7月の例会報告

平成24年7月15日 草津まちづくりセンター

午前9時40分~午後16時30分まで(17時より指導者研修会・自由参加)

内容

午前「難経読み合わせ」  平島正大先生 

  「臨床報告」  小林久志先生、大野沙織先生

  「気功指導」  中尾俊哉先生

    
午後 奇経治療、小里方式

午前は岸田美由紀先生による挨拶から始まりました。

4月から一人暮らしを始められたそうでそのひとつの理由でもある玄米菜食にされたお話をしてくださいました。玄米菜食と聞くと健康的なイメージをしますが、岸田先生の場合はそれが目的ではなく、お肉を食べることで環境や餓死という地球上の人類の問題点につながっているということで食べないように努めておられるとのことでした。

お肉はどこからの恵みかといいますと例えば牛や豚や鳥など私たちの食卓を大きく占めるものがあります。その動物達を育てるための飼料のほとんどは穀物であり、その穀物は世界で生産される穀物のうち6割は人間の口に入るもの、4割は家畜の飼料にされています。もし、家畜で使われる穀物が全て人間のもとへ配られれば、餓死を防ぐことにつながるのではないか。また、家畜の飼料の穀物には純粋な穀物ばかりではありません。動物達を大きく太らせようと余計な人工物を入れられます。その人工物は動物たちの腸を破壊し、世間を騒がす大腸菌だけでなく、動物たちの便や尿などから人工物が流れ、川や海が汚染、土壌も汚染されていきます。これらの人為的で起こっている現状問題を踏まえ、何から出来るのかという視点より玄米菜食を始められたそうです。

午前最初の講義は、平島正大先生による「難経読み合わせ」でした。

 今月は30難の読解進行をしていただきました。30難は衛気と営気について述べられています。質疑では臨床ではどのように考えられているか?衛気、営気の今までのイメージと違う、1日に気が50周するのはどうやって調べたのか?というという問いがありました。

次に小林久志先生、大野沙織先生による「臨床報告」でした。

大野先生は鍼灸学校卒業時の昨年6月24日に地元枚方で開院、1年の臨床を振り返り当時の治療と現在の治療の量、内容の変化を交えてお話されました。坐骨神経痛、骨折後の肩のしこり、2例の治療報告がありました。また、後半は「開業初心者が行った集客法」として開業当時に試行錯誤し結果を出した内容を全てさらけ出してお話されました。今月は聴講生の学生さんが多かったため、今後開業されるのはもちろん巡ってきたチャンス・運を逃さないようにするための心構えについて予定外にヒートアップされたようです。

小林先生は滋賀で鍼灸院を営んでいます。誰もがほっとするベテラン先生で、昨年も臨床報告をしてくださいました。今回は一人目は問題なく産めたが、二人目がなかなかできないという不妊のケースで主訴は腰痛でした。治療を続けていくうちに最近の体の変化から妊娠されたかもしれないということで連絡待ちのようです。振り返ると、女性なら気がかりである重要な経絡上の反応に寫法鍼をしたのがよかったのかもというポイントが聞け、聴講生の方々は寫法鍼を見たことがないので実物を見て触って確認する場面がありました。

 午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。

今月も基本となる重心移動、太極拳の動きを復習しました。

午後の実技は奇経治療の実技講習からはじまりました。

奇経治療は即効性があり持続性がないもので臨床で使う際はベッドに寝ることが出来ないくらい腰が痛いという方になどに治療の前に行うということです。実際に体験すると本当に一時的に動きの悪いところが動くようになったのですが、少しでもつぼがずれると効果が半減するので使いこなすことが出来ると面白い表現ができると感じました。

取穴の次は基礎班と研修班と合同で基本刺鍼をしました。

基本中の基本となるということで、時間が少しオーバーしてしまうほどそれぞれ熱心に指導を受けられました。治療ではほんのちょっとしたタッチで全くの別物に変身してしまうため、毎月毎月少しずつ修正され、磨きをかけています。

つづいて基礎班と研修班合同で2つのベッドで小里方式を前半・後半の2部に分けて行いました。

今月はどの経絡を確認してもいまひとつという反応で苦戦しました。また、つぼを確定しても、ベテラン先生とのつぼの取り方が違い同じような反応を出すことが出来ませんでした。治療に結果が出ず、後味の悪い実技は初めてで、どうすればよかったのかを考える課題となりました。

