4月例会報告

平成22年4月17日 草津まちづくりセンター    
午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前 定期総会

<鍼灸師の夢を語れパート2> 発表者:中尾 俊哉先生
                          大野 沙織先生
                          桑原 知子先生 

                                                          司会:岸田 美由紀先生

午後 取穴(WHO標準経穴の確認) 

基本刺鍼

小里方式

 午前の総会は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。
震災後、福島の原発事故の風評被害による影響で大変深刻な状況でありますが、ずっと落ち込んでいるのではなく、関西から元気を出していこうとのことでした。
また、滋賀県は人口増加率が日本で一番の増加率で、特に若者の増加率がダントツであり、沢山の企業が入ってきているようです。
そんな活気づいてきている滋賀を基点にした滋賀漢方鍼医会でありますが、去年はホームページのリニューアルをはじめ、聴講の待遇面を見直した結果、新しい入会者が7名と大きな成果を出しました。
新しい風が入り、にぎやかになった例会ですが、引き続き皆で力を合わせて会を盛り上げていくことの大切さ、漢方鍼医会を牽引していく位の気持ちをもって本年度も活動していきたいとお話がありました。

総会の後は去年に引き続き、新しく入会した先生方の「鍼灸師の夢を語れパート2」が行われました。

トップバッターをきったのは、いつも穏やかで優しい中尾先生。

親が病気にかかった時、自分の無力さから鍼灸の道を志されました。学校の実習の先生がてい鍼を用いていたこともあったのが出会いで去年の卒業後に勉強会へ参加されました。当初は若い人ばかりでついていけるか不安で心配していたようですが、頑張ってみようと動かれたそうです。現在は病院に勤められ、運動療法の勉強を始められたこと。昔から気孔を取り入れていたこともあり、ゆくゆくは気孔教室を開こうと企画していること。気孔と鍼灸を併用した治療をしていきたいという夢を話してくださいました。

続いて私、大野が話をしました。

過去に病気をしなかったら鍼灸に出会っていなかったことをはじめ、現在卒業したてで未熟ながらも今の気持ちの勢いに乗って開業を決めた思いを話しました。数年前はやりたいことがあっても動けなかったことから夢はもう見れないと思っていたのですが、元気になってこんな素敵な場所で二木先生を超えたいという大きな夢をもつことができました。何かに向かって動ける体があるということは本当に幸せなことから、思う存分やりたいということ、今後は地元である枚方を中心に鍼灸を広める活動をしていくというお話をしました。

最後は現在鍼灸学校の教員養成科に在籍の桑原先生です。

桑原先生はいつも綺麗で落着いた雰囲気なのですが、話すととても情熱的な方です。
海外に住みたいということから、ニュージーランドで出会ったリフレクソロジーやアロマの民間療法の事務員になり、その後自らも施術者となり、せっかくならば国家資格を取ろうと思ったのがきっかけになったようです。 マッサージは体力的に大変かもしれないということから鍼灸を選ばれました。てい鍼には学校の教員養成の実習で出会い、その効果に驚き、学んでみたいと思われたようです。今後は学校教育の中でてい鍼の授業を増やしていければ、学生が幅広い選択を出来るのではないかという思いや、てい鍼の確立に向けて自らも技術を身につけ広めていければとのことでした。

話が終わると、代表の二木先生のコメントをいただきました。
自己治療のことから学ぶこと、助手時代のこと、開業してからのこと、また、 「てい鍼だけが鍼ではない」こと、決して他の治療を馬鹿にしているわけではないことをお話されました。今、魅力を感じ、可能性を感じているのがてい鍼であるということでした。
会ではてい鍼を使っての実技が行われていますが、それだけにとらわれないよう広い視野をもって勉強していきたいと思います。

最後に会長の小林先生のコメントをいただきました。
先生が言うには、3人に共通していることが「いけいけドンドン」であることとのこと。
自分の思っていることを形にすること、心に思い描いたことをすぐ行動に移しているところを褒めてもらいました。
積極的にいくと失敗も多くなるが、失敗をするということは経験につながり、結果的には自分の力となるので今後もこの積極的なところを大事にしていってほしい、また自分もそうしていきたいというお言葉をいただきました。

また、3人が緊張しながら前で話をしている間、司会の岸田先生が側で優しく見守っていただいている姿がとても印象的でした。

午後の実技では取穴からはじまりました。

今回は橈骨茎状突起の位置の確認をしました。学校で学んで認識していたところとは違うところだったのですが、脈診をする際には今までどおりで問題ないということでした。

つづいて足の取穴では肝経の中封と腎経の然谷をみました。
澤田流の取り方と学校教育での取り方では大きな違いがあったので、脈を診ながら触ってみての反応をグループで確かめていきました。

取穴の時間では、二木先生が手をとって指導してくださるので、言葉でわからなければ「わかりません!」と、皆さん積極的に順に手を出して確認します。歳を重ねるにつれて「わからない」ということを口に出すのは本来ならば躊躇してしまうのですが、会ではベテランの先生も自分の手で調べて納得するまで確認する作業をしています。
そういう環境もあって、入会して間もない会員でも「わからない」と言うことが出来ています。

取穴の次は聴講班、基礎班、研修班と分かれて基本刺鍼をしました。

研修班では、鍼を抜くタイミングの秒数の確認をしました。ほんのちょっとしたことでこんなにも体の反応が変わってくるのかと思うと、色々試したくなってきます。

基礎班では鍼のタイミングより姿勢を重視するので、少しでも乱れているとうまくいかないということを学べます。肩に力が入っていたり、顎が突き出していたり、視線が下を向いていると二木先生にすぐさま見破られてしまいます。一発OKを出したいところなので、次回は合間に皆で姿勢のチェックをし合うなど提案していきたいです。聴講班に居た頃は早く基礎班に入りたいと思っていましたが、聴講班で学んだことがどれだけ大事だったかということを、回を重ねるたび思わされます。

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班・基礎班1台づつ、研修班は2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

聴講班では先生の鍼を受けたりします。体験してはじめて練習している鍼の感覚を感じる方もいらっしゃいますし、わからないという方もいらっしゃいます。
わからないと自分は向いていないのではないかという考えもあるのですが、わかるまで色々考えることができます。
「はじめからこんなに出来なかったんだよ」と、ベテランの先生方から励ましてもらう度に自分のペースで頑張ろうと思うことができます。

基礎班では自分達で証を立てて治療を決めるということが目標です。
今回は二木先生が入るまで皆で意見を出しながら進めていきました。主張できるだけの知識がなく、一人だけ意見が違うと弱腰になってしまうのですが、自分の思っていたことが正しいとわかれば皆の雰囲気も生き生きとしてくるので、次はそれぞれが思ったことを自由に主張していける環境を作れたらいいなと感じました。
実際の治療に入ると姿勢、穴の取り方、押し手と刺し手の感覚を丁寧にみていきました。
今回の大きな学びは「綺麗なケーキはいらない、美味しいケーキがいるんだ」という指摘でした。
治療の流れを重視して、基礎となる部分が出来ていないと見せかけだけのもので終わるということを体験しました。今、必要なものは小細工ではなく、丁寧に誠実にすることなのですね。
毎回大きな気付きがあります。

4月は総会ということもあり、難経の読みあわせや基礎講座がありませんでしたが、来月からは毎回実施されます。

どんなことをしているのか、どんな人達がいるのか、てい鍼を触ったことがないけど大丈夫なのか、本当に効果があるのか・・などなど、新しく入会した先生方もはじめは様々な疑問を持っていました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                     報告ページ担当 大野沙織 .