6月例会の報告

平成21年6月20日 草津まちづくりセンター  
   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容
午前「難経読み合わせ」       木村知恵先生    
    「補助療法について」      二木清文先生                
        
午後「取穴」  
   「軽察自己修練法・取穴法」             
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
    
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。近日首相交代が行われた後のさっそくの例会ということで現在そしてこれから山積みとなっている政界・国民の問題課題について私達にもわかりやすいように以前読まれた書籍の中から各国の風評を引用してお話してくださいました。一転、今回の治療室のお話しでは臨床話術と、患者さんにしっかり納得してもらえるような治療をしてゆく必要性を話されました。
午前講義風景1
午前午前最初の講義は、連続講義二回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は木村知恵先生による講義で2難と3難を読解していただきました。2難は寸口部に尺や寸という名のつけられている意を問うており、3難は脈象の中の太過・不及・陰陽相乗・覆・溢・関・格の具体的なものを求めて問うている。問いと答えまで一通り読解していただいた後は皆で疑問となるところ、深く掘り下げたい所など質疑を交わしていきました。ベテランの先生による解釈や臨床へと繋がる話、そして最近の臨床室にて脈の視点から証の正誤を瞬時にみているお話など興味深く午後の実技からも早速深く注意して学びたく感じる内容であった。
午前講義風景2
次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義二回目で刺絡を主題としたお話しとなりました。主題に入る前には我々が行う「経絡を動かす鍼灸術」について話されました。基礎テキストに沿って学んでいく中、扱う上での詳しい注意点のみならず刺絡での印象深い臨床経験や、 刺絡部位を探るコツなどを教えていただく事ができました。現在の臨床室からも細絡をどのようにとるのか、いかなるときどのような方法が使えるのかなど明日からの臨床室でも早速使えるものたっぷりにお話しいただきました。
 
取穴風景
午後 
午後は、まず心包経・胆経の取穴から始まりました。心包経では、前腕部で特に腱を胆経では骨筋にさらに注意し、しっかりととらえたうえでみていく事ができました。今年は1月に開催されたオープン例会でしっかりと見直した臨床的自然体を思い出しながら臨床上胆経を利用する時の立ち位置や身体の使い方など頭での構想も意識しながらとらえていく事で単なる取穴を一つ一つ単独にみるよりかなり感覚も異なったものが得られることにも気づけた時間でありました。その後は二木先生による手軽にできる軽察の自己修練法をご教授いただき、身近にあるもので確かな変化を自らとらえる事ができるこの方法は参加者にとって驚きと新たな発見の感覚であり、とても好評な声があちこちであげられていました。最後には、より確かな経穴反応をとらえる方法をも御提示されモデル患者にベットに上がっていただいた上で皆で確認させて頂くことができました。この自己修練法・取穴法ともより良いものを求めさらなる追試もしてゆきたいとのお話しでした。
  小里方式実技風景
次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を見直してゆきました。この基本を毎回見直した上で次の小里方式に移れる事は、手法を決して甘んじる事無く確認してゆけるのでとても心強い時間に感じます。 続いては、今回も聴講班・基礎班・研修班のベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は岸田先生、基礎班は小林先生、研修班には二木先生のもとご指導いただきました。今回も刺激を受ける事多く一人一人が納得のいくまで意見を交わしあい施術しあい、予定時間いっぱいまで実技を行うことができて密度の濃い研修時間となりました。
                                        
                                              報告ページ担当  若森千明 
 

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5月例会の報告

平成21年5月16日 草津まちづくりセンター  

  午前9時40分~午後16時30分まで                                   

内容 
午前 「難経読み合わせ」       岸田 美由紀先生
    「補助療法について」      二木 清文先生

午後 「取穴」
    「基本刺鍼」
    「小里方式」
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶で、先日他会の勉強会に参加された際のお話しをされました。そこでは目的とするものは同じだが、独特の診察・治療法をされ実に興味深い内容であったとのことでした。様々な勉強会に参加することは見解を広げ、なにより自分のたりない点に気づく良い機会でもあります。自分の中で軸足をしっかりおいたうえで見解を広げ、技術を極め「患者さんにとっての良い治療」をめざしていきたいとのお話しでした。さらに滋賀の近況としては新HPやベビーシッター制度設置など新体制も整いより学びやすい環境となりましたので随時聴講生も募集の件もお話しされました。
今月から難経の読みあわせが始まりました。今回は岸田美由紀先生により1難の内容いついてお話しして頂きました。1難は「どうして経絡治療家が脈をみるのか」という内容であります。

午前講義風景1最初という事もあり、ベテランの先生方に読みあわせを皆でしていくに当たっての御意見そして難経への思い入れなどを伺うことができました。進行を勤めてくださった岸田先生は、先人の解説は先人の想い。これを機に自分の解釈を感じてゆきたいというお話しでした。会長である小林先生は、一通り読みあわせを学び終え、その後臨床へどう繋がるかという目的意識を持ち向き合いたいとのことで私達も一難一難の解釈を様々な角度からみてゆくことで大切に読み合わせていきたいと感じました。

午前中後半は、二木清文先生による「補助療法について」の講義でした。補助療法の本題に入る前には、漢方鍼治療の基礎についてそして経絡治療との違いについて話されました。補助療法なかには、刺絡・子午・円皮・皮内・灸・ナソ・ムノ・奇経などがあり、午前講義風景2中の一例として症状が強く証決定が困難な状況に陥っている時などかなり使えるものもあるが、安易に使うとドーゼ過多になるので注意が必要とのことでした。その他補助療法を使っての印象深い臨床室でのお話しや、適応例、施術箇所の臨床的見極め方など明日から早速臨床室で使える知識内容豊富に詰まった講義でありました。

