7月の例会報告

平成23年7月17日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」 土井麻琴先生 

「各臓の病症と治療について」 二木清文先生 

    
午後 取穴(実践的な取穴練習) 

小里方式

午前は二木清文先生による挨拶から始まりました。

二木先生の笑顔で挨拶

今回は研修会が実施している託児の話から自宅出産の話にはじまり、先日二木先生の弟夫妻の出産に立ち会った助手の若森先生が当日の様子を発表してくださいました。

当日は出産直前までお灸を据え、出産後も胎盤の痛みに対してのお灸を据えられたそうで、奥様によるとお灸をすると全然違うとのことでした。お灸は自然治癒力を高めるので、出産後の経過がお灸をしない場合と比べて良好とのことです。

また、出産前後の状況の中で、母親と父親の顔へと変化していくご夫妻の様子を目の前にして、 女性として感じることが沢山あったという、胸がいっぱいになる若森先生の感想を聞くことが出来ました。

次に先月の日本伝統鍼灸学会に参加した二木先生と水戸先生から感想を聞くことができました。

二木先生水戸先生

二木先生より今回の学会テーマが「日本鍼灸とは」ということについて、なぜ今頃になってこのテーマなのかということから説明をいただきました。

東アジアでは日本の鍼灸は知られているが世界の中では無名という現実より、海外は勿論日本のメディアに対してのアプローチを含めたものだったようです。

また、中国や韓国では薬学を含めた医学に対して日本は鍼灸のみであるが、日本の鍼灸は微妙な刺激で十分な効果がある上、強い刺激以上に体に変化を与えることが出来るということから、日本の中でも「てい鍼」が認められてきたこと。当会を含めた伝統鍼灸学会では、日本鍼灸の欠けている「共通用語のなさ」「患者さんに説明が出来る理論がない」これらをいち早く取り入れている団体が漢方鍼医会であるとのお話がありました。新しく入会した会員は勿論のこと全員で会の重要さを感じることとなりました。

そして水戸先生は、ストレスと鍼灸についての科学的な証明を裏付ける発表を聞き、早速患者さんに説明をされたそうなのですが、今後の鍼灸発展のためにも今以上に論文が世に出て、多くの人に鍼灸の良さを知ってもらいたいとお話がありました。

午前最初の講義は、土井麻琴先生による「難経読み合わせ」でした。

土井先生の講義の様子
今月は17難の読解進行をしていただきました。
17難は、病症と脈象の予後と転帰が書かれています。
病症と脈が一致するかしないかで予後と転帰をみるということから、臨床でも考えながら治療出来ればという話がありましが、つまづく点も多いため深く考えすぎないようにとアドバイスがありました。

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。

二木先生の講義の様子
今回は脾虚陰虚証でした。

陰虚の特徴である虚熱は盛んな熱ではないがずっと続く熱ということで、リウマチの話につながりました。西洋医学は患部にアプローチしてそのつど症状を抑えるのが得意ですが、東洋医学では患部を触らず全体をアプローチすることより症状が出ないようにします。このお話からリウマチの治療でも患部に鍼をほどこすことがないというお話を聞き、改めて鍼灸治療の意味を考えることが出来ました。

午後の実技は取穴からはじまりました。

今回は胃経を見ていきました。
いつもの倍近く取穴をしたのですが、グループ分けをして二木先生はじめベテランの先生方の指導のお陰で充実したものとなりました。

二木先生の取穴風景

二木先生と先生方の取穴、脈を取る様子

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班2台、基礎班と研修班合同で3台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

基礎班・研修班の様子

小林先生治療の様子

聴講班指導風景

今月も聴講生が多かったのですが、二木先生の指導ということもあり、全員が先生の治療を受けることが出来たそうです。

また、今月の例会後は滋賀漢方独自で合宿を行いました。

バスで移動の様子

バーベキューの様子

来年の夏の漢方鍼医会20周年大会へ向けて、一致団結の気持ちを込めた企画となり、夜遅くまで臨床のお話や先輩方のアドバイスを受けることが出来、充実したものとなりました。

18日朝は二木先生から、強制的に血を動かすための道具である「寫法鍼」の説明・実技がありました。

二木先生指導の様子
寫法鍼といえども刺絡ほど過激でない特殊な道具なのですが、体験するまでは刺激の強いものだったらどうしようと心配しました。
しかし、言葉から感じ取るイメージとは裏腹に少し刺激がある程度のものです。
それでも血が動いていく具合が感じられ、みるみるうちに血行も良くなり驚きました。
初めて体験する先生方にとっては、新たな課題が出来ました。

つづいて中尾先生の気功教室が開かれ、皆で指導を受けました。

動き出してすぐに全身がぽかぽかして気の流れを感じることが出来たことで、鍼灸師としてはこういった気の訓練は必要なものだと感じました。

中尾先生と助手で活躍された井上先生には大変お世話になりました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

報告ページ担当 大野沙織

6月の例会報告

平成22年6月19日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」             若森 千明先生 

    「症例報告」                 岸田 美由紀先生     

午後 取穴(実践的な取穴練習) 

基本刺鍼

小里方式

午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。

今回はエステ勤めの患者さんより、本当の美は健康であるというテーマで東洋医学の立場でお願いしたいとお話の依頼があったそうです。
そこで小林先生は、日頃「鍼は怖い、痛そう」という声を聞いていたため、当日は実際に鍼を持参して説明をされたようです。豪鍼とてい鍼の形を見てもらうと理解していただいたそうで、皆さん興味津々で先生へ質問が飛び交ったそうです。

興味深かったのは、最近は気の話をしても「わかります」や、「なんとなくわかります」と、わかる人が増えてきているということでした。
気と呼吸、目に見えないものがポイントとのことで、私達にとっても、患者さんに説明する際のヒントをいただきました。

また、当日話を聞いた方々から予約をいただいたようです。
鍼灸を広めていくきっかけ作りとしての役割も兼ね、このような機会をどんどん作っていきたいということでした。
「興味はあるけどどこへ行けばいいかわからない」という声も聞くとのことで、先生だけでなく、続いて私達も自ら発信していくべきだと感じました。

