漢方で研究をしていたのですが、入会して間もない会員は使用したことがないため、積極的に知識を吸収しようと集中した時間となりました。
興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。
一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。
報告ページ担当 大野沙織