午後 
午後は、まず腎経・小腸経の取穴から始まりました。腎経の取穴では経金穴である復溜の取穴は使用頻度も多くより丁寧にみていくことができました。この経穴は生きて働く穴として高さはあまり変動しないが前後の変動がよくあるので注意して取穴をしました。取穴風景小腸経では、養谷穴の臨床的取穴をご指導いただくことができました。滋賀のテキスト記載の臨床的取穴とは別に、二木先生が臨床室で追試され反応がさらに強く現れるところとして教えていただき、皆で取穴を致しました。正確に取穴をすることは治療効果を大きく向上出来ることであり、また、生きて働いている穴をとることは大変重要なことであると再確認できました。

 続いて、腹部を使っての基本刺鍼の修練を行いました。前回から続き手法時間にも注意してお互いに指摘しあったり向上点をアドバイスしていただいたり自己習練も大切ながらこのように研修の場で皆さんに刺激を頂く事で明日への成長へと繋がる事が多々あり、大変勉強になりました。

午後の後半は、聴講生班、他二班に分かれて三台のベットで小里方式を行いました。聴講生には二木清文先生が御指導され、二班にはそれぞれ小里式実技風景小林久志先生と岸田美由紀先生の御指導のもと行われました。声の変調という事で生内先生がモデル患者となり治療を行ったことでは、声を録音して施術前と後を確認してゆきました。今例会もベテラン先生方達から臨床的なお話しから治療家としての姿勢など教わることが多く、各々が感じたことをお土産にして、明日からの臨床の場一日一日もさらに大切にしてゆきたいと感じました。

報告ページ担当 若森千明

4月例会の報告

平成21年4月18日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで

   内容
    午前 「定期総会」
        「鍼灸師の夢を語れ」   
                      佐野佑介先生
                      生内優里先生
                      水戸尚子先生              

   午後 「取穴」        
      「基本刺鍼」
      「小里方式」

午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。昨年度の活動を振り返り、今年度からは漢方鍼医会本部も新会長が就任され心機一転地方組織の滋賀としてもテキストやHPなど新たな課題をもって今後の活動のお話をされました。今年度もよりよい鍼灸治療を後世へ伝えてゆきたいと願いを込めて新年度の素晴らしい皮切りの挨拶とされました。続いて年に一度の定期総会が開かれました。

午前
今回は、若手の3名の先生方に「鍼灸師の夢を語れ!」というお題について熱くお話ししていただきました。まず、今年鍼灸師として羽ばたかれたばかりの佐野佑介先生は、学生時代のご家族の治療経験から感じ取ったものからの出発、学術を得ようと自ら行動を起こしたことで出会えたご縁、そこから向かう自らの将来像についてお話ししていただきました。
続いて、生内優里先生のお話では学生時代から、今助手経験を経て「鍼灸師」としての大きな意識変化を述べられ、その中でも「総入れ歯になっても治療家でありたい」との名言は生内先生の人柄に和まされつつも皆の心に深く印象付いたのではないでしょうか。
最後に、昨年に開業された水戸尚子先生によるお話でした。水戸先生は夢とは、実現したい理想。目標とは、行き着こうと設けたもの。としっかりと意味するものを捉えた上で最近の臨床室での近況のお話の中から小児鍼での関東地域での位置づけを変えるなど意欲・意志ともに強い芯をもって訴えられました。恩師である二木先生の治療室で「あそこに行ったら大丈夫」という患者さんを目にしたことで自らも周辺地域でそのように信頼合って皆集まれる場でありたいと目標を掲げられました。

3名の先生に熱く語っていただき、この厳しい世の中で若い先生に夢を持っていって頂きたいという願いが込められたお題は、卵からベテランの先生まで参加者一人一人に熱ものが胸に宿ったのではないでしょうか。

午後
 午後は、まず肺経・胃経の取穴から始まりました。始めに、目的とする経絡を伸ばすことで正確な取穴と効果の向上がはかれるためこれを常に意識するようにアドバイスいただき取穴を行っていきました。胃経では骨度法も頭に置きつつ臨床的な取り方を学ぶことができました。使用しているテキスト「経絡治療と臨床研究~やさしい解説と実践取穴法~」ではモデル点の取穴法だけならず臨床的な取穴法が記載されており、今月も指導者の先生と実際に取穴してゆき、それぞれの経穴での臨床室のお話を伺うことができ一つ一つが興味深く印象的な学び時間となりました。

次に、腹部を使っての基本刺鍼を三班に分かれて行いました。前回に引き続き衛気・営気の手法、特に手法時間をみてゆきこの点に関しては二木先生がそれぞれのベッドを回り個人個人へご指導いただくことができました。術者以外の者は、手法中に皮膚状態・脉・腹状・肩上部などみることで術者の手法の完成度、改善点などを指摘し合うことができました。そして、指摘して頂く中で手法時の手の軽さなど一点にばかり気を向けてしまうと反対に肩上部などががちがちになっていたり注意点から改善点まで様々な気づきがありました。基本は何一つ欠いても手法の完成へとたどり着けないことを改めて感じ、参加者の先生方からの意見で改善され手法の形が成り立った時の喜びを覚えこみ今後に繋げたいと思いました。

 続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。今回は小林先生と二木先生ご指導のもと始められました。いつものように、問診・切診を経て経過や現状を踏まえて病理を見極めてゆき治療へ移りました。この病態は49難でいけるのかまたは69難か、はたまた・・・と身体をじっくりとみてそれぞれ意見を交わしてゆきました。今回も沢山の意見をぶつけあることで非常によい刺激を受けつつ、最後には指導者の先生にも導きを頂きながらしっかりと肩上部・脉・腹の三点セットが緩むことを確認し、症状も取り去ることができました。施術を行う者にもモデル患者としてベッドに上がり術を受けるものとしても得るもの多く、大変勉強になる実技時間でした。

 今月の指導者研修会はお休みで、新年度の始まりを祝し懇親会が開催されました。
祝いの時間を満喫しながらも、今後の滋賀漢方鍼医会のさらなる盛栄にむけて自然と意見が飛び交い楽しくも意義のある時を皆で過ごすことができました。