次に6月1日に開業された生内優里先生、6月24日に開業を控えた大野沙織先生に滋賀漢方鍼医会よりお祝いの時計が贈呈されました。

生内先生笑顔で受取嬉しいポーズ
大野受取後のコメント場面

それぞれ色んな思いがあっての開業に拍手が送られました。

午前最初の講義は、若森千明先生による「難経読み合わせ」でした。

若森先生教卓の場面

16難の読解進行をしていただきました。
16難は、五臓について各症状がまとまって書かれています。
臨床ではあてはまらないものでもそこから勉強することが出来るというお話から、臨機応変に対応していくことが求められるのだという心構えを学びました。

次に本年度から新しい試みで取り入れました、症例報告の講義です。
今回は岸田美由紀先生にしていただきました。 

岸田先生教卓場面
岸田先生講義中の教室全体図

3例の報告がありましたが、薬が体に及ぼす影響の話に加えて治療で苦戦されたことを聞かせていただきました。事細かく経過を聞くことが出来、先生の治療スタイルが目の前に浮かぶほどでした。

午後の実技は取穴からはじまりました。
生きて働いているツボを正確に取れるように訓練します。
今回は二木先生の代役で佐野先生、若森先生が導いてくださいました。

佐野先生指導の場面
若森先生指導の場面

今回の取穴は大腸経をみていきました。
三間の取り方に特徴があり、何度もわかるまで互いに取り合いました。

手のアップ若森先生のマジック印

合谷は3つの取り方を確認しました。

取穴の次は聴講班、基礎班、研修班と分かれて基本刺鍼をしました。

全体の様子
小林先生が聴講生の基本刺鍼の指導場面

今回は押し手圧と押し手の作り方など基礎となるところを確認しました。
皆で確認し合いながらの作業ですので、自分では気付かないところを指摘してもらえます。

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班2台、今回は基礎班と研修班合同で2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

全体の様子

今月も聴講生が多く、とてもにぎやかに行われました。
また、入会者もぞくぞくと増え、今年も滋賀漢方鍼医会はエネルギーに溢れる会へと進化し続けます。興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                    報告ページ担当 大野沙織

5月の例会報告

平成22年5月15日 草津まちづくりセンター    

午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前「難経読み合わせ」             佐野佑介先生 

    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生     

午後 取穴(WHO標準経穴の確認) 

基本刺鍼

小里方式

午前は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。

例年の気候にはじまり、琵琶湖の生態環境についてのお話につづいて、滋賀名物である鮒寿司から食についてのお話をしてくださいました。

シーズンになると花粉症でマスクが手放せない方を見かけることになりますが、小林先生の周辺の農家の人達は、周りが多くの花粉で飛び散る中でもかかったことがないそうです。
自然と調和して生きるということが本来の人間の姿なのかもしれないと考えさせられました。
鍼灸で治してやるんだという考えをはじめは持つものだが、それだけでは不十分というお話から、環境や食事は患者さんの自然治癒力に大きな影響を与えるということを改めて考える機会となりました。
患者さんへ指導する立場として、我々施術者も見本にならなければと思いました。

また、他の勉強会への交流のお話がありました。いろんな会のいいところを少しずつ取り入れることで治療の幅も広がることから、会でも研究し、より良い治療を目指していきたいとお話がありました。

午前最初の講義は、佐野佑介先生による「難経読み合わせ」でした。15難の読解進行をしていただきました。15難は、四季と方位が五臓との結び付きから四季の脈象を説いています。

四季それぞれにどういった脈像になるのかは学校教育で学びますが、知っている言葉でも、実際体験してみないと理解がしにくいものです。講義の後の質疑応答ではイメージをする為にわかりやすく教えて欲しいと声があがり、臨床に出ている先生方からヒントを学ぶことができました。わかりやすく説明する為には、頭で理解することに加え、臨床で経験を積むことで言葉にも広がりが出るものだと感じました。

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。

今月は聴講生の参加が多かった為、当会の治療方針の説明が入りました。臨床経験も絡めながら、経絡のバランスと自然治癒力についてのお話をしてくださいました。鍼灸では禁忌である骨折についての治療のお話は、経験のない者にとっては興味深いものでした。

今回の講義は脾虚陽虚証についてでした。

脾胃の生理、陽気の性質、脈の見方を復習しながら学ぶことが出来ました。
また、治療をするにあたって、バランスが崩れたものを戻す為に崩れたところ全ての五行を使うのではないこと、熱を取り払うのも、昔のようにはじめから荒い手段を使うのではなく、補って全体を整えるというのが現代では適しており、その上で手段を考えるというお話がありました。

午後は新取穴書発行にあたり、二木先生のお話につづき、WHOにおける経穴部位標準化の背景について佐野先生に説明をしていただきました。

今回の取穴は肺経と大腸経をみていきました。

井穴をはじめ、尺沢の臨床で使う場合の部位の確認、特に経渠は分かりづらく、何度もそれぞれで手を取り合い確認をしました。

次に、腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。

聴講班はベッド2台に分かれ、岸田先生、若森先生が指導にあたりました。

基礎班は木村先生の指導を受けました。順に衛気と営気の刺鍼練習を行いました。
今月から姿勢のチェックをする為、一人一人撮影して客観的に自分の姿勢を確認しました。

続いて、聴講班・基礎班2台づつ、研修班は1台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

聴講班では土台となる基礎をしっかり学び、基礎班ではモデル患者を診ながら診察・証決定へとつなげました。

研修班では今後テーマを決めて実践していくようで、より充実したものとなりそうです。

今回は聴講生を含めると30名以上となり熱気で溢れました。
興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                    報告ページ担当 大野沙織

4月例会報告

平成22年4月17日 草津まちづくりセンター    
午前9時40分~午後16時30分まで  

内容

午前 定期総会

<鍼灸師の夢を語れパート2> 発表者:中尾 俊哉先生
                          大野 沙織先生
                          桑原 知子先生 

                                                          司会:岸田 美由紀先生

午後 取穴(WHO標準経穴の確認) 

基本刺鍼

小里方式

 午前の総会は小林久志先生による会長挨拶から始まりました。
震災後、福島の原発事故の風評被害による影響で大変深刻な状況でありますが、ずっと落ち込んでいるのではなく、関西から元気を出していこうとのことでした。
また、滋賀県は人口増加率が日本で一番の増加率で、特に若者の増加率がダントツであり、沢山の企業が入ってきているようです。
そんな活気づいてきている滋賀を基点にした滋賀漢方鍼医会でありますが、去年はホームページのリニューアルをはじめ、聴講の待遇面を見直した結果、新しい入会者が7名と大きな成果を出しました。
新しい風が入り、にぎやかになった例会ですが、引き続き皆で力を合わせて会を盛り上げていくことの大切さ、漢方鍼医会を牽引していく位の気持ちをもって本年度も活動していきたいとお話がありました。

