平成21年8月22日 草津まちづくりセンター
カテゴリー: 月例会報告
月例会報告のカテゴリー
7月例会の報告
平成21年7月18日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「難経読み合わせ」 生内優里先生
「補助療法について」 二木清文先生
午後「取穴」
「菽法脉診」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。まず時事ネタを話され鍼灸の話に入られる所で、今回は佐野先生に前に出ていただき、先月お亡くなりになられたお爺様の闘病を、家族としてそして鍼灸師としてもお爺様の傍で支え続けられたお話をしていただきました。闘病中ホスピスに入られたときも食が細くなる事はなく家族の方々に元気な姿を見せておられたとのことです。それというのも、ご家族の方の温かな心を感じ、さらに佐野先生がお爺様のために続けられた鍼治療の効果があってのものだったのでしょう。この貴重な体験をお爺様が与えてくださったことで「患者さんは師匠である」という言葉を強く胸にきざまれたとのことでした。佐野先生がこの話に込められた想いを受け最後に二木先生が参加者に死は皆におとずれることであるが尊厳死があること、また鍼灸師はその期に役立てる存在である事をどうか覚えてかえってほしいとメッセージを訴えかけられました。生と死が私達それぞれ身近に存在する中で何を感じてゆくか、鍼灸師としては何ができるのか深い課題を再認識させていただきました。
午前
午前最初の講義は、連続講義三回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は生内優里先生による講義で4難の読解進行をしていただきました。4難は寸口部をみる上での脈象と脉位について、陰陽の二分類を行っている。ここでは素問、陰陽離合論篇第六・陰陽別論篇第七等に述べられている内容を踏まえた上での難経独特の考え方を基礎にして述べられている4難であるが、特に正常脉と病が入り込んで変わる脉を理解していくことが重要で、ベテランの先生からは正常脉を見いだすものとして臨床へ繋げているとの意見をあげて頂きました。後半の三陰三陽の脉で質疑が飛び交うことが多くそれぞれに捉え方として難しい箇所のようでありました。この4難では陰陽論、そして五行論も含め基本となる部分を強く感じた面がありましたので基礎を固める意味でしっかり理解をしたうえで次の難に進みたいと思いました。
次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義三回目で今回は子午治療・ナノムソ・お灸のお話しとなりました。聴講の方が多かったので主題に入る前には古人によって行われた手当てから変化を繰りなして今現在の治療にいたるまでのお話しと漢方鍼医会の特徴を大まかに説明して頂きました。主題として子午治療では二木先生ご自身の学生の頃の体験談をお話頂き、印象的であった治療やその他ある期間に集中して同じような症状を抱えた患者さんを診る機会が重なり治療経験の中で自信を築かれていったシンクロネスティの話しなど興味深いお話を沢山伺えました。
午後
午後は、まず大腸経・脾経の取穴から始まりました。大腸経では、「蛇頭」という異名を持つ温溜穴では前腕を回内させ筋肉の動きの変化をとらえた上でモデル点をしっかりと確認してゆくことができました。脾経では赤白肉間に注意したりまた陽稜泉穴では慣れないうちは取りにくい穴でもあるので頚骨内縁を押し上げた湾曲開始点のよりわかりやすい取り方を学びました。ここは感覚的には膝から相当に離れているように感じるのでその感覚と位置を丁寧に教わる事ができました。
次に、聴講の方が基本の指導を受けておられるので聴講の方を除いた参加者で菽法脉診をみていきました。午前の講義で陰陽脈に触れたばかりでしたのでそれぞれ考え持って、さらに来月の例会でも難行読み合わせの講義にて5難に入り菽法脈診がでてくるのでその予習をかねて慎重に診てゆけたと思います。
次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を見直してゆきました。姿勢・目線などほんの些細な事でかなり手法・治療効果にに影響を受ける事を実感し、さらに自分の修正点に指摘を受ける事で普段の自己修練だけでは見えてこない部分を再確認できる点が多々あったのでそこから自分の身できるようさらに手法と向き合い意識する事でより充実した時間とかえられたことと思います。