                                         

報告ページ担当  若森千明

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3月例会の報告

平成21年3月21日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで   

内容  
午前 「陰陽五行論について」    小林久志先生       
    「脉診・脉論について」     二木清文先生                
                  
午後 「取穴」               
    「基本刺鍼」      
    「小里方式」
    

午前挨拶風景
今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。日本中を熱くしたオ
リンピックの話題からはじまり、年度末ということで滋賀漢方鍼医会の昨年度・今年度そして来年度についてまとめてお話し頂きました。これまで本部・地方共に難経講演をしていただいた事で、難経の意味するところ、今後私たちがみていくべき視点について定めを付けることができました。次は、滋賀ではテキストの通読も取り入れそこから意見交換をすることで、さらなる学びとしようと今後の動きについて述べられました。

午前最初の講義は、小林久志先生による「陰陽五行論について」午前講義風景でした。西洋医学では病名が必要ですが、漢方医学では病名なくとも病態生理をつかみ人体の陰気と陽気の変化を捉えて、人体中の気の調和を取ることで治療してゆけます。そして、今回のテーマである陰陽五行論を学ぶにあたりポイントとなるのが「この論をいかに臨床応用するか」。その着目点を押さえるように述べられた上で陰陽・五行続いて四大病型、治療とお話を進められました。そして、アドバイスとして陰陽五行は生理とあわせて学ぶと理解しやすいとのことでした。これらを皆で臨床応用していこうというのがこの研修会の意義でもあるのだと参加者、そして聴講の方へのメッセージとして締められました。

次に、二木清文先生による「難経脉論について」のお話でした。今回は本部の「命門・三焦」の講義をもとに話されました。本部のベテランの先生方の古典へのリンクのさせ方などとても勉強になるので、もう一度録音を確認することをまず勧められ講義内容に入っていきました。まず、命門については二木先生の臨床からのお話を交え腎間の動悸がいかなる状態かを見逃さずにいたことで予後を察知できた時の印象的なケースを伺うことができました。本部でも質問が上がっていた三焦の臨床応用についても話された後、締めは手技のお話でした。手技時の着目点と、気の流れからのタイムラグをさらに考慮する必要性をあげられました。そして適切な押し手の重さが自分はできているか、腹部での確認をしさらなる手技の修練を行うべきだと述べられ、午後の実技への課題として繋げられました。

午後取穴風景
午後は、まず脾経・三焦経の取穴から始まりました。商丘穴を取穴するときには、取りやすいように足関節をほぼ直角に背屈させ筋腱や骨をしっかりと捉えながらモデル点をとることができました。テキストによる取穴法だけでなくベテランの先生方からは臨床的な取穴を学ぶことができ、今回は特にツボとツボでない箇所の感覚の違いを丁寧指導していただきました。慣れずにスムーズにツボへ手が止まらない人でも、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上はかれるのもこの研修会ならではの良い点であり参加者にとって大変意義深い時間となりました。

その後基本刺鍼を三班に分かれて行いました。衛気・営気の手法、特に手法時間を注意して見直してゆきました。いつものように腹部を使っての修練を行っていくのですが、小里式実技風景今回は衛気・営気それぞれの押し手の重さの確認からはじめ、次に鍼を用いての手法訓練を行いました。その後には、一人一人が手法時間の長から短の場合まで身体の変化をみていくことができました。ベテランの先生方とは気を動かせるスピードももちろん異なるところではありましたが、それでも衛気の手法の短さにはとても驚くところでありました。しかし、慣れないうちのこの驚きにより中途半端な手技になることが要注意だとのお話でした。この時に、何度も確認したり、疑問点をあげたり参加者同士お互いの技術向上を図れるのもこの研修会ならではの良い点でありその中で多くの刺激をうけながら丁寧に手技をみていくことができました。
 
 続いて、ベッド3台に分かれて小里方式を行いました。聴講班は小林先生のご指導のもと進められました。後のベッド二台には、それぞれ二木先生と岸田先生がついてご指導いただきました。まず、腰痛と、婦人科症状のモデル患者を治療してゆきました。もう一斑でも、二人の治療を行うことができました。この時間にも、基本刺鍼の時間に手法時間の見直しを行ったことを活かしそれぞれのベッドで手法を念入りに確認し、皆で体表観察しながら意見をまじえました。その他にも、鍼を一本打った後身体に気が巡る時間を考ながら診察・治療を進めたりとこれまでの延長線にありながら新鮮に感じた研修内容でありました。
                                         

                                            

報告ページ担当  若森千明 
 

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2月例会の報告

平成22年2月21日 草津まちづくりセンター
  午前9時40分~午後16時30分まで

内容
午前 「気血津液について」      岸田美由紀先生
    「脉診・脉論について」     二木清文先生                

午後 「取穴」        
    「基本刺鍼」
    「小里方式」

午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まずは、最近の政治のよどみについて話して頂きました。今の政治は先のビジョンを見据えているのだろうかそれだけではなく国の政治をになう代表の大人達の行動をテレビを通してみて育つ子供の影響へ不安を述べられました。鍼灸界の話題としては、大阪であった無免許鍼治療による気胸事件について触れられ、自らの学生時代の気胸体験も踏まえお話し頂きました。これを機に世間が鍼のイメージを良くは感じ取らないことを胸に留めつつ、我々の行動・言動にさらなる芯をもって「鍼灸」を伝えて行きたいと感じました。
午前講義1
午前最初の講義は、岸田美由紀先生による基礎講義で「気血津液について」でした。この講義をされるにあって、「どうして気血津液を学ぶのか」という原点に立ち返りまとめ上げられました。それぞれの各論・病理状態に時折臨床室のお話も交えて分かりやすく説明して頂きました。この変動を捉えてこそ治療に結びつく。そのことを理解して、基本をしっかりと押さえてこそ臨床での様々な病態と向き合えるのだということが改めて強く思った点でありました。