総会の後は去年に引き続き、新しく入会した先生方の「鍼灸師の夢を語れパート2」が行われました。

トップバッターをきったのは、いつも穏やかで優しい中尾先生。

親が病気にかかった時、自分の無力さから鍼灸の道を志されました。学校の実習の先生がてい鍼を用いていたこともあったのが出会いで去年の卒業後に勉強会へ参加されました。当初は若い人ばかりでついていけるか不安で心配していたようですが、頑張ってみようと動かれたそうです。現在は病院に勤められ、運動療法の勉強を始められたこと。昔から気孔を取り入れていたこともあり、ゆくゆくは気孔教室を開こうと企画していること。気孔と鍼灸を併用した治療をしていきたいという夢を話してくださいました。

続いて私、大野が話をしました。

過去に病気をしなかったら鍼灸に出会っていなかったことをはじめ、現在卒業したてで未熟ながらも今の気持ちの勢いに乗って開業を決めた思いを話しました。数年前はやりたいことがあっても動けなかったことから夢はもう見れないと思っていたのですが、元気になってこんな素敵な場所で二木先生を超えたいという大きな夢をもつことができました。何かに向かって動ける体があるということは本当に幸せなことから、思う存分やりたいということ、今後は地元である枚方を中心に鍼灸を広める活動をしていくというお話をしました。

最後は現在鍼灸学校の教員養成科に在籍の桑原先生です。

桑原先生はいつも綺麗で落着いた雰囲気なのですが、話すととても情熱的な方です。
海外に住みたいということから、ニュージーランドで出会ったリフレクソロジーやアロマの民間療法の事務員になり、その後自らも施術者となり、せっかくならば国家資格を取ろうと思ったのがきっかけになったようです。 マッサージは体力的に大変かもしれないということから鍼灸を選ばれました。てい鍼には学校の教員養成の実習で出会い、その効果に驚き、学んでみたいと思われたようです。今後は学校教育の中でてい鍼の授業を増やしていければ、学生が幅広い選択を出来るのではないかという思いや、てい鍼の確立に向けて自らも技術を身につけ広めていければとのことでした。

話が終わると、代表の二木先生のコメントをいただきました。
自己治療のことから学ぶこと、助手時代のこと、開業してからのこと、また、 「てい鍼だけが鍼ではない」こと、決して他の治療を馬鹿にしているわけではないことをお話されました。今、魅力を感じ、可能性を感じているのがてい鍼であるということでした。
会ではてい鍼を使っての実技が行われていますが、それだけにとらわれないよう広い視野をもって勉強していきたいと思います。

最後に会長の小林先生のコメントをいただきました。
先生が言うには、3人に共通していることが「いけいけドンドン」であることとのこと。
自分の思っていることを形にすること、心に思い描いたことをすぐ行動に移しているところを褒めてもらいました。
積極的にいくと失敗も多くなるが、失敗をするということは経験につながり、結果的には自分の力となるので今後もこの積極的なところを大事にしていってほしい、また自分もそうしていきたいというお言葉をいただきました。

また、3人が緊張しながら前で話をしている間、司会の岸田先生が側で優しく見守っていただいている姿がとても印象的でした。

午後の実技では取穴からはじまりました。

今回は橈骨茎状突起の位置の確認をしました。学校で学んで認識していたところとは違うところだったのですが、脈診をする際には今までどおりで問題ないということでした。

つづいて足の取穴では肝経の中封と腎経の然谷をみました。
澤田流の取り方と学校教育での取り方では大きな違いがあったので、脈を診ながら触ってみての反応をグループで確かめていきました。

取穴の時間では、二木先生が手をとって指導してくださるので、言葉でわからなければ「わかりません!」と、皆さん積極的に順に手を出して確認します。歳を重ねるにつれて「わからない」ということを口に出すのは本来ならば躊躇してしまうのですが、会ではベテランの先生も自分の手で調べて納得するまで確認する作業をしています。
そういう環境もあって、入会して間もない会員でも「わからない」と言うことが出来ています。

取穴の次は聴講班、基礎班、研修班と分かれて基本刺鍼をしました。

研修班では、鍼を抜くタイミングの秒数の確認をしました。ほんのちょっとしたことでこんなにも体の反応が変わってくるのかと思うと、色々試したくなってきます。

基礎班では鍼のタイミングより姿勢を重視するので、少しでも乱れているとうまくいかないということを学べます。肩に力が入っていたり、顎が突き出していたり、視線が下を向いていると二木先生にすぐさま見破られてしまいます。一発OKを出したいところなので、次回は合間に皆で姿勢のチェックをし合うなど提案していきたいです。聴講班に居た頃は早く基礎班に入りたいと思っていましたが、聴講班で学んだことがどれだけ大事だったかということを、回を重ねるたび思わされます。

合間にお茶の時間を挟んで、実技の後半は聴講班・基礎班1台づつ、研修班は2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。

聴講班では先生の鍼を受けたりします。体験してはじめて練習している鍼の感覚を感じる方もいらっしゃいますし、わからないという方もいらっしゃいます。
わからないと自分は向いていないのではないかという考えもあるのですが、わかるまで色々考えることができます。
「はじめからこんなに出来なかったんだよ」と、ベテランの先生方から励ましてもらう度に自分のペースで頑張ろうと思うことができます。

基礎班では自分達で証を立てて治療を決めるということが目標です。
今回は二木先生が入るまで皆で意見を出しながら進めていきました。主張できるだけの知識がなく、一人だけ意見が違うと弱腰になってしまうのですが、自分の思っていたことが正しいとわかれば皆の雰囲気も生き生きとしてくるので、次はそれぞれが思ったことを自由に主張していける環境を作れたらいいなと感じました。
実際の治療に入ると姿勢、穴の取り方、押し手と刺し手の感覚を丁寧にみていきました。
今回の大きな学びは「綺麗なケーキはいらない、美味しいケーキがいるんだ」という指摘でした。
治療の流れを重視して、基礎となる部分が出来ていないと見せかけだけのもので終わるということを体験しました。今、必要なものは小細工ではなく、丁寧に誠実にすることなのですね。
毎回大きな気付きがあります。

4月は総会ということもあり、難経の読みあわせや基礎講座がありませんでしたが、来月からは毎回実施されます。

どんなことをしているのか、どんな人達がいるのか、てい鍼を触ったことがないけど大丈夫なのか、本当に効果があるのか・・などなど、新しく入会した先生方もはじめは様々な疑問を持っていました。

興味を持たれた学生の皆さん、先生の皆さん、和やかで温かい滋賀漢方鍼医会に一度お越しください。また、わからないことがあれば何でも聞いてみてください。

一緒に笑って楽しく勉強出来れば嬉しいです。お待ちしております。

                     報告ページ担当 大野沙織 .