6月例会の報告
平成21年6月20日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
午後「取穴」
次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義二回目で刺絡を主題としたお話しとなりました。主題に入る前には我々が行う「経絡を動かす鍼灸術」について話されました。基礎テキストに沿って学んでいく中、扱う上での詳しい注意点のみならず刺絡での印象深い臨床経験や、 刺絡部位を探るコツなどを教えていただく事ができました。現在の臨床室からも細絡をどのようにとるのか、いかなるときどのような方法が使えるのかなど明日からの臨床室でも早速使えるものたっぷりにお話しいただきました。
次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を見直してゆきました。この基本を毎回見直した上で次の小里方式に移れる事は、手法を決して甘んじる事無く確認してゆけるのでとても心強い時間に感じます。 続いては、今回も聴講班・基礎班・研修班のベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は岸田先生、基礎班は小林先生、研修班には二木先生のもとご指導いただきました。今回も刺激を受ける事多く一人一人が納得のいくまで意見を交わしあい施術しあい、予定時間いっぱいまで実技を行うことができて密度の濃い研修時間となりました。
5月例会の報告
平成21年5月16日 草津まちづくりセンター
最初という事もあり、ベテランの先生方に読みあわせを皆でしていくに当たっての御意見そして難経への思い入れなどを伺うことができました。進行を勤めてくださった岸田先生は、先人の解説は先人の想い。これを機に自分の解釈を感じてゆきたいというお話しでした。会長である小林先生は、一通り読みあわせを学び終え、その後臨床へどう繋がるかという目的意識を持ち向き合いたいとのことで私達も一難一難の解釈を様々な角度からみてゆくことで大切に読み合わせていきたいと感じました。
続いて、腹部を使っての基本刺鍼の修練を行いました。前回から続き手法時間にも注意してお互いに指摘しあったり向上点をアドバイスしていただいたり自己習練も大切ながらこのように研修の場で皆さんに刺激を頂く事で明日への成長へと繋がる事が多々あり、大変勉強になりました。
4月例会の報告
平成21年4月18日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前 「定期総会」
「鍼灸師の夢を語れ」
佐野佑介先生
生内優里先生
水戸尚子先生
午後 「取穴」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。昨年度の活動を振り返り、今年度からは漢方鍼医会本部も新会長が就任され心機一転地方組織の滋賀としてもテキストやHPなど新たな課題をもって今後の活動のお話をされました。今年度もよりよい鍼灸治療を後世へ伝えてゆきたいと願いを込めて新年度の素晴らしい皮切りの挨拶とされました。続いて年に一度の定期総会が開かれました。
午前
今回は、若手の3名の先生方に「鍼灸師の夢を語れ!」というお題について熱くお話ししていただきました。まず、今年鍼灸師として羽ばたかれたばかりの佐野佑介先生は、学生時代のご家族の治療経験から感じ取ったものからの出発、学術を得ようと自ら行動を起こしたことで出会えたご縁、そこから向かう自らの将来像についてお話ししていただきました。
続いて、生内優里先生のお話では学生時代から、今助手経験を経て「鍼灸師」としての大きな意識変化を述べられ、その中でも「総入れ歯になっても治療家でありたい」との名言は生内先生の人柄に和まされつつも皆の心に深く印象付いたのではないでしょうか。
最後に、昨年に開業された水戸尚子先生によるお話でした。水戸先生は夢とは、実現したい理想。目標とは、行き着こうと設けたもの。としっかりと意味するものを捉えた上で最近の臨床室での近況のお話の中から小児鍼での関東地域での位置づけを変えるなど意欲・意志ともに強い芯をもって訴えられました。恩師である二木先生の治療室で「あそこに行ったら大丈夫」という患者さんを目にしたことで自らも周辺地域でそのように信頼合って皆集まれる場でありたいと目標を掲げられました。
