3月例会の報告

平成22年2月19日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  

内容
午前「難経読み合わせ」             生内優里先生 

    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   
会長挨拶風景午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。
今月日本の広範囲を襲った東日本大震災。まずは例会を始める前に皆で黙祷を捧げる時間が設けられました。今私達ができること、すべきことを考える時に正確な判断をしてゆく必要性と海外からも評価されている日本人の強い意識にともなう姿勢と団結力について話されました。
午前講義風景午前最初の講義は、連続講義10回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は生内優里先生による講義で14難の読解進行をしていただきました。14難は、脈と呼吸の関係から五臓の位置・身体の表裏関係を述べながら病の伝変を述べており脈の重要性をも強調しています。質疑の中では正常な脈としての一息の呼吸数が書物により少し異なる事があることからいくつか意見が交わされました。ベテランの先生から脈の計算式の話がだされ、そこでも古人と現代人それぞれの脈の違いがでてきていましたが、この難での死・命絶の捉え方も今と昔の違いを感じながら興味深かく学ぶ事ができました。さらに、脈の根本としての大切さを説いているこの難だからこそ特に記されている事を鵜呑みにして数字だけ見る危険性がある。そこで臨床室での脈状例を挙げながらの意見が出されたりと古典を学ぶ上で、実践につなげ臨床応用することの奥深さを感じとても勉強になりました。(次回の予定は15難へ~to be continued・・・)
午前講義風景2次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。今回、本題に入る前には医療人として回避せねばならない【パニック】に関してお話頂きました。パニックに陥ったご自身の経験談、そしてパニックから抜け出す方法を伺うことができました。

基礎講義では、今回から「脾の病症と治療」に入りました。

生理機能の学びから始まり、脾の治療としては後天の元気を養うことをポイントとし、気血津液を十分に生産させて生命活動の土台をつくることを押さえながら一つ一つ証を学んでゆきました。最初に五臓と四大病型の関係性を総論として含みながら臨床的ポイントやツボの特性の話がありました。脾虚陽実証では「食欲」に絡めた症例の質問があがり寒熱の影響をわかりやすく解説して頂きました。他の証とも比較例をあげていただいたことで病理を理解し整理することができました。

午後

午後は、まず肺経・腎経の取穴から始まりました。肺経では、ポイントとして手首を背屈尺屈させ経絡を伸ばした上で確認してゆきました。魚際穴では「くぼかなる中」として捉えてゆき、母指の位置によるツボの移動をみてゆくことができました。患者さんの姿勢体位は様々でこのように臨床に応じた変化を実際に確認できてよかったです。つながり、尺沢穴は特に体位によってツボが大移動をしやすいことから供に注意して取穴しました。腎経では、アキレス前縁に沿って擦上し内果の上約2寸のところに陥凹してみられることが多い復溜穴で、ツボを確認しながらツボの取り方としてより捉えやすい軽擦法を学び指導を受けました。
基本刺鍼実技風景次に、腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。今回も手法時間を変えながら手技と変化を確認できました。ここで、手法時間を意識しすぎてしまうと手技が粗雑になっていたりすることがありそれを班に分かれて毎月例会で確認していただける事で新たな課題と自己修正ができる貴重な気づきを感じます。
この後には、小里に入る前に先月の例会に引き続き参加者の先生の「妊娠の脈」を診させて頂きました。
小里式実技風景続いては、聴講班・基礎班1台づつ、研修班は2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は生内先生、基礎班は小林先生、研修班は二木先生・岸田先生のご指導でした。研修班の一例としては、眼痛・頭重・頭痛の症例をみてゆきました。ここでは本治法・背部の標治法を終えた後ナソムノ治療に加え目の周囲の散鍼を加えられていました。もう一班では食べ過ぎ後の不調症状があげられて病理を考えこの症例は脾を中心に証に繋げていかれました。今月も証決定までいき治療をするなかで参加者同士で刺激しあいながらも個人個人で感覚を磨いてゆく事ができました。

                          報告ページ担当  若森千明