3月例会の報告

平成22年2月19日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  

内容
午前「難経読み合わせ」             生内優里先生 

    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   
会長挨拶風景午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。
今月日本の広範囲を襲った東日本大震災。まずは例会を始める前に皆で黙祷を捧げる時間が設けられました。今私達ができること、すべきことを考える時に正確な判断をしてゆく必要性と海外からも評価されている日本人の強い意識にともなう姿勢と団結力について話されました。
午前講義風景午前最初の講義は、連続講義10回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は生内優里先生による講義で14難の読解進行をしていただきました。14難は、脈と呼吸の関係から五臓の位置・身体の表裏関係を述べながら病の伝変を述べており脈の重要性をも強調しています。質疑の中では正常な脈としての一息の呼吸数が書物により少し異なる事があることからいくつか意見が交わされました。ベテランの先生から脈の計算式の話がだされ、そこでも古人と現代人それぞれの脈の違いがでてきていましたが、この難での死・命絶の捉え方も今と昔の違いを感じながら興味深かく学ぶ事ができました。さらに、脈の根本としての大切さを説いているこの難だからこそ特に記されている事を鵜呑みにして数字だけ見る危険性がある。そこで臨床室での脈状例を挙げながらの意見が出されたりと古典を学ぶ上で、実践につなげ臨床応用することの奥深さを感じとても勉強になりました。(次回の予定は15難へ~to be continued・・・)
午前講義風景2次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。今回、本題に入る前には医療人として回避せねばならない【パニック】に関してお話頂きました。パニックに陥ったご自身の経験談、そしてパニックから抜け出す方法を伺うことができました。

基礎講義では、今回から「脾の病症と治療」に入りました。

生理機能の学びから始まり、脾の治療としては後天の元気を養うことをポイントとし、気血津液を十分に生産させて生命活動の土台をつくることを押さえながら一つ一つ証を学んでゆきました。最初に五臓と四大病型の関係性を総論として含みながら臨床的ポイントやツボの特性の話がありました。脾虚陽実証では「食欲」に絡めた症例の質問があがり寒熱の影響をわかりやすく解説して頂きました。他の証とも比較例をあげていただいたことで病理を理解し整理することができました。

午後

午後は、まず肺経・腎経の取穴から始まりました。肺経では、ポイントとして手首を背屈尺屈させ経絡を伸ばした上で確認してゆきました。魚際穴では「くぼかなる中」として捉えてゆき、母指の位置によるツボの移動をみてゆくことができました。患者さんの姿勢体位は様々でこのように臨床に応じた変化を実際に確認できてよかったです。つながり、尺沢穴は特に体位によってツボが大移動をしやすいことから供に注意して取穴しました。腎経では、アキレス前縁に沿って擦上し内果の上約2寸のところに陥凹してみられることが多い復溜穴で、ツボを確認しながらツボの取り方としてより捉えやすい軽擦法を学び指導を受けました。
基本刺鍼実技風景次に、腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。今回も手法時間を変えながら手技と変化を確認できました。ここで、手法時間を意識しすぎてしまうと手技が粗雑になっていたりすることがありそれを班に分かれて毎月例会で確認していただける事で新たな課題と自己修正ができる貴重な気づきを感じます。
この後には、小里に入る前に先月の例会に引き続き参加者の先生の「妊娠の脈」を診させて頂きました。
小里式実技風景続いては、聴講班・基礎班1台づつ、研修班は2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は生内先生、基礎班は小林先生、研修班は二木先生・岸田先生のご指導でした。研修班の一例としては、眼痛・頭重・頭痛の症例をみてゆきました。ここでは本治法・背部の標治法を終えた後ナソムノ治療に加え目の周囲の散鍼を加えられていました。もう一班では食べ過ぎ後の不調症状があげられて病理を考えこの症例は脾を中心に証に繋げていかれました。今月も証決定までいき治療をするなかで参加者同士で刺激しあいながらも個人個人で感覚を磨いてゆく事ができました。

                          報告ページ担当  若森千明

2月例会の報告

平成22年2月19日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  

内容
午前「難経読み合わせ」             木村知恵先生 
    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      

   「小里方式」   

午前

今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。

午前挨拶風景人は事を始めるのになかなか足踏みを続けやすいもの。例えば「開業」。もう少し・・もう少し上手くなって自信がついてから・・そう思う人がいるならば大間違い!とのことでした。まずは、経験をつむ事が大切でそこに自助努力をし結果に繋げてゆくもの。その際には、【治療家としての心の自信】【施術側本位でない患者にとっての満足】を治療のうえで突き詰めることが大切なんだと個人個人に深い意味として受け取れるメッセージでありました。
午前講義に入る前に、今年ご結婚された木村先生と開業をされた藤木先生のお祝いを皆でさせていただくことができました。木村先生の素敵な笑顔にいつも元気を頂いていますが、さらに幸せをおすそ分けしていただきました。藤木先生の素敵な笑顔には、開業されてこれから凛とした姿で優しく患者さんと向き合われる様子が目に見えるようでした。
ご結婚祝い風景
開業祝い風景

午前講義風景1
午前最初の講義は、連続講義9回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は木村知恵先生による講義で13難の読解進行をしていただきました。13難は、脈象・色・尺膚の関係を併せながら五行論で相生・相克問題を説き起こしています。ここでの望診・切診は臨床と直結したもので、顔色の見方や、尺膚の判断など細かな所まで疑問を出し合いそれぞれの先生方の捉え方を伺うことができました。そこからドーゼの話しに広がり臨床話や判断点が挙げられてゆきました。その中では本治法や標治法で抑えるべきポイントなど理解でき、明日からの臨床室でまた一つ一つ確認してゆきたいと思いました。(次回の予定は13難へ~to be continued・・・)