3名の先生に熱く語っていただき、この厳しい世の中で若い先生に夢を持っていって頂きたいという願いが込められたお題は、卵からベテランの先生まで参加者一人一人に熱ものが胸に宿ったのではないでしょうか。
午後は、まず肺経・胃経の取穴から始まりました。始めに、目的とする経絡を伸ばすことで正確な取穴と効果の向上がはかれるためこれを常に意識するようにアドバイスいただき取穴を行っていきました。胃経では骨度法も頭に置きつつ臨床的な取り方を学ぶことができました。使用しているテキスト「経絡治療と臨床研究~やさしい解説と実践取穴法~」ではモデル点の取穴法だけならず臨床的な取穴法が記載されており、今月も指導者の先生と実際に取穴してゆき、それぞれの経穴での臨床室のお話を伺うことができ一つ一つが興味深く印象的な学び時間となりました。
次に、腹部を使っての基本刺鍼を三班に分かれて行いました。前回に引き続き衛気・営気の手法、特に手法時間をみてゆきこの点に関しては二木先生がそれぞれのベッドを回り個人個人へご指導いただくことができました。術者以外の者は、手法中に皮膚状態・脉・腹状・肩上部などみることで術者の手法の完成度、改善点などを指摘し合うことができました。そして、指摘して頂く中で手法時の手の軽さなど一点にばかり気を向けてしまうと反対に肩上部などががちがちになっていたり注意点から改善点まで様々な気づきがありました。基本は何一つ欠いても手法の完成へとたどり着けないことを改めて感じ、参加者の先生方からの意見で改善され手法の形が成り立った時の喜びを覚えこみ今後に繋げたいと思いました。
続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。今回は小林先生と二木先生ご指導のもと始められました。いつものように、問診・切診を経て経過や現状を踏まえて病理を見極めてゆき治療へ移りました。この病態は49難でいけるのかまたは69難か、はたまた・・・と身体をじっくりとみてそれぞれ意見を交わしてゆきました。今回も沢山の意見をぶつけあることで非常によい刺激を受けつつ、最後には指導者の先生にも導きを頂きながらしっかりと肩上部・脉・腹の三点セットが緩むことを確認し、症状も取り去ることができました。施術を行う者にもモデル患者としてベッドに上がり術を受けるものとしても得るもの多く、大変勉強になる実技時間でした。
今月の指導者研修会はお休みで、新年度の始まりを祝し懇親会が開催されました。
祝いの時間を満喫しながらも、今後の滋賀漢方鍼医会のさらなる盛栄にむけて自然と意見が飛び交い楽しくも意義のある時を皆で過ごすことができました。
3月例会の報告
平成21年3月21日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前 「陰陽五行論について」 小林久志先生
「脉診・脉論について」 二木清文先生
午後 「取穴」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。日本中を熱くしたオ
リンピックの話題からはじまり、年度末ということで滋賀漢方鍼医会の昨年度・今年度そして来年度についてまとめてお話し頂きました。これまで本部・地方共に難経講演をしていただいた事で、難経の意味するところ、今後私たちがみていくべき視点について定めを付けることができました。次は、滋賀ではテキストの通読も取り入れそこから意見交換をすることで、さらなる学びとしようと今後の動きについて述べられました。
午前最初の講義は、小林久志先生による「陰陽五行論について」でした。西洋医学では病名が必要ですが、漢方医学では病名なくとも病態生理をつかみ人体の陰気と陽気の変化を捉えて、人体中の気の調和を取ることで治療してゆけます。そして、今回のテーマである陰陽五行論を学ぶにあたりポイントとなるのが「この論をいかに臨床応用するか」。その着目点を押さえるように述べられた上で陰陽・五行続いて四大病型、治療とお話を進められました。そして、アドバイスとして陰陽五行は生理とあわせて学ぶと理解しやすいとのことでした。これらを皆で臨床応用していこうというのがこの研修会の意義でもあるのだと参加者、そして聴講の方へのメッセージとして締められました。
