11月の例会報告

平成24年11月18日 草津まちづくりセンター

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」  石田良次先生 

  「基礎講座」  生内優里先生

  「気功指導」  中尾俊哉先生

午後 取穴(実践的な取穴練習)、小里方式

 

午前は二木清文先生による代表挨拶から始まりました。

今月は大きなニュースがたくさんあり、海外のものではアメリカの大統領選挙、中国の共産党大会、韓国の大統領選挙、日本の総選挙などについてのお話からはじまりました。

また、東京で開催された日本伝統鍼灸学会に参加し、現状の日本伝統鍼灸とは何かというものをまとめることは無理なのでは?またまとめる意味があるのかという印象を受けられたお話がありました。漢方鍼医会は全国で200~名の会員で、経絡治療に関する研究会は日本では30くらいでその中でも全国組織を持っているのは東洋はり医学会、漢方鍼医会、経絡治療学会と少数派の会です。何万人存在する鍼灸師の中でもほんの一握りが経絡治療に関わる者で、さらにその中でも分かれている。学会で実技を見るとベテランの先生は素晴らしいものだが、ツボの取り方がそれぞれに違うもので一定していないものが目立つ。しかし位置が違っても効くのはその先生から生まれる「このツボをこう効かせたい」ということから出来るものなのですが、先生は取穴書に関わることで、ツボは多少の変動があったとしてもツボの位置はしっかり定義が出来るものということに気付いたといいます。よって、おのずと標準化させることができるがこういうことをせずに日本鍼灸をまとめるということは出来ないのではないかということでした。そして、漢方鍼医会の中でも東京本部の考えに対し、滋賀を含めた地方組織も意見を出し、揺れ動きながらも発展していくものというお話でした。

午前最初の講義は、石田良次先生による「難経読み合わせ」でした。

今月は34難の読解進行をしていただきました。34難は五臓が持っている特性を内・外に分けて、「十変」という言葉を使って五行分類を行ったものについて述べられています。

外に現れる色・臭・味・声・液について臨床ではどのように考えているかという問いがあり、顔色と脈状、症状との関係をみているということや、液について観察すると咳が肺ではなく腎も関係していると治療をすると結果が著しかったというお話がありました。また、五志についての解説は教科書にも載っていないもので大変興味深いものでした。

次に生内優里先生による基礎講座「蔵象論」のお話でした。

今月は「脾・胃の生理と病理」の読解をしていただきました。

 午前の最後の講義は、中尾先生の気功指導でした。
今月は準備体操から入り背骨を緩める動作を復習しました。

午後の実技は取穴からはじまりました。臨床で使う生きたツボを取る練習をしています。1ミリでもずれると効果も半減してしまうため、最も神経を集中させる時間でもあります。

一人がツボを探し体表の経絡上を触れていくのですが、腕や足の丸みに沿って経絡も触れなければいい脈が出ません。同じ経絡を触れて同じツボを取っても結果が思わしくないのはこういう細かな違いによって生まれます。こういった取穴は漢方鍼医会で行われているもので、学校では学びません。滋賀では取穴書に関わった代表の二木先生の鋭い指導が入りますので、一人一人の会員の感覚が回を重ねるにつれて向上していくのがわかります。

 

つづいて次は基礎班と研修班と合同で基本刺鍼をしました。

滋賀漢方では、刺さないはりという「ていしん」を主に勉強しています。そのため練習を重ねるごとに感覚が研ぎ澄まされていく会員もいれば、もとから感覚が人並み以上持つ会員もいます。特に点字に触れてきた先生方は、気の感覚を敏感に感じ取られることもあり、基本刺鍼で相手になっていただく時は「気が流れていない、気がよく流れている」と教えていただくことがあります。空気のようで雲のように掴めない、普段目にすることは出来ない気の存在を、肌でもって実感させてくれる貴重な体験をすることになります。

つづいて基礎班と研修班で3台のベッドに分かれて小里方式を前半・後半の2部に分けて行いました。

聴講班は岸田先生が担当くださいました。

 

 

例会後は指導者研修会が行われました。

入会して1年半~2年目に突入する会員に今後指導者として役割を担っていけるよう、来月の例会での指導者デビューが決定しています。そのため、先生方の協力のもと練習を兼ねての小里を行いました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                 報告ページ担当 大野沙織