午前講義風景2次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。今回、本題に入る前には【剛柔と治療法則】に関して初学生の方にもわかりやすいよう説明をして頂きました。治療とは、脈の変化だけに捉われてはいけない。病理を捉える事、つまりそれぞれの五臓六腑の関係性を理解していくつもの治療に繋げてゆく、知る事が大切だとのことでした。基礎講義に入り、今回は前回からの続きで「肺」の中医学との違い~からでした。中医学の分類などテキストに沿って学びました。中でも虚熱からのしつこい咳・痰・五心煩熱などの症状を呈す中医学での肺陰虚証と同様の病理を観察して共有するものが漢方はり治療でもあり、「肝虚肺燥証」とされています。その病理を理解すると供に、テキスト中にでてくる中医学での言葉の理解は注意点でもあるので、いくつかの言葉に意見交換がなされてゆきました。

午後
   
取穴風景午後は、まず脾経・肝経の取穴から始まりました。脾経では、原穴の太白穴を赤白肉間をしっかり確認して取る事ができました。赤白肉間は毎回意識するのですが、人によってはかなり内側に移動することをモデルを前に確認できたので、身につけ生きて働くツボは動く事にも注意してみてゆきたい所でした。肝経では、曲泉穴を取る時に膝を深く屈曲させて確認しますが臨床室ではできないこともあります。そこで、膝を伸ばした状態での曲泉を確認し、一緒に近くの陰谷穴もみてゆきました。取穴する時にただ確認するだけでなく、実際に鍼をツボに自然と持っていけるように自然体も気をつけながら行うことは一連の重要な点でもあることを感じました。
 次に、腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。今回は衛気営気の手法時間をベテランの先生に指導していただきながら丁寧に確認する事ができました。どちらの手法が適応するのか意見を出し合い確認ができた後に、手法時間をまず少し長めに行い、徐々に短くしてゆく。これを行うことで衛気営気の時間がより確かなものを感じ取れました。さらに、手法時間が施術者によって個人個人異なる事も実技を通して学ぶ事ができました。
小里式実技風景続いては、聴講班・基礎班1台づつ、研修班は2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班では基礎をしっかり御指導を受けられ、基礎班ではモデル患者を診ながら診察・証決定へと結び付け意見を出し合われました。研修班では、咳症状が治療後にはぴたっと止み診察し病理をつかみ適した証を導き出した上での治療効果でした。他にも症状はそうひどくはなくとも脈象が寸陰尺陽と逆になり見た目とは異なり経絡の崩れは大きい症例など今月も様々な病症を参加者の先生方と見てゆくことができ臨床室での病理の捉え方や診察・治療の幾箇所で考えの幅がまた広がりました。
                                    報告ページ担当  若森千明

1月例会の報告

平成23年1月16日 にき鍼灸院
  午前11時00分~午後16時30分まで   
内容 
午前      
   「腹部を用いての臨床的手法訓練」

   「アンケート結果よりリクエストの多かった実技の実習1」      

   (背部へのローラー鍼円鍼)      
   (擦火法)    
        
午後      
  「アンケート結果よりリクエストの多かった実技の実習2」 
  (陽経腹診)
      (臨床的自然体での取穴)
      (整復法)  
  (小里方式)
  (自己治療のポイントについて、および実習)  
  (小児鍼)   

午前 

今回のオープン例会は、寒波日にあたり交通機関や道中の影響を考え、30分繰り下げて開始されました。それでも皆が揃うまで少し時間がかかったおりもその時間を有効に使い、先に腹部を使っての手技確認や、菽法脈診について互いに見直しあうことができました。

会長挨拶風景
まず、会長の小林久志先生が開会の挨拶をしてくださり自己紹介が終わったところで早速オープン例会「最初から最後まで実技一色」の時間が始まりました。
腹部を使っての手法訓練では、まずベテランの先生がよりよい手法時間はいかなるものかを行い、その状態を参加者皆で実際に触れて変化を感じてもらう時間が設けられました。
この後に4台のベッドに分かれ、互いの腹部を使い手法の確認しあいました。
手法時間の確認実習風景次に、「アンケート結果よりリクエストの多かった実技~前半~」として
①ローラー鍼
②円鍼
③擦火法


ローラー鍼実技風景を行いました。ローラー鍼円鍼では二木先生の臨床室での使用方法を実技を行いながら解説していただきました。標治法の仕上げ段階でさらに気を流してやることで気の真価が発揮され体表観察の段階では皮膚状態の変化がかなりはっきりと現れていました。各ベッドに分かれてそれぞれのベッドに着いていてくださる先生方に指導を受けて施術と受け手供に体験していただきました。治療目的、ポイントがどこにあるのか、刺激量の話、などそれぞれのベッドで質疑応答が飛び交い参加者の方々は積極的に臨床的ポイントを押さえていかれました。

擦火法でも同様に施術・受け手体験をされて右手と左手の使い分けから、終える目安としての皮膚状態の変化を自分の手で覚える事ができました。風邪の治療に使われることが多い擦火法は、体験すると身体がホカホカ温かくなり、風邪治療時に体験されると後に汗が大量に出て解熱ししんどさが抜ける瞬間はとても気持ちが良いものです。

午後  
午後は「アンケート結果よりリクエストの多かった実技~後半~」として、
④陽経腹診
⑤臨床的自然体での取穴
⑥整復法
⑦小里方式
⑧自己治療のポイントおよび実習
⑨小児鍼
を行いました。
まずは、陽経腹診をみてゆきました。普段の例会から腹診をしていますが、改めて陽経腹診を見直すという時間はあまりなかったので、この機に復習するだけでなく新たに見逃しがちであった点に気づくことができたりと明日からの臨床室での課題ができたり学び深い時間となりました。六腑の基本としての見方から手法の充実度(不足)を知る術など腹から得られる情報の多さに学ぶ都度驚きを感じます。
自然体での取穴実技風景 臨床的自然体ではベッド周りで自分達がしている(と思っている)自然体が本当にできているのかを確認してもらう事ができ、特に他者に肩を触れてもらいながら行うとわかりやすいのですが、意外にまだ力が入っていることが多く、良い手技を行う為にも、治療室で治療者側が疲労でダウンなどすることがない為にも自然体をもっと見直す必要性を感じました。少し無理がかかった姿勢になってしまうような苦手な取穴を各班に分かれてリクエストしあってはより丁寧に確認する事ができました。治療室での疲労が解消されると好評な声が上がっておりました。
 整復法では今回、「骨盤」と「足関節」の整復を学ぶ事ができました。ここでは「骨盤」の歪みをみる方法は実に簡便で明日からの臨床室で早速使えるものを見せていただきました。ただのズレか、ねじれも加わっての歪みか上部でのズレか下部でのズレか等こまかな指導を受ける事ができ、「足関節」も同様座学だけではわからないことが実技を通して頂く事で更なる詳細の理解へと繋がりました。
 