次に、二木清文先生による「難経脉論について」のお話でした。今回は本部の「命門・三焦」の講義をもとに話されました。本部のベテランの先生方の古典へのリンクのさせ方などとても勉強になるので、もう一度録音を確認することをまず勧められ講義内容に入っていきました。まず、命門については二木先生の臨床からのお話を交え腎間の動悸がいかなる状態かを見逃さずにいたことで予後を察知できた時の印象的なケースを伺うことができました。本部でも質問が上がっていた三焦の臨床応用についても話された後、締めは手技のお話でした。手技時の着目点と、気の流れからのタイムラグをさらに考慮する必要性をあげられました。そして適切な押し手の重さが自分はできているか、腹部での確認をしさらなる手技の修練を行うべきだと述べられ、午後の実技への課題として繋げられました。
午後
午後は、まず脾経・三焦経の取穴から始まりました。商丘穴を取穴するときには、取りやすいように足関節をほぼ直角に背屈させ筋腱や骨をしっかりと捉えながらモデル点をとることができました。テキストによる取穴法だけでなくベテランの先生方からは臨床的な取穴を学ぶことができ、今回は特にツボとツボでない箇所の感覚の違いを丁寧指導していただきました。慣れずにスムーズにツボへ手が止まらない人でも、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上はかれるのもこの研修会ならではの良い点であり参加者にとって大変意義深い時間となりました。
その後基本刺鍼を三班に分かれて行いました。衛気・営気の手法、特に手法時間を注意して見直してゆきました。いつものように腹部を使っての修練を行っていくのですが、今回は衛気・営気それぞれの押し手の重さの確認からはじめ、次に鍼を用いての手法訓練を行いました。その後には、一人一人が手法時間の長から短の場合まで身体の変化をみていくことができました。ベテランの先生方とは気を動かせるスピードももちろん異なるところではありましたが、それでも衛気の手法の短さにはとても驚くところでありました。しかし、慣れないうちのこの驚きにより中途半端な手技になることが要注意だとのお話でした。この時に、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上を図れるのもこの研修会ならではの良い点でありその中で多くの刺激をうけながら丁寧に手技をみていくことができました。
続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は小林先生のご指導のもと進められました。後のベッド二台には、それぞれ二木先生と岸田先生がついてご指導いただきました。まず、腰痛と、婦人科症状のモデル患者を治療してゆきました。もう一斑でも、二人の治療を行うことができました。この時間にも、基本刺鍼の時間に手法時間の見直しを行ったことを活かしそれぞれのベッドで手法を念入りに確認し、皆で体表観察しながら意見をまじえました。その他にも、鍼を一本打った後身体に気が巡る時間を考ながら診察・治療を進めたりとこれまでの延長線にありながら新鮮に感じた研修内容でありました。
2月例会の報告
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前 「気血津液について」 岸田美由紀先生
「脉診・脉論について」 二木清文先生
午後 「取穴」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まずは、最近の政治のよどみについて話して頂きました。今の政治は先のビジョンを見据えているのだろうかそれだけではなく国の政治をになう代表の大人達の行動をテレビを通してみて育つ子供の影響へ不安を述べられました。鍼灸界の話題としては、大阪であった無免許鍼治療による気胸事件について触れられ、自らの学生時代の気胸体験も踏まえお話し頂きました。これを機に世間が鍼のイメージを良くは感じ取らないことを胸に留めつつ、我々の行動・言動にさらなる芯をもって「鍼灸」を伝えて行きたいと感じました。
午前最初の講義は、岸田美由紀先生による基礎講義で「気血津液について」でした。この講義をされるにあって、「どうして気血津液を学ぶのか」という原点に立ち返りまとめ上げられました。それぞれの各論・病理状態に時折臨床室のお話も交えて分かりやすく説明して頂きました。この変動を捉えてこそ治療に結びつく。そのことを理解して、基本をしっかりと押さえてこそ臨床での様々な病態と向き合えるのだということが改めて強く思った点でありました。