次は二木先生による「脉診・脉論について」の講義でした。本部例会で午前講義2の森本先生による「難経49難の攻略法」の復習となる内容でした。要点を確認した後には、森本先生のお話を聞いて感じ取ったことを臨床家の先生方から伺うことができました。「49難への忠実さ」「体系化の巧みさ」「細かなところまでみていく姿勢」などをはじめいくつも感銘を受けた点があげられました。滋賀で特に着目していた75難や、テキストに記載されていることにも講義内で触れてくださっていたことで、森本先生の解釈からとても新鮮に感じながらも、改めて学ばせて頂き、今まで以上のさらなる理解を深めることができました。

午後
午後は、まず腎経・胆経の取穴から始まりました。腎経の取穴取穴風景では然谷の取穴の際には、軽擦の段階で経絡の流注を垂直に一度きることで、生きて働くツボをより取りやすくなる方法を実際の実技として学ぶことができました。胆経の取穴では、一つ一つツボをみていく間に最近の臨床室からパーキンソンの患者さんで今まで使用していた胆経でも一つツボを変えたこと出かなり症状の安定が維持できるようになった例を伺うことができました。モデル点をベテランの先生と丁寧にみてゆき、毎月ご指導頂く機会で生きて働くツボの感覚をさらに覚え込んでいきたいと感じました。

続いて腹部を使っての基本刺鍼の修練をおこないました。ここでは、衛気営気どちらが手しているかを意見を交わしながら予想し、その後に実際鍼をうち確認に入ります。今回は衛気営気の手技をハッキリと区別させることを注意点としてあげられました。衛気の手法が長すぎる傾向がよく見られることから、ベテランの先生に実際に手技の長短での身体の変化を示して頂くことができました。治療は術者の自己満足では行うものではないと強く訴えられたのでありました。しっかりと感覚を押さえてから抜鍼するのでは遅すぎるのだとアドバイスを頂くこともできました。しかし、慣れないうちは抜くことばかりに気がいってしまうので、さらなる修練を重ねて行きたいと意気込みいっぱいに終えた時間となりました。
小里式実技風景
続いて、ベッド2台に分かれて小里方式を行いました。二木先生と小林先生のご指導のもとそれぞれのベッドに上がられた風邪と花粉症のモデル患者の治療を行ってゆきました。いつものように体表観察からはじめて、選経・選穴の段階では本部例会での森本先生の講義内容も踏まえた質疑も交わしながら証へたどっていきました。午前では岸田先生の気血津液のご講義を頂いたことでモデル患者の病理考察もさらに深く確認しあうことができました。
                                                                                                                                                                                                             報告ページ担当  若森千明 

 

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1月例会の報告

平成21年1月17日にき鍼灸院
午前10時40分~午後16時00分まで

内容
午前「腹部を用いての基本刺鍼」         
   「刺絡」    
   「円皮鍼」   
   「知熱灸」  
               

午後「取穴・臨床的自然体」 
   「子里方式」
   「ベッド2台を用いてのモデル治療」    二木清文先生
                            岸田美由紀先生
        

午前
今月は、にき鍼灸院でのオープン例会でした。まず小林先生、二木先生から挨拶を頂き参加者の簡単な自己紹介をしたところで早速実技時間をたっぷりと設けた濃厚な例会が始められました。

腹部を用いての手技修練風景

最初の実技は、ベッド4台にそれぞれ4班として分かれ、腹部を用いての衛気・営気の手法の修練を行いました。この修練方法は、患者の病態に対してどちらの手法が適しているのかが確認できます。行った手法がよいのか、悪いのか、肩上部・腹部・脈等の変化をみた上で客観的評価として捉えられました。手技の向上にむけてさらなる修練を重ねて行きたいとこの実技を通して改めて強く感じました。この時間では、指導者の先生から衛気の手法時の押し手の重さや、抜鍼時のタイミングが注意点としてそれぞれのベッドで多々上がっていました。それぞれの地方の先生方と共に実技を学ばせていただけることで、参加者同士の意見の交換も活発に行われてゆきました。

次に補助療法として、井穴刺絡・円皮鍼・知熱灸を行いました。刺絡実技風景
井穴刺絡では、この概念として営気の瀉法ですが、作用としては滞りを取り除き補をもたらすもの。つまり、痛む局所から沢山抜けば、良いと言うことではない所に注意が必要だとのことでした。使用する経絡の見極め方では、視覚によって血(おけつ)を判断する法・視覚を使わず手の感覚で血(おけつ)を判断する法、刺鍼方法、臨床室で井穴刺絡をいかに利用しているのかを伺うことができました。そして、実技ならでの刺絡後の脉の変化などリアルタイムで感じ学ぶことができ大変勉強になりました。。
円皮鍼では、円皮の得意所として擬似的に経絡を流す作用がありま

す。それを上手に作用させるには狙い目として重要なものとして「境目」をみつけるとのこと。そこで参加者同士で教わった境目を手の感覚の覚え込ませていきました。
知熱灸では、作り方、施術点の取り方など学び、普段の会場では火が使えない分リクエストが多かった実技であるので、体験も積極的にされ、沢山の質問が飛び交いました。
この知熱灸には、湿熱も加わっており、体験者の方からは、とても熱の伝わりが気持ちよいとの感想がありました。

知熱灸実技風景

円皮鍼実技風景

午後
 午後は、まず取穴・ベッド周りでの臨床的自然体を行いました。今回はにき鍼灸院での電動ベッドをお借りできたことで、自分にあった高さで、いかに臨床的自然体を作るのかを学ぶことができました。取穴をするといっても、患者の手、足など角度・位置、さまざまなのです。私たちが取穴をした後、指導者の先生が肩に手を当て、アドバイスに従い少し立ち位置を変えてみる。そこで自然体だと思っていた姿勢に肩の力が抜け切れていないことにハッキリと気づくのでありました。その後参加者で再度班に分かれお互いの苦手な取穴・自然体を見直すことができました。
次に小里方式を同班で行い、今回は滋賀以外の漢方鍼医会からの先生のアドバイスも受けることができ、とても刺激となる時間となりました。