聴講班は小林先生、土井先生が担当くださいました。

終了後、聴講生の方から「治療前後の反応は分かったが、気の感覚がわからなくて難しい」と感想をいただきました。敏感な方でない限りはベテランの先生はもちろん、現在基礎班で最近は全員で脈を取り合い流れの感覚をつかめてきた先生達もみんな始めはそうでした。1回きりの勉強会で「自分には向いていないかもしれない」と諦めず、なんとかこの技術を身につけたいと、歯を食いしばってしがみついた先生方が聴講の時は皆様と同じ道を辿り、経験をし、わかるようになってきた今、楽しんで参加をしておられます。(大きな壁は毎月立ちはだかりますが)

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織

6月の例会報告

平成24年6月17日 草津まちづくりセンター

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」  前田小百合先生 

  「基礎講座」  若森千明先生

  「気功指導」  中尾俊哉先生

    
午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式

午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。

原発再稼動についてのお話がありました。報道は限られた情報でしかなく、真実は周りの圧力によって規制がかかり本当のことが明らかにされないというジレンマ。自分の利益のためだけに動く一部の人もいるということから鍼灸と交えてお話くださいました。

故 福島弘道先生(東洋はり医学会創設者)は自分が鍼灸を勉強したかったが目が見えないということで勉強の場に入れてもらうことができなかった、なので自分が立ち上げた会には分け隔てなく対応し、良いもの全てを教えていこうという考えだったこと。全体のことを考えると一人でいい技術を隠すのではなく、広めるということは腕のいい鍼灸師が増えるということ。いい鍼灸師が増えると患者さんが増える。そして患者さんが増え、需要が増えると自分のところにも患者さんが来てくれる・・ということは、結局のところ「自分の為にもなる」ということになるという、当会でもこの一見出来そうで出来ないことを当たり前のようにやっているのですが、小林先生から今後も積極的にこの考えでやっていくという志の高いお話を聞くことができました。

午前最初の講義は、前田小百合先生による「難経読み合わせ」でした。

今月は29難の読解進行をしていただきました。29難は奇経八脈の病症について述べられています。質疑では奇経を使う時の判断はどうしているかという疑問に対して各先生方から応答がされました。こういう場面では使うなど決まりはないようですがそれぞれ臨機応変に使われることがあるとのことでした。

次に若森千明先生による基礎講座「各臓の病症と治療について」のお話でした。

今月は「気血津液論」「気の思想」の読解をしていただきました。講義の最後には若森先生より他の先生方へ「気とはなんぞや?」と聞く、若森先生らしい茶目っ気のある問いがあり、先生方それぞれの気についての考え方を聞くことができました。

 午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。


今月も基本となる重心移動の一連の動きを行いました。

午後の実技は取穴からはじまりました。


今月は肺経をみていきました。
取穴は漢方鍼医会が独自にまとめあげた取穴書に基づくものであり、一般的なツボの取り方と異なる部分も多くあります。ひとつひとつ丁寧にみていきました。
当会では臨床に役立つ経穴の取り方を学んでいます。

取穴の次は基礎班と研修班と合同で基本刺鍼をしました。

鍼を浮かせると勝手につぼが反応してくれるんだというお話から、では今やっていることは・・(笑)というつっこみがありましたが、それはそれ、これはこれといったように、やはり経絡上を正確に触れるということや経穴にぴたっと当てる正確さは必要でありますから、誘惑に負けず(笑)、各自引き続き気を引き締めて練習をしました。

つづいて基礎班と研修班で3台のベッドに分かれて小里方式を前半・後半の2部に分けて行いました。

 基礎班では皆で協力し、どの経絡を触れるといいかどうかがわかってきました。そこでこれでいいだろうというところまで納得できる結果を出すことができたのですが、「いいところまできているがこうすればもっとよくなる」と修正を頂き、爪の甘さを指摘されました。そして修正後は劇的な改善がみられたので基礎班一同は驚き、肩をおとしたのでした。

聴講班は岸田先生が担当くださいました。

 例会後は指導者研修会が行われました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織

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