次は二木先生による「脉診・脉論について」の講義でした。本部例会での森本先生による「難経49難の攻略法」の復習となる内容でした。要点を確認した後には、森本先生のお話を聞いて感じ取ったことを臨床家の先生方から伺うことができました。「49難への忠実さ」「体系化の巧みさ」「細かなところまでみていく姿勢」などをはじめいくつも感銘を受けた点があげられました。滋賀で特に着目していた75難や、テキストに記載されていることにも講義内で触れてくださっていたことで、森本先生の解釈からとても新鮮に感じながらも、改めて学ばせて頂き、今まで以上のさらなる理解を深めることができました。
午後
午後は、まず腎経・胆経の取穴から始まりました。腎経の取穴では然谷の取穴の際には、軽擦の段階で経絡の流注を垂直に一度きることで、生きて働くツボをより取りやすくなる方法を実際の実技として学ぶことができました。胆経の取穴では、一つ一つツボをみていく間に最近の臨床室からパーキンソンの患者さんで今まで使用していた胆経でも一つツボを変えたこと出かなり症状の安定が維持できるようになった例を伺うことができました。モデル点をベテランの先生と丁寧にみてゆき、毎月ご指導頂く機会で生きて働くツボの感覚をさらに覚え込んでいきたいと感じました。
続いて腹部を使っての基本刺鍼の修練をおこないました。ここでは、衛気営気どちらが手しているかを意見を交わしながら予想し、その後に実際鍼をうち確認に入ります。今回は衛気営気の手技をハッキリと区別させることを注意点としてあげられました。衛気の手法が長すぎる傾向がよく見られることから、ベテランの先生に実際に手技の長短での身体の変化を示して頂くことができました。治療は術者の自己満足では行うものではないと強く訴えられたのでありました。しっかりと感覚を押さえてから抜鍼するのでは遅すぎるのだとアドバイスを頂くこともできました。しかし、慣れないうちは抜くことばかりに気がいってしまうので、さらなる修練を重ねて行きたいと意気込みいっぱいに終えた時間となりました。
続いて、ベッド2台に分かれて小里方式を行いました。二木先生と小林先生のご指導のもとそれぞれのベッドに上がられた風邪と花粉症のモデル患者の治療を行ってゆきました。いつものように体表観察からはじめて、選経・選穴の段階では本部例会での森本先生の講義内容も踏まえた質疑も交わしながら証へたどっていきました。午前では岸田先生の気血津液のご講義を頂いたことでモデル患者の病理考察もさらに深く確認しあうことができました。
報告ページ担当 若森千明
1月例会の報告
平成21年1月17日にき鍼灸院
午前10時40分~午後16時00分まで
内容
午前「腹部を用いての基本刺鍼」
「刺絡」
「円皮鍼」
「知熱灸」
午後「取穴・臨床的自然体」
「子里方式」
「ベッド2台を用いてのモデル治療」 二木清文先生
岸田美由紀先生
午前
今月は、にき鍼灸院でのオープン例会でした。まず小林先生、二木先生から挨拶を頂き参加者の簡単な自己紹介をしたところで早速実技時間をたっぷりと設けた濃厚な例会が始められました。
最初の実技は、ベッド4台にそれぞれ4班として分かれ、腹部を用いての衛気・営気の手法の修練を行いました。この修練方法は、患者の病態に対してどちらの手法が適しているのかが確認できます。行った手法がよいのか、悪いのか、肩上部・腹部・脈等の変化をみた上で客観的評価として捉えられました。手技の向上にむけてさらなる修練を重ねて行きたいとこの実技を通して改めて強く感じました。この時間では、指導者の先生から衛気の手法時の押し手の重さや、抜鍼時のタイミングが注意点としてそれぞれのベッドで多々上がっていました。それぞれの地方の先生方と共に実技を学ばせていただけることで、参加者同士の意見の交換も活発に行われてゆきました。
次に補助療法として、井穴刺絡・円皮鍼・知熱灸を行いました。
井穴刺絡では、この概念として営気の瀉法ですが、作用としては滞りを取り除き補をもたらすもの。つまり、痛む局所から沢山抜けば、良いと言うことではない所に注意が必要だとのことでした。使用する経絡の見極め方では、視覚によって血(おけつ)を判断する法・視覚を使わず手の感覚で血(おけつ)を判断する法、刺鍼方法、臨床室で井穴刺絡をいかに利用しているのかを伺うことができました。そして、実技ならでの刺絡後の脉の変化などリアルタイムで感じ学ぶことができ大変勉強になりました。。
円皮鍼では、円皮の得意所として擬似的に経絡を流す作用がありま
知熱灸では、作り方、施術点の取り方など学び、普段の会場では火が使えない分リクエストが多かった実技であるので、体験も積極的にされ、沢山の質問が飛び交いました。