最後に、二木清文先生と、岸田美由紀先生に二台の電

実技講演風景

動ベッドを用いて、モデル患者の実技公開をして頂きました。岸田先生は、主訴が腰痛のモデル患者を。二木先生は風邪のモデル患者を担当されました。実際の治療室と同じかたちで治療を進められ、無駄のない動きで、流れるような治療でした。その中で、患者の病態、生理、治療について細かな解説をはさんで下さることで、患者の状態が参加者にも詳細に伝わり皆参加型ともなる実技公開となりました。要望が多かった標治法についてもじっくりと伺いみることにより一層理解が深まりました。
丸一日を実技時間としてたっぷりに設けた贅沢なオープン例会。にき

先生の臨床室で使われている補助療法もしっかりと学ぶことができ、ベテランの先生方の治療室での姿を窺い知ることで、深く刺激を受けることができました。参加者の先生方からも、今日学んだことを明日から早速発揮していきたいとの声が多々ありました。このような普段ご一緒できない滋賀以外の地方漢方鍼医会のベテラン先生方と学びの場として交流できる貴重な機会は、一人一人の知識・意欲を刺激することでもあり、大変学びの多い時間を過ごすことができました。

にき鍼灸院でののオープン例会のあとは、かんぽの宿での温

新年会集合写真

泉、懇親会でした。向かうバスの中では、例会の反省を一人一人行っていきました。濃密な時間を例会で過ごし、かんぽの宿で心も体も癒し琵琶湖を眺めながらの温泉で疲れをとる。最後に皆で頂く食事はまた格別に感じるのでありました。懇親会では、滋賀以外からもベテランの先生方も集まられているこの機会に、臨床室でのお話を聞いたり最後まで贅沢な一日を過ごすことができました。今後への意気込みがます中、最後にはとても素敵なご報告があったりと今後の皆さまのご清栄を祈りつつ今月の例会は閉じられました。
       

 

12月例会の報告

平成21年12月20日 草津まちづくりセンター

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容  
午前「心・心包について」      水戸尚子先生      
   「脉診・脉論について」    二木清文先生                
        
午後「取穴」        
   「基本刺鍼」        
   「臨床的自然体」
   「小里方式」
    
午前
今月の例会は、二木清文先生による挨拶であった。今回の挨拶風景挨拶は、今年最後の例会ということで、先日発表となった毎年恒例の一年表す感じとして「新」をまずとりあげられた。これには今年大きく変化をあらわした政治下をみても一目瞭然、変化にプラスし今後の希望を含み「チェンジ」の年という意味も込められているのだというお話であった。それに繋がりリアルタイムの時事ネタへと移られた。鍼灸界の時事ネタとしても、消費税率の問題点等を例として分かりやすく鍼灸治療の世の中への大きな関わりを噛み砕いてくださり今問題となっている国家予算を救う面からも鍼灸・経絡治療の必要性を語られた。莫大な医療費も、念のための検査に慣れた私たち国民の意識を変えて行かねばならない。東洋医学特有の未病治がとても大きな力を発揮できる時なのである。そして、そのためにも我々は臨床家として効果を確実に出していかなければならない。そのためにも、今できることは先を見据えての投資であり、研修会への参加や、書物を読むことにより腕がさびないよう日々努めるようにとお話を締められた。
午前、最初の講義は水戸尚子先生による五臓の生理・病理で「心午前講義風景1・心包について」を漢方鍼医の基礎講座をもとに話された。心は最も重要な臓で、その働きは心包が代わっておこなっている。心の他の臓への関わり、また他の臓から受けている助けについても一つ一つの生理的働きをあげつつ、とても分かりやすく説明して頂いた。この講義の下準備を経て水戸先生は君火と相火の関係が少々曖昧に理解しがちだったことに気づかれ、今回詳細に取り上げてくださった。君火と相火についてはとても大切な概念であるのに我々も曖昧な理解になりやすい。そこで、このように定義から、生じる過程・互いの関係などを学べる機会を作って頂くことができ改めて理解することができた。終末には心・心包の臨床的質疑が交わされ、ベテランの先生の考えを多々伺うことができ貴重な時間であり、大変勉強になった。

次は、二木清文先生による「脉診・脉論について」の講義である。難経の脉・臨床について本部の講演をもとに、復習し皆の見解も伺いディスカッションを行っていったのであった。今回は名古屋の先生方による「胃の気脉診」についてである。胃の気とは、生命力の活動の根元であり、自然治癒力を働かせる根元とも言えるのだ。まず、胃の気脉診=五臓脉診や、比較脉診(脉差診)について詳しく述べられ、その後に胃の気とは、どのように見るものか。また二木先生はどのようにとらえられているのかを伺うことができた。また、滋賀漢方のベテランの先生方が、胃の気をどのように捉えてみているのかもお一人づつ意見を伺うことができ、諸先輩方の捉え方・考え方がとても臨床的で興味深いものであった。最後には、二木先生の臨床室で最近こられたぎっくり腰の患者さんを例に、先生の胃の気の脉の捉え方をお話し頂いた。
 