小里方式では午後一番に学んだ陽経腹診もしっかりと活用してモデル患者の証決定へ導く事ができました。時間のある限り一つの症例を深く掘り下げて学ぶ班や一人でも多くと時間一杯まで症例を見てゆく班様々でしたが、ベテランの先生がそれぞれのベッドを回って一例だけ証を判断される時には、臨床家の先生ならではのスピードを目の前にし圧巻でした。
 
自己治療のポイントおよび実習では、片手しか使えないためちょっとした工夫が必要で、上肢への施術など自分では行いにくい部分に対してどのような対処をされているのか押手はいかにするのかツボに鍼をもってゆくコツ等も含め学ぶ事ができました。自己治療により自らの身体に教えて貰うことはたくさんあり、「病気」を知る事で患者さんの気持ちを理解できるということでもあるのでそのような時はチャンスと思いコツをつかんで技術向上に繋げていきたいと感じました。
 
最後に小児鍼では、実際に体験していただきながら最近多い皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎など興味深い小児鍼の臨床話を含め全体の概要説明を受けてゆきました。
この日はなんと、メインイベントに一日控えてもらっていたスペシャルゲストモデル5歳・3歳・1歳の美男美女に登場していただきました!皆、年齢・体格・性別・性格の全く異なるモデルさんの身体をお借りし小児鍼をさせて頂くことで治療面だけでなく子どもさんと向き合うということの意味を改めて感じ取る機会となりました。
小児鍼体験風景小児鍼実習風景
スペシャルゲストモデルの可愛い3人今回のオープン例会では、先に参加者の皆さんからアンケートを取るという試みがなされました。オープン例会の醍醐味である普段の会場ではできないことを治療室をふんだんに使って学び、そして丸ごと一日を実技研修としてみっちり学べるということをしっかり踏まえたうえで、昨年よりもさらに良きものに突き詰めるよう進化するために取られたこの方法は大好評でした。
彦根では約8年ぶりの積雪量で足場が悪く新年会が無くなるなど残念なこともありましたが、足場の悪さもなんのその、学ぶ意欲たっぷりに皆さん積極的に参加されてそれぞれに大きなお土産を見つけて吸収して帰られました。
参加者の方の感想として、座学を通し頭で理解したつもりでも実際に実技を通して感じる感覚の相違は実際に体験しないとわからないもので、今回強く感じた点であったと話してくださいました。自ら起こしたアクションがあってこそ出会う発見が、技術がそこにあります。これからも周囲の先生方に刺激を頂きつつ課題をつくったり乗越えたりと切磋琢磨して学び続けていきたいです。

                            報告ページ担当  若森千明

12月例会の報告

平成21年12月19日 草津まちづくりセンター    
 午前9時40分~午後16時30分まで 
内容

午前「難経読み合わせ」         岸田美由紀先生 
   「基礎講義」             二木清文先生
                       
午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   

午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。今年は福島弘道先生の生誕100年ということで、感謝を込めて福島先生のお話をされました。人々を惹きつける福島先生の魅力として、惜しまぬ技術の公開、それを手から手へ伝え、自らの経験を詰まれ治療に自信をもたれたうえで良いものを伝え続けられた事等々、数え切れないものがあります。その多大なる魅力の影響を受けたことで今の私達、そして漢方鍼医会があることを、毎月の例会内容からも読み取れます。良き学びの方を紡いでゆき、一つの正解にとらわれず患者さんにとってのよりよい治療を求めてさらに学び技術を極めてゆこうとのお話しでした。

午前講義風景1午前最初の講義は、連続講義八回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は岸田美由紀先生による講義で11難12難の読解進行をしていただきました。11難では、病脈の一つである止脈(代脈)をとりあげ、五臓の気を受ける順序によって位置関係をも述べています。止脈は心悸・意識障害・腫物etc・・だけでなく妊娠のある時期にもみられることから正常時にも起こりうるとのお話で、端的に死脈と繋げる事は間違いだとわかりました。臨床室からは、不整脈での印象深い話を気・血の巡りと身体を絡めながら治療例をあげてお話していただきました。

12難では、一見誤治を戒める難のように捉えられがちですが、ここでは五臓の陰陽・内外の総纏めとしての概念が説かれています。岸田先生も当初は誤治の戒めと捉えられていたそうですが、難経鉄鑑を読まれたことで全体のイメージが変わり、そこから脈に関する事で言えば、菽法だけでなく脈状をみる必要性も感じとられたそうです。その後、質疑応答が繰り出され、臨床話では小林先生が陰陽、穴性、そしてガンで陰が極限までいったのならばどこからアプローチするかなど話をして下さいました。(次回の予定は13難へ~to be continued・・・)

午前講義風景2次は、二木清文先生による継続講義でした。講義を始める前に、先日先生ご自身がおたふく風邪にかかられた経験談をお話いただきました。見る見るうちに顔がはれてきて発熱もしてきたことから自己治療を施し、発熱・だるさ・目眩も打破し仕事への影響を一切出さずにこなされました。治療間にも鍼をされ、特に邪を払う事の効果を覿面に感じられたそうです。ベテランの先生が自己体験から自己治療を通し発見をし続けてさらにそれをブログにて発信されている姿に私達のような若輩は感銘を受け学び続ける楽しみや真意を学ばせていただいているように強く感じました。
講義では、前回から続き肺経の陽経処置の話から入りました。経験談より、「肺虚陽実証」の話から小児の按腹、「肺虚陽虚証」の話からパーキンソンの話に広げられたりと臨床室からの興味深いお話を伺うことができました。後半では、うつ病治療に関して質問があがり、二木先生の普段から気をつけられている事や、注意点などを教えていただきました。他にもベテランの先生方から臨床室からの気づきや精神疾患を扱う時の着目点を挙げていただいたりとすぐにでも臨床室で使える濃い時間でした。