この知熱灸には、湿熱も加わっており、体験者の方からは、とても熱の伝わりが気持ちよいとの感想がありました。
午後は、まず取穴・ベッド周りでの臨床的自然体を行いました。今回はにき鍼灸院での電動ベッドをお借りできたことで、自分にあった高さで、いかに臨床的自然体を作るのかを学ぶことができました。取穴をするといっても、患者の手、足など角度・位置、さまざまなのです。私たちが取穴をした後、指導者の先生が肩に手を当て、アドバイスに従い少し立ち位置を変えてみる。そこで自然体だと思っていた姿勢に肩の力が抜け切れていないことにハッキリと気づくのでありました。その後参加者で再度班に分かれお互いの苦手な取穴・自然体を見直すことができました。
次に小里方式を同班で行い、今回は滋賀以外の漢方鍼医会からの先生のアドバイスも受けることができ、とても刺激となる時間となりました。
最後に、二木清文先生と、岸田美由紀先生に二台の電
動ベッドを用いて、モデル患者の実技公開をして頂きました。岸田先生は、主訴が腰痛のモデル患者を。二木先生は風邪のモデル患者を担当されました。実際の治療室と同じかたちで治療を進められ、無駄のない動きで、流れるような治療でした。その中で、患者の病態、生理、治療について細かな解説をはさんで下さることで、患者の状態が参加者にも詳細に伝わり皆参加型ともなる実技公開となりました。要望が多かった標治法についてもじっくりと伺いみることにより一層理解が深まりました。
丸一日を実技時間としてたっぷりに設けた贅沢なオープン例会。にき
にき鍼灸院でののオープン例会のあとは、かんぽの宿での温
泉、懇親会でした。向かうバスの中では、例会の反省を一人一人行っていきました。濃密な時間を例会で過ごし、かんぽの宿で心も体も癒し琵琶湖を眺めながらの温泉で疲れをとる。最後に皆で頂く食事はまた格別に感じるのでありました。懇親会では、滋賀以外からもベテランの先生方も集まられているこの機会に、臨床室でのお話を聞いたり最後まで贅沢な一日を過ごすことができました。今後への意気込みがます中、最後にはとても素敵なご報告があったりと今後の皆さまのご清栄を祈りつつ今月の例会は閉じられました。
12月例会の報告
平成21年12月20日 草津まちづくりセンター
午後「取穴」
午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に分かれて行った。今回は生内先生、里内先生、佐野先生がそれぞれのベッドでモデル患者としてあがられた。まず診察として望診や不問診を経て切診に移る。治療者間で意見を述べ合い、証が決まったところで指導者のベテランの先生からの見解も伺うことができた。その後には、軽擦をして三点セットの確認も済み使用する経絡・穴の最終確認ができた。実技として診察から治療を行っていくうえで指導者の先生、臨床家の先生とご一緒させて頂くことで今回も沢山の気づきがあり、大変勉強になった。そして、今年も研修会に参加することで刺激を頂き、来年に向けてのさらなる新鮮な意気込みをもって終えることができた。
11月例会の報告
平成21年11月15日 草津まちづくりセンター
午前9時40分~午後16時30分まで
内容
午前「臨床あれこれ」 土井真琴先生
「脉診・脉論について」 二木清文先生
午後「取穴」
「補助療法」
「基本刺鍼」
「小里方式」
午前
今月の例会は、まず小林久志先生による会長挨拶であった。今回の挨拶は、近年の自然界の生態を踏まえながら気候の変化のお話から爽やかな挨拶が始められた。先月の例会は日本伝統鍼灸学会への参加に振り返られたことからこのような大きな学会に参加することは勉強になるうえに他団体との交流ができるというとても刺激ある貴重な場となるとのお話であった。この刺激で、現在の漢方鍼医会の立ち位置を見ることも可能で、会の足りぬ点に気付くこともあれば、良き点を再確認できる場でもあるのだ。他団体が集まる大きな場、そこで共に学び会う意義を強く訴えられた。その学会で発表された印象的な先生のお話に触れられ、難病のお話が出ていたことで最後は今年また難病疾患登録が増えている今日に漢方医の大きな役割を御提示された。