午後
午後は、まず肝経からの取穴で始まった。井穴では取穴風景井穴刺絡の際には爪甲根部が主であるが、本治法を行う時など臨床的に反応が出やすいものとして漢方鍼医会のテキストにも書かれている特別な取穴を実際に互いに取り合い学ぶことができた。次に、小腸経の取穴を行った。合土穴である支正は、経絡をなぞっていくうちに触れる感覚が骨から肉のベッドに変わる境を見つけるのだが、必死になり手を重くしてしまいがちでは反対に見つけがたいものとなるのであった。
その後基本刺鍼を三班に分かれて行った後に、今回は刺鍼時の臨床的自然体を学ぶことができた。一月にあるオープン例会の内容を少し先取りしてベテランの先生に教えて頂くことができた。ベッド周りでの取穴をして施術を行う時、自然体が難しい穴を皆がリクエストしあっていくつかの取穴姿勢をみていった。身体に無理自然体練習風景な力が決して入っていない自然体を作るのは難しくベテランの先生のご指導で少しの立ち位置の違いでかなりの無駄な力が肩に入ってしまっていることが各々に理解することができた。自然体での治療効果の変化はもちろん、治療家が不格好で無駄な力一杯に治療を行っては幾人もの患者さんを診ていく上で体がもつはずはない。一日に診れる患者の数が限られてしまうのだ。今回は、ベッドの高さが調節できなかったが、一月に控えたにき鍼灸院をお借りしてのオープン例会では、電動ベッドで高さを調節することができまた違った発見や学びをこうことができるであろうどのようなことが学べるのか、そこで何を感じ取り日々の臨床へと繋げることができるのか、来月のオープン例会が今からとても楽しみである。
 
 午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に分かれて行った。小里式実技風景今回は生内先生、里内先生、佐野先生がそれぞれのベッドでモデル患者としてあがられた。まず診察として望診や不問診を経て切診に移る。治療者間で意見を述べ合い、証が決まったところで指導者のベテランの先生からの見解も伺うことができた。その後には、軽擦をして三点セットの確認も済み使用する経絡・穴の最終確認ができた。実技として診察から治療を行っていくうえで指導者の先生、臨床家の先生とご一緒させて頂くことで今回も沢山の気づきがあり、大変勉強になった。そして、今年も研修会に参加することで刺激を頂き、来年に向けてのさらなる新鮮な意気込みをもって終えることができた。

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11月例会の報告

平成21年11月15日 草津まちづくりセンター 
   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容
午前「臨床あれこれ」            土井真琴先生        
   「脉診・脉論について」        二木清文先生                
        
午後「取穴」       
   「補助療法」        
   「基本刺鍼」        
   「小里方式」
    

午前
今月の例会は、まず小林久志先生による会長挨拶であ会長挨拶風景った。今回の挨拶は、近年の自然界の生態を踏まえながら気候の変化のお話から爽やかな挨拶が始められた。先月の例会は日本伝統鍼灸学会への参加に振り返られたことからこのような大きな学会に参加することは勉強になるうえに他団体との交流ができるというとても刺激ある貴重な場となるとのお話であった。この刺激で、現在の漢方鍼医会の立ち位置を見ることも可能で、会の足りぬ点に気付くこともあれば、良き点を再確認できる場でもあるのだ。他団体が集まる大きな場、そこで共に学び会う意義を強く訴えられた。その学会で発表された印象的な先生のお話に触れられ、難病のお話が出ていたことで最後は今年また難病疾患登録が増えている今日に漢方医の大きな役割を御提示された。

午前、最初の講義は土井真琴先生による臨床あれこれで、「開講義風景業について」のお話であった。滋賀で二木清文先生の元で助手として修行をつまれた後、京都で開業されて半年がたたれた土井先生。開業に至るまでの期間、どのような準備が必要であるのか後輩へのメッセージも込めてご自身の経験をもとに奮闘記も交えて話された。一口に開業といっても、実際どのくらいの期間がかかるのか、予算分配、治療院内の構成からコンセプトまで、今後開業しようという後輩達にとってとても心強いお話なのであった。その中でも、特に印象的だったものは土井先生が治療院開業にむけて「自分らしさ」を常に意識されていたことだ。そのこだわりの空間を出すためには、鍼灸院という枠にとらわれず、様々な場を見学されたとのこと。常に頭の中で構成をイメージしてアンテナを張り巡らせる事が大切とのお話であった。人との出会いを重んじ、大切に、自らの貴重な糧とされる土井先生。お話からも、人としてとても素敵な方だという印象をとても感じるのであった。立派な先輩の経験談とお姿を目前にし、心強い道しるべに感じたのであった。

次は、二木清文先生による講義である。伝統鍼灸学会と本部の4人の先生を迎えての連続講義ディスカッションの復習であった。学会一日目については、印象深かった先生のお話を深く掘り下げて、現在、そして今後の鍼灸界の問題点を鋭く切っていかれた。二日目の一般発表や実技では、それぞれの先生から新鮮な発見と刺激を頂きつつ、他会との大きな違いを「人を見て自分を知る」という言葉を用い、このような場で学ぶ意義を今日の会長のご挨拶に続き伝えられた。この機を逃さずに来年の会場、福岡にむけていける人は是非参加して欲しい。と締めくくられたのであった。本部でのディスカッションからは、「胃の気の脉」を取り上げられ、各々の胃の気へのイメージが異なるというのに同じものをみているように話を進めても、あやふやなものとして話し合いが続いてしまう注意点を述べられた。講義後の質疑の時間でも質問が上げられていたが、二木先生の考える胃の気の脉とはどのように捉えられているのか、最後に教えて頂くことができた。細かな部分部分だけをみず、老若男女関わらず患者の後をイメージして脉を感じることの大切さを感じたのであった。
 

午後
午後は、まず脾経・大腸経の取穴からであった。脾経では、赤白肉間をしっかりと見極め、特に大都から太白穴にかけては弧を描くように経絡をみることができ、ここは経穴が移動している方も多く、外反母趾の患者の場合はどうなるかなど質問も飛び交っていた。大腸経取穴時には、モデル点を確実に取穴できるよう基本を固め、さらに今回はベテランの先生の最近の臨床でのお話を聞くことができ、大変充実した時間であった。