午後
取穴実技風景
午後はまず取穴から行いました。新取穴書発行にあたり、今回はその中でも井穴をみてゆくことができました。一人一人に井穴の取り方を指導して頂き、古典や教科書には様々な記載があることから、「実際はどこに取るものなんだろう」という疑問を解決して頂く事ができました。そして、二木先生と小林先生から井穴に関するお話、臨床での使い方なども伺えました。午前中には、陽経処置のお話があったばかりなので、より意識して確認してゆきました。その後には五臓配当を確認しながら腹診の詳細も教えて頂きました。
次に、基本刺鍼では腹部を使っての衛気・営気の手法を行いました。班内でローテーションしてゆき、一人一人に適応する手法を見出してゆきました。意見が分かれたり、その一つ一つの意見の中から発見される事も多く、毎月の例会で必ず取られるこの手法確認の時間は、よくベテランの先生がおっしゃるように繰り返し、継続し続けることがいかに大切か毎回参加者の方々から頂く刺激が多々ある気づきの中で、参加するごとに深く再確認できます。
次に、小里方式では聴講班1台・基礎班1台・研修班2台のベッドに分かれて行ってゆきました。
小里方式実技風景聴講班は小林先生、基礎班は二木先生、研修班は岸田先生ご指導の下進められました。班によって、様々な意見が飛び交い病理病症をきりわけてゆき証に繋げていきました。研修班の1班では、不問診大会をされるなど楽しみながらいろんな診察法・学び方があることに気づけた有意義な時間となりました。小里方式が終わって、最後には一月後に控える会員限定のオープン例会の話が出ました。オープン例会では、午前から午後までみっちりと実技の時間と当てられており、今回はより充実したものを目指し皆に実技リクエストを取られました。リクエストを反映してくださることで、今回は大好評であった昨年とはまたいかに違ったものが得られるかと思うととても楽しみです。

                                  報告ページ担当  若森千明  

11月例会の報告

平成21年11月21日 にき鍼灸院    

   午前10時00分~午後16時30分まで  
内容
午前「難経読み合わせ」         若森千明先生 
                       
午後「取穴」    
   「基本刺鍼」                      
   「小里方式」   
午前
午前挨拶風景今回の挨拶は、二木清文先生による挨拶でした。聴講生の方が8人と多いこと、初参加の方もおられることもあって漢方はり治療のあらまし、そして研修会の意義について話されました。二木先生は、開業される当初から常に先々のイメージをされてきたそうです。臨床室の構造から流れ・・助手を置くとしたら・・その後助手が卒業したならばそれをより伝え広げていくには・・今現在沢山の助手を育て上げられ今後の臨床室拡大の図がすでに頭の中にはあるそうです。内容は密なもので臨床室の流れから、二木先生ご自身の経験を通して、学ぶこと、腕を磨き続ける事、そして鍼灸とは素晴らしく自分だけでなく後世へ伝えてゆくべきものであると教えていただきました。ベテランの先生も最初は皆初学生であり同じ壁を乗り越えて来られている。無知を恥じる事はなく気軽に質問をし積極的に学びをつづけていこうとのお話しでした。
午前講義風景午前最初の講義は、連続講義七回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は若森千明先生による講義で9難10難の読解進行をしていただきました。ちょうど10難まで行くこともありまず復習と初学生にも理解しやすい本の紹介もかねて大上勝行先生の「絵本 難経レッスン~パンダと巡る東洋医学の世界~」を参考にさせて頂きおさらいを簡単にされました。
本題に入り、9難は、脈象の一部から遅・数をあげて脈と臓腑の関係が説かれています。少し幅を広げて数・遅に浮・沈を加えての臨床話がでたり、そのアンバランスをどう捉え陰経陽経どちらから治療の手を加えていくのかなど意見や参考となる臨床室での内容を伺うことができました。脈と呼吸は14難・脈の不応は21難で主に詳しく挙げられています。具体的内容は後の難で後述されていくのでこの難では病脈を見つけるためにも大切な基本的概念としてしっかりと頭にいれておきたいものでした。
10難では、心の脈を例にとって陰陽気の影響を甚・微、剛・柔という言葉を用い陰陽十種類の脈象の伝変の病因として説いています。病の伝変を診てゆく中でその移り方(正邪・虚邪・賊邪・・・など)で病の強弱や治しやすさにくさをここからとらえることもできます。しかし、この難も9難と同じでここだけで臨床へと広げるものではなくてその発信点となる基礎部分のように捉えられる方が多かったです。
9難10難ともに、基礎をしっかりと掴むことで、そこからズレるものは病脈、病への始まりと気づくことができます。とらわれる事は危険かもしれませんが基礎を固める事で臨機応変に今後の難を学ぶと供に臨床へ繋げて生きたいと感じました。(次回の予定は11難へ~to be continued・・・)
午後
片手脈診風景
午後はまず取穴から行いました。漢方鍼医会で新たな取穴書が発行されることからすでに新取穴書発行に関して以下7つの報告が出されていました。1.解剖学的不備を補う。2.古典からの記載をする。3.WHOの標準経穴を付記する。4.取り方のヒントを書き加える。5.流注と逆らって導いているものには、流注に従った導き方も付記する。6.できる限り早期に暫定版を発行し、多くの検証作業をする。7.DVDも同時発行とする。これらを踏まえた説明を受け、細かな取穴変更の実技を行ってゆきました。その中には、体位によってよりよい取穴位置が異なっていることや、新たに発見されたことで今までの引っ掛かりが取れるツボ反応、そして流注としても新しい取り方を学ぶ事でスムーズな変化があることに驚きました。続いて、難経の片手脈診の仕方も学んでゆきました。

次に、聴講生の方ほぼ皆さんベッドに上がって本治法を受けられました。その際には敏感な方のケース、ドーゼオーバーの場合の対処法(一度本治法を行った後の処置・風池を使っての処置)や、刺絡を使うケース(陽経からの処置)、75難で小腸経までいく必要がないケース、など幾症例もかねて学ばせて頂くことができました。前半で手法(衛気・営気)の抜鍼タイミングの話が出ており本治法をされているこの場でのリアルタイムな解説を聞くことでき、さらに69難の場合や他の治療法など多症例をみることでそれぞれの手法の抜鍼タイミングを確認しました。脈・肩上部・腹部など参加者皆確認する事で「山の頂上に達した時に抜鍼する」の意味を再確認させて頂きました。