午前、最初の講義は土井真琴先生による臨床あれこれで、「開業について」のお話であった。滋賀で二木清文先生の元で助手として修行をつまれた後、京都で開業されて半年がたたれた土井先生。開業に至るまでの期間、どのような準備が必要であるのか後輩へのメッセージも込めてご自身の経験をもとに奮闘記も交えて話された。一口に開業といっても、実際どのくらいの期間がかかるのか、予算分配、治療院内の構成からコンセプトまで、今後開業しようという後輩達にとってとても心強いお話なのであった。その中でも、特に印象的だったものは土井先生が治療院開業にむけて「自分らしさ」を常に意識されていたことだ。そのこだわりの空間を出すためには、鍼灸院という枠にとらわれず、様々な場を見学されたとのこと。常に頭の中で構成をイメージしてアンテナを張り巡らせる事が大切とのお話であった。人との出会いを重んじ、大切に、自らの貴重な糧とされる土井先生。お話からも、人としてとても素敵な方だという印象をとても感じるのであった。立派な先輩の経験談とお姿を目前にし、心強い道しるべに感じたのであった。
次は、二木清文先生による講義である。伝統鍼灸学会と本部の4人の先生を迎えての連続講義ディスカッションの復習であった。学会一日目については、印象深かった先生のお話を深く掘り下げて、現在、そして今後の鍼灸界の問題点を鋭く切っていかれた。二日目の一般発表や実技では、それぞれの先生から新鮮な発見と刺激を頂きつつ、他会との大きな違いを「人を見て自分を知る」という言葉を用い、このような場で学ぶ意義を今日の会長のご挨拶に続き伝えられた。この機を逃さずに来年の会場、福岡にむけていける人は是非参加して欲しい。と締めくくられたのであった。本部でのディスカッションからは、「胃の気の脉」を取り上げられ、各々の胃の気へのイメージが異なるというのに同じものをみているように話を進めても、あやふやなものとして話し合いが続いてしまう注意点を述べられた。講義後の質疑の時間でも質問が上げられていたが、二木先生の考える胃の気の脉とはどのように捉えられているのか、最後に教えて頂くことができた。細かな部分部分だけをみず、老若男女関わらず患者の後をイメージして脉を感じることの大切さを感じたのであった。
午後
午後は、まず脾経・大腸経の取穴からであった。脾経では、赤白肉間をしっかりと見極め、特に大都から太白穴にかけては弧を描くように経絡をみることができ、ここは経穴が移動している方も多く、外反母趾の患者の場合はどうなるかなど質問も飛び交っていた。大腸経取穴時には、モデル点を確実に取穴できるよう基本を固め、さらに今回はベテランの先生の最近の臨床でのお話を聞くことができ、大変充実した時間であった。
次に、補助療法として円皮鍼の実技を行った。意外と刺入方法をしらずに、痛みなく刺入することが困難な方もおられるよう。今回はその刺入方法はもちろん、ベテランの先生が臨床室で使われる才の刺入目標とする部位の探し方までご教授頂いた。痛む局所ばかりみずに、治療を進める上で経絡を意識することが臨床ではとても大切なことだとのこと。そして、今回腰痛がある肩に実際行った際には、とても動きが軽くスムーズになり効果を実感して頂くことができた。その後鍼を外された時のご意見をきくと、外すと痛みが少し再発したよう。あくまでも「痛み止め」なのだとベテランの先生は言われる。このように簡便で効果が絶大な分、患者への後々の行動・養生指導が大事であることも強く感じたのであった。
続いて、基本刺鍼では、三班に分かれて腹部を使っての修練を行った。切診から衛気営気どちらが身体が求めているものかを予測し、その後実際に鍼を行ってみるのである。班の中でそれぞれの意見を述べあった後結果を手技を行うことで確認する。もし予測が外れど身体が求めていない手技を行った時の変化をみることは自らの身体をもっても、他者の身体をもっても、とても吸収すべき者に溢れているのであった。自己修練の数だけ、大きな宝となる修練方法なのである。
午後の後半は、今回も小里方式では研修班、基礎班、聴講班に分かれて行った。聴講班では、今回はマンツーマンでの指導を受けられて、治療をした後のご自身の身体の変化を感じて頂いた。一つのベットにはベテランの先生もついておられ、共に学ばせて頂くことができる。毎回感じることだが、このような貴重な場で、自分の意欲と行動力しだいでとても大きな発見に出会えるのだ。ぜひ様々な方に参加して技術・意識の向上へと繋げて頂きたいと思うのである。今月は、指導者講習会の時間にDVD観賞が行われた。以前撮影が行われた岸田美由紀先生の「ていしん入門」のサンプルDVDである。来年一月にあるにき鍼灸院でのオープン例会の話などもあげられ、これから先の沢山の楽しみをひかえ、今回も例会後にもかかわらずさらなる熱気をたっぷりに充電されて実技研修に入ったのであった。