次に、補助療法として円皮鍼の実技を行った。意外と刺入方法をし円皮鍼実技風景らずに、痛みなく刺入することが困難な方もおられるよう。今回はその刺入方法はもちろん、ベテランの先生が臨床室で使われる才の刺入目標とする部位の探し方までご教授頂いた。痛む局所ばかりみずに、治療を進める上で経絡を意識することが臨床ではとても大切なことだとのこと。そして、今回腰痛がある肩に実際行った際には、とても動きが軽くスムーズになり効果を実感して頂くことができた。その後鍼を外された時のご意見をきくと、外すと痛みが少し再発したよう。あくまでも「痛み止め」なのだとベテランの先生は言われる。このように簡便で効果が絶大な分、患者への後々の行動・養生指導が大事であることも強く感じたのであった。

 続いて、基本刺鍼では、三班に分かれて腹部を使っての修練を行った。切診から衛気営気どちらが身体が求めているものかを予測し、その後実際に鍼を行ってみるのである。班の中でそれぞれの意見を述べあった後結果を手技を行うことで確認する。もし予測が外れど身体が求めていない手技を行った時の変化をみることは自らの身体をもっても、他者の身体をもっても、とても吸収すべき者に溢れているのであった。自己修練の数だけ、大きな宝となる修練方法なのである。

午後の後半は、今回も小里方式では研修班、基礎班、聴講班に分小里式実技風景かれて行った。聴講班では、今回はマンツーマンでの指導を受けられて、治療をした後のご自身の身体の変化を感じて頂いた。一つのベットにはベテランの先生もついておられ、共に学ばせて頂くことができる。毎回感じることだが、このような貴重な場で、自分の意欲と行動力しだいでとても大きな発見に出会えるのだ。ぜひ様々な方に参加して技術・意識の向上へと繋げて頂きたいと思うのである。今月は、指導者講習会の時間にDVD観賞が行われた。以前撮影が行われた岸田美由紀先生の「ていしん入門」のサンプルDVDである。来年一月にあるにき鍼灸院でのオープン例会の話などもあげられ、これから先の沢山の楽しみをひかえ、今回も例会後にもかかわらずさらなる熱気をたっぷりに充電されて実技研修に入ったのであった。 
 

9月例会の報告

平成21年9月20日 草津まちづくりセンター  

   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容  
午前「臨床あれこれ」          久保田浩彦先生 
   「肺の生理について」        木村知恵先生                
        
午後「取穴」      
   「奇経治療」      
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
  

午前
今月は、二木清文先生による挨拶であった。始めに、八月末に行われた岸田美由紀先生著書の「ていしん入門」に基づくDVD撮影のお話であった。詳細に書かれた本の内容が、映像としても補われるという事は伝わるものが大きくなるであろうと、期待溢れる内容であった。次に、先日鳩山首相が就任されたということから政権交代を経て政治の大きな移り変わりが我々にどのような影響があるのか等お話し頂いた。そして、最後には二木先生が先日老人ホームの慰問に行かれた話からその後実際に臨床室に入られ感じられた指圧・マッサージ施術後の鍼灸術手技への影響性・感覚の発見など話され、多岐に渡るないようであった。

午前、最初の講義は久保田浩彦先生による臨床あれこれであった。病院でお勤めの久保田先生は、今回臨床室から「糖尿病(DM)」のお話をしてくださった。見事にまとめ上げられた資料を基に、糖尿病の詳細から、すぐにでも検診の目安が分かる日頃の危険度チェック一覧表を合間に入れたりと聞き手も参加型のお話で、楽しみながらもしっかりと学ぶことができた。その他にも、食事・運動に関する簡便な表を資料に織り込んでくださったことから、とても分かりやすいご講義であった。近年、日々近代化が進む世の中で、生活が便利になったことから運動不足・食レベルの低下などに繋がり増加していくばかりの糖尿病患者数。多くの先生方が臨床室でも糖尿病と闘う方と出会う機会が多いのではなかろうか。そのような中、久保田先生のご講義は、すぐにでも臨床に役立つ知識の蓄えとなったのであった。

次に、木村知恵先生による「肺の生理ついて」であった。肺の古典講義風景2での位置づけや、働きから肺と各臓との関係、それから病理までお話し頂いた。ご自身の症例もあげながらのお話で、実に分かりやすく、その後は各自風邪のの予防法を参加者の先生方からも伺えるなどわきあいあいとしつつも今後の感染症予防の姿勢の変化にも繋がる充実した時間となった。木村先生は愛用されているまいマスクでの予防法を紹介され、最近の気候の変化にも負けぬよう、まずは自己管理を徹底して行かねばと感じたのであった。最近の身の回りの旬の果樹の変化や、この会場に来られる際には秋風を感じつつ向かわれたお話などさわやかな挨拶を去れ、始終秋風に包まれるような柔らかい空間でのご講義であった。
 

午後 
午後は、まず膀胱経・心経の取穴からであった。膀胱経では、足で取穴風景の取穴法として、赤白肉間という言葉が出てくる。理解しているようで少しあやふやになりがちであるが、今回これの見極めが容易にできる法を学ぶことができた。触れながら感覚を澄まして見極めてゆき、その後改めて目で見てみても赤肉と白肉間の境目がハッキリと理解できた。次に、奇経治療を行った。それぞれのベットに別れ、肩上部のこりや、腰部の症状などがあげられるなか、治療の即効性の再確認を実感したのであった。奇経治療ならではの経穴取穴では本来の経穴にプラス、比較としての取穴についても学ぶことができた。奇形実技の中でも特に、ベテラン先生の素早いツボの確認が印象的であった。効果を改めて感じることも大切ながら、毎回の実技でベテランの先生の触診姿や、手技風景を間近に見て、感じて学べることは実に貴重であることと感じたのであった。