基本刺鍼風景
小里式実技風景
次に、小里方式では聴講班2台・基礎班1台・研修班2台のベッドに分かれて行ってゆきました。
聴講班は土井先生・生内先生、基礎班は二木先生、研修班は小林先生・岸田先生ご指導の下進められました。聴講班では基礎部分をしっかりと学んでいただくと供に基本刺鍼での手技練習ではてい鍼を受けるだけでなく自分で施す事でてい鍼のよさを実体験できたとの意見もありました。基礎・研修班では不問診から切診へと進め病理考察をしながら選経選穴を丁寧にしてゆくことができました。今回は変則的に会場が変わってにき鍼灸院をお借りしての例会となり、午前中はコタツがある一室でアットホームな雰囲気の中始まり、午後の実技も内容豊富に一人一人が参加し積極的に受けることで発見があり中身のある研修会となりました。終了後は懇親会があり初参加の方からベテランの方までおられ質問や意見交換などが飛び交ってより親睦を深める事ができました。今回は、とてもおめでたい報告があり皆に幸せが分けていただけたような温かい懇親会でした。
 
                                    報告ページ担当  若森千明  

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10月例会の報告

平成21年10月17日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  
 
内容

午前「難経読み合わせ」             土井麻琴先生 

    「各臓の病症と治療について」      二木清文先生                       
 

午後「取穴」    

   「基本刺鍼」                      

   「小里方式」   

 
午前
会長挨拶風景今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。時事ネタに続き、鍼灸の話ではティッピングポイントについて話されました。ティッピングポイントとは、小さなことも重なることで大きなことに変わるその瞬間を指すそうです。その瞬間は、毎日の臨床そして毎月のこの研修会で繰り返しをしているように、続けることで体験できる。つまり学び始めたばかりで未熟だとしても、わからないことがあってもティッピングポイントはベテランか否か関係なくおとづれる瞬間は平等なのです。学び続けることに大いなる意味がある点を理解し、プラス成長スピードを加速させる大きな一手として目的意識をはっきりさせることあげられました。ティッピングポイントも然り、壁を抜ける瞬間の喜びをそれぞれに感じ学び・修練を楽しみながらともに学んでゆこう!と会長挨拶をしめられました。
午前講義風景1
 

午前最初の講義は、連続講義六回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は土井麻琴先生による講義で8難の読解進行をしていただきました。8難は、文頭で死脈の一つの診方をあげて生命の根本である生気の原の大切さが説かれています。この難では意見交換を通して死脈といっても幾通りもあることを学んだ事が印象的でした。ここでは、生命の根源・陰の部が途絶えてしまう事で平脈も死に繋がることがあると書かれていますが、死脈はもちろん平とのイコール(=)ではなく挙げられた幾つかの意見の中には虚実のあいまいさや脈状の変化などがありました。土井先生のご経験のなかから「生きようと残る炎が燃え盛るような脈」の話などをお聞きし生死が言葉どおり二文字で単純明快に表せないことのように奥深さを考えなおす機会を頂いたように思います。その他文中の生気の原やせいき(生気・正気・精気etc,,)腎間の動気などを学ぶと供に聴講の方にもわかりやすくベテランの先生の気の概念、捉え方まで話しの幅が広がってゆき密度の濃い内容でありました。(次回の予定は9・10難へ~to be continued・・・)   

次に二木清文先生による基礎講義「各臓の病症と治療について」のお話でした。本題に入る前には前半の講義最後に出た質問である【腎間の動気】にいついてわかりやすい説明を受ける事ができました。講義本題では、前回時間が足りず触りだけであった「一・肺の病症と治療」 に深くはいってゆき肺の「気を主り呼吸を主る」「宣発と粛降を主る」「通調水道を主る」「百脈を朝め心脈を助ける」などの生理機能を踏まえうえで、今回は外感病の初期に対する治療にもあたる【肺虚陽実証】について学びました。 肺の精気が虚すれば陽気は徐々に停滞し充満した状態となってゆくものです。そこからの病の伝変の流れを学び、精気の虚や寒邪の程度によって現れる緊脈についての話なども補足して頂きつつ治療例までみてゆくことができました。次回は続きとしての陽経処置のお話へと続きます 。             

 

午後

取穴風景
午後は、まず心経・胆経の取穴から始まりました。心経では、尺側手根屈筋腱の尺側縁をしっかりと捉えながらみて行く事ができました。心経でも奇経で使われる通里穴があるので同じ穴でも取り方が異なるため、あやふやにならないためにも意識しながら取穴をしました。胆経ではモデル点の中でも後ろに移動しやすいものなど研修会を通して構築・確認されたより臨床的なものを学ぶことができました。この時間はただの取穴だけで終わらない、研修会に参加された方のみが持ってかえれるベテラン先生方の臨床話がふんだんに潜んでいるのでぜひお土産として臨床こぼれ話や感覚をつかみとり明日からの臨床室に繋げてゆきたい。
 次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきました。今回も衛気営気どちらがその病態に合うものなのか幾例かみてゆき手法の確認を致しました。その他では、脾のみどころである臍周囲の診方や、午前講義の話題から腎間の動気についても実際の実技として再確認することができました。
基本刺鍼実技風景
続いては、聴講班・基礎班・研修班は1台づつベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班では一番重要な基礎の基礎部分をじっくり時間をかけて行い、最後にはお昼時茶の間で吉本を見て育たれた二木先生の軽快かつ爽快圧倒される関西トーク・・・臨床話術とともに漢方鍼治療をみて体験して満喫して頂きました。基礎班研修班の一例では腰下肢の病例で69難を使って治療してゆきました。研修会が終わり指導者研修会では会員数も次々と増えている中後継者として指導できるものの育成を図る場として今回は49難特集で仮定治療を行ない変化を確認しあうことができました。ここでは49難が適合する症例を見ることができ治療を受けた方の変化は実に興味深いもので後にメーリングリストでの意見交換まで及びました。
                                    報告ページ担当  若森千明  

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