11月の例会報告

平成23年11月20日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」      井上利和先生 

  「各臓の病症と治療について」 二木清文先生

  「気功指導」         中尾俊哉先生

    
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式

午前は二木清文先生による代表挨拶から始まりました。

自身のお子さんのポリオ接種の話から、日本の承認ワクチンについての説明がありました。
生ワクチンは頻度は少ないのですが、生ワクチンを飲んだ人や保護者など周りの人に、ワクチンの副作用として小児まひが起こることがあるのですが、国内で承認されているワクチンは、今のところ経口生ワクチンしかありません。先進国でいまだに経口生ワクチンを使用しているのは日本だけで輸入は避け、国内で作ると一点張りで何年先になるかわかりません。このような状況下で神奈川県では独自で不活性化ワクチンを輸入して接種できる環境を整えました。国からの批判は免れないようでしたが、患者の為を考えればそうするべきだという考えに至ったのでしょう。我々鍼灸師も患者さんへの治療は患者目線でなくてはならないと、鍼灸に置き換えてのお話がありました。

午前最初の講義は、井上利和先生による「難経読み合わせ」でした。

井上先生講義

今月は21、22難の読解進行をしていただきました。
21難は脈象と病態を比較し、脈象が優先するという原則を説明しており、22難は是動・所生病についての説明があります。どちらの難もそのままの受け取りであまり臨床では重きを置いていないということでした。どこまでが病症の脈なのかという問いには、患者の訴えと脈の訴えが異なる場合は本来の気持ちのいい脈にしても逆効果になる場合があるので適する脈にするという臨床の話を聞くことが出来ました。最後に10分の時間が余ったので臨床の質疑がありました。

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。

二木先生笑顔で講義

今回の講義は肺虚肝実証についてでした。
病理の説明と臨床の話を交えてお話くださいました。
肝実は瘀血が左下腹部に溜まりやすいのですが、これを鍼では気を動かして血を引っ張っていくことに対し、薬方では溜まっている血を出す=瘀血を重視した治療になります。同様に中医鍼灸は薬方と同じ考えですので血に対してのアプローチをする鍼の技術や灸の技術があり、日本でも行われています。しかしながら、経絡経穴を駆使して血を流すことが経絡治療であり、難経の狙いである肝経を触らずとも治療をすることは当会の目指していることであります。
10数年前は鍼でも血を動かせる鍼を追求していくべきと言われていたことが当会で行われている手法で出来ており、先生方の観察力には脱帽する思いです。

午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。

気孔動作全体様子

来月は逆腹式呼吸をします。

午後の実技は取穴からはじまりました。

二木先生取穴様子

今回は三焦経と胆経をみていきました。
基礎班組はチームワークよく、確認しながら皆で脈の確認が出来るようになってきました。それぞれが納得するまでやり合います。また、新人会員の手を取り試行錯誤する様子はだんだん成長している証拠でありました。当会では臨床に役立つ経穴の取り方を学んでいます。

取穴の次は聴講班、基礎班と研修班合同とに分かれて基本刺鍼をしました。

聴講班は二木先生が指導してくださいました。

二木先生指導中

合間にお茶の時間を挟み、実技の後半は聴講班1台、基礎班と研修班合同で3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

実技風景

問診をしながらそれぞれ証を導き出すのですが、迷っているうちに体表の変化が起こってしまいました。それでもそれぞれの証が合うか確かめるとこれだというのが出てきます。経験の浅い会員にとっては体表観察からの治療パターンで今まで見る機会のなかったものになりました。
聴講班が最後まで時間をとってしていたため、早く終わった班の会員が二木先生を囲み、質疑応答が行われました。こんなこと聞いてもいいのかなという質問から、へぇ~という答えが広がり、少しでもわからないことがあれば聞くべきだと思いました。

今月の例会後の指導者研修会では、「基礎実技特訓講座・体表観察」が行われました。

通常は入会して半年の会員対象の研修会ですが、基礎の特訓ということで入会してまもない先生も参加ができます。来月も続きます。
今月は体表観察ということで先月の腹診から病理を考え証決定、3点セット(肩・脈・お腹)で確認する復習を含めたものとなりました。基礎班組は研修班の先生方の誘導より、病理考察についてまだまだ未熟さを感じることとなりました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織