次は、お腹に基本刺鍼を行い、手技の確認を行った。この際、一基本刺鍼実技風景本の鍼で脈・腹・肩上部までとても大きな変化が出る。この三点セット以外にももちろん情報源は多々あるが、この腹部での刺鍼は、見事に手技レベルが現れる。この基本刺鍼では、研修会ではお互いの身体から学ぶが、自分の腹でもできることから腹部での修練を欠かさない事で手技レベルの向上に直結する。まず腹診・切診からからだが欲する手技を予測してから行った。身体が必要としない手技では、理の開きや腹部が堅くなったりととてもハッキリと変化が現れた。先日の夏期研でも二木先生がこの修練の必要性を強く訴えられていたように、修練を怠らぬなら必ず身となるのがこの画期的な修練方法であるのだ。手技レベルの向上としてこの重要性がひしひしとみに浸みる充実した時間であった。

午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に別れ、それぞれのベッドでベテランの指導者の先生の導きを受けながら病理をつかみ証決定へと移ることができた。そして、聴講生ベッドでは生内先生ご指導のもと、実際に治療を受けられた参加者の先生にはご自身のみを持って身体の変化を感じて頂くことができた。今月の例会も皆で共に学び、考え、意見を投じあい、感じることで新たな発見も多く一人一人にとって得るものが大きな例会となった。

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8月例会の報告

平成21年8月23日 草津まちづくりセンター 

   午前9時40分~午後16時30分まで   
 
内容   
午前「夏期研報告会」             参加された先生方  
   「夏期研基礎講義から学ぶ」      二木清文先生               
        
午後「取穴」 
   「菽法脉診の確認」      
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
    
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による挨拶であった。今回の挨挨拶風景拶は八月ということで、丁度64年前のこの月に原爆投下・終戦があったことからさかのぼり戦争当時の話から入られた。決して忘れてはならない現実を痛感したはずの日本人が今核武装アンを出したりと過ちを繰り返そうとしている。過ちの繰り返しといえば、最近では新型インフルエンザの件でも然り。以前流行した感染症の対策に急遽大量のワクチンを入手したが移り変わる型の変化にはついてはいけず結果が伴わなかった。私たちは周りの状況・情報を鵜呑みにし振り回されるがために今までから過ちを募らせている。一つ一つ耳にはいる情報を冷静に判断する必要があるのだ。それは医療の一角をになう私たちが平和を切に願う「平和人」でいるためにも常に重要なのだと、これからの私たちの医療姿勢へとつながる話をしてくださった。そして、私たちは経絡治療という強みがあるのだからこれから来る感染症の患者への対応に揺らぎがないように自己治療を経て、自己管理を怠らないようにとのお話であった。
本日は第16回夏期学術研修会を終えて初の月例会ということで、二木清文先生司会のもと参加された先生方それぞれから感想、意見を伺う報告兼反省会から始められた。プログラム・実技授業一限ずつ切り分けて報告会が進められ、夏期研での充実した時間の中で、得られたものまた疑問に思ったものが次々と出てきたので今後滋賀漢方全体の課題とできた。今回の講義は二木清文先生による「脉診・脉論について」では、夏期研での新井康弘先生の基調講義が題材とされた。聞き手が理解しやすいように1証決定とは何か、2陽経の治療についての二本柱を立て話を進められた。まず、証とは、病の本体であり、治療目標である。そしてそれは病理へとつながる。その病理があくまで仮説であるのだから仮説・検証(軽擦)・実証のステップを踏むことが大切であると学ぶことができた。次に、陽経の見方のお話では夏期研のお話も織りまぜ菽法脉診の脉位の話から、陰経の処置後の脉表面上の異変はどう見るのか、そして我々がとらわれがちな陰主陽従の話など多岐に渡りお話しして頂いた。最後には二木先生の臨床室から陽経の処置例を出してまとめられた。今回は夏期研の熱気覚めやらず実に盛りだくさんの内容であった。
 
午後 
午後は、まず腎経・小腸経の取穴からであった。腎経の原穴の取り方は、取穴法通りにとってしまうと要注意であることを学んだ。患者の仰臥位の姿勢では、実際は教科書通りの足関節の角度とはいかないからである。他にも代表的なもので、上肢の位置により肩甲骨の下角の位置は大きく変わる。そして、一瞬惑わされやすい代表である。治療は解剖学的肢位で行うはずはなく、解剖・運動学の知識を固め常に患者の筋骨経絡へのイメージをしておかねばならないことを強く感じた時間となった。
 
次に、午前の二木清文先生の講義でもあげられた菽法脉脈診実技風景診の実技を行った。私たちは脉位をしっかりとつかめているのか、沈めることは得意でも浮かせることが苦手な方が多い中今回は特に夏期研では9菽の取り方のまばらさが目立ったという先生のご意見が上がったことから、皆で見直し再確認を行うことができた。聴講生の方もベテランの先生と一対一の時間も設けて脉位の変化をしっかりと感じられたようである。続いて基本刺鍼では、ペアを組み衛気営気の手法を行った。今月は、夏期研後ということで様々な意見がいつも以上に飛び交っていた。お互いの身体で基本刺鍼を確かめ合うこの時間がしっかりと取られることで毎回気づきがあり、自分の過ちを見直すことができるのである。皆で学ぶこの場があるからこそできることであり、ベテランの先生から学生まで一緒に学ぶこの機会がいかに貴重な機会であるかを常に感じるのであった。
 午後の後半は、ベット三台に分かれての小里方式を行った。聴小里式実技風景講班では二木清文先生のご指導であった。今回は初めての参加の方お二人と共に学ぶこともできた。そして基礎班と研修班は今回合同で行ってゆき、小林久志先生、岸田先生ご指導のもと二人のモデル患者を皆で治療したのであった。基礎班、研修班では夏期研後ということもあり、参加された先生がベットに上がった際には夏期研時の証決定への手順と治療方法など雰囲気も聞きつつ、それとは別に現在の証決定を病理考察をした上で進めていったのである。夏期研後で今後の課題もそれぞれに備え、モチベーションの上がっていることから和気藹々と学ぶ中にも暑い熱気で溢れた月例